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Deloitte UK 日系企業サービスグループ『Brexit Newsletter (UK) - vol.82』

EU離脱(Brexit)協定の暫定合意案を公表(2018年11月20日)

英国およびEUの交渉担当者はBrexitに関する離脱協定案を11月14日に発表した。Dominic Raab EU離脱担当相とEsther McVey雇用・年金相が辞任を表明し、英国内では離脱協定案に対する批判も高まっているものの、EUの首脳陣は同協定案の再交渉については応じないとしている。

Brexitに関する最近の動き ※詳細資料(PDF)より一部抜粋

Theresa May首相は離脱協定案に対する英国内閣の支持を取り付けたものの、May首相及び同離脱協定案に対する不満は高まり、2名の閣僚が辞任するなど、今後の英国下院での議会承認が不安視される。また、公表された政治宣言の内容も大枠に過ぎず、依然としてBrexitに起因する不確実性は拭いきれていない。

May 首相が内閣の支持を取り付け、11月14日に公表された離脱協定案の主な内容は以下の通りである。
  • 市民の権利:英国に居住する300万人超のEU市民およびEU諸国に居住する100万人超の英国民が選択した生活を守り、その居住の権利を保障し、引き続き地域社会に貢献できるようにする。
  • 英国-EUの分離のための取決め:現在の各種協定の円滑な終了と、離脱手続の秩序だった実行を担保する。具体例として、「移行期間の終了前に市場に投入されたモノが英国及びEUの国境を越えて仕向地に到達するまで流通できることを担保する」、「既存の知的財産権を保護する」、「移行期間の終了前に授受されたデータおよび情報の利用を確保する」といった点がこの項目で取り上げられている。
  • 移行期間:移行期間中、EUは英国を加盟国と同様に扱う。ただし、EUの各種機関および行政機構への英国の参加は認められない。移行期間を設定することで、特に行政、ビジネスおよび市民が英国のEUからの離脱に容易に適応することができる。
先週までのBrexit、欧州の政治および経済に関する主な動きは以下の通りである。 
  • アイルランドとの国境管理問題に関するバックストップ案の文言について合意に達し、英国およびEUの交渉担当者はBrexitに関する離脱協定案を発表した。
  • EU側のMichael Barnier主席交渉官は、Brusselsで開催されたEU27か国による閣僚理事会後、当該離脱協定案について当該27か国の支持を得られたと発表した。同氏はまた、英国がEUを完全に離脱するまでの移行期間について、2022年12月まで延長が可能であると述べた。延長により移行は容易になるが、同年6月に予定されている英国総選挙が行われた後も、英国は人の移動の自由やEU拠出金の負担義務が継続することになる。
  • 英国のDominic Raab EU離脱担当相とEsther McVey雇用・年金相は、当該離脱協定案は「連合王国の統一性を脅かす」という懸念から、辞任を表明した。
  • 保守党議員のJacob Rees-Mogg氏は、党の1922年委員会にTheresa May首相の不信任投票を求める書簡を提出した。
Brexit Newsletter (UK) - vol.82 (PDF, 714KB)

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