地方公共団体の監査委員監査基準(案)の公表 ブックマークが追加されました
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地方公共団体の監査委員監査基準(案)の公表
監査委員監査におけるリスクアプローチの導入
平成31年3月29日、地方公共団体の監査委員監査の監査基準(案)が公表され、この中でリスクアプローチの考え方等が明確化されました。これにより各地方公共団体の監査委員監査の品質の向上や比較可能性の担保が期待されています。
監査委員監査の基準(案)の公表
平成31年3月29日、総務省から地方公共団体の監査委員監査の監査基準(案)が公表されました。
総務省の公表する「監査基準(案)及び実施要領についての地方公共団体からの主な意見・質問」によると、監査基準(案)は、「監査等の質を高め、住民の監査に対する信頼向上を図るため、各地方公共団体が監査基準を策定するに当たり、総務大臣の責務として、監査等に関する考え方を指針として示すもの」とされています。
また、これにより「全国の地方公共団体の監査等の質について一定の水準を確保することができることとなるとともに、監査結果の比較可能性を担保し、客観的な評価を可能とすることで、住民の監査等に対する信頼が高まる」ことが期待されています。
出典:総務省地方公共団体における内部統制・監査に関する研究会「監査基準(案)及び実施要領についての地方公共団体からの主な意見・質問」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000612922.pdf
リスクアプローチの考え方の導入
監査基準(案)では、監査委員による監査においてリスクアプローチの考え方が明確されました。
リスクアプローチとは、監査対象のリスクを識別し当該リスクの生じる可能性及び当該リスクが与える影響の大きいリスクに対して重点的に監査資源(人員及び時間等)を充てる監査手法です。この手法により、効率的に効果的に監査を行うことが可能となります。
監査委員監査においてもリスクアプローチの考え方は、監査資源が限られる中でも監査委員による監査機能の充実・強化を図ることが期待されているものと考えられます。
監査委員監査におけるリスクアプローチのご支援
リスクアプローチではリスクの評価が重要となります。トーマツでは、公会計情報を活用してリスクの所在を「見える化」する手法、PIC‐RAMPAD分析を開発して根拠に基づいたリスク評価を行う取組みを進めています。
PIC‐RAMPAD(Public Internal Control applying Risk Assesment Method utilizing Public Accounting Data)分析とは、国や地方公共団体等の公会計情報を用いてヒートマップを作成し、視覚的にリスク評価を実施する手法です。
例えば、予算科目別に予算執行金額の件数と金額をプロットして、リスクを高・中・低の3段階にカテゴリー分けを行い、件数(≒発生頻度)と金額(≒影響度)の大きい予算科目を識別すると、根拠を持った優先順位付けが可能となるものと考えます。この他にも、公会計に関する様々な情報を活用することでリスクアプローチの高度化が期待されるところです。
さいごに
デロイト トーマツ グループは、リスクアプローチによる監査委員監査の高度化等の他、監査委員監査のアウトソーシングや研修等、監査委員監査を多角的に支援してまいります。