患者様の医療体験の変革に向けて~デロイト トーマツ コンサルティング×クリニックTEN渋谷による対談~

  • Digital Business Modeling
2023/2/28

超高齢化社会の到来やテクノロジーの進化、生活者の価値観の変化などに伴い、これまでの「やりかた」が通用しない時代が到来しています。これまでにない新しい取り組みや役割の変化が求められている中、既存の医療体験では患者目線が取り残され、一方的なサービス提供に留まっています。デロイト トーマツ コンサルティングは、この課題を解決するために「Connected Health」を掲げ、患者、医療機関、製薬企業などの医療関係者を双方につなげることで患者価値の最大化を目指しています。今回は、医療業界の現状や未来について、クリニックTEN渋谷 医師 石黒 剛氏と共同創業者兼事務長 大江 航氏、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクター 北原 雄高、マネジャー 寺﨑 亮実、コンサルタント 高橋 拓也が対談を行いました。

これまでの医療体験の課題とは

北原:今回は、クリニックTEN渋谷の石黒さんと大江さんをお招きして、医療業界の現状や未来についてのラウンドテーブルを開催します。まずは、お二人から自己紹介をお願いします。

石黒:クリニックTEN渋谷で医療統括責任者をしています。愛知県で訪問診療を行うクリニックを二つほど経営し、多くのドクターや医療スタッフたちが働きやすい環境を整備してしましたが、そのノウハウをクリニックTEN渋谷にも投入しています。

「多死社会」を迎える中、どうやってソフトランディングしていくのかということが、日本の医療課題となっています。今後、日本は人口が減っていき、労働者はより長く働くことになる。それには「健康」という資源が不可欠です。20年後には、そういった医療課題に応えていかなければならないでしょう。20年先、40年先の医療課題を解決するにはどんなクリニックが必要なのかを考え、作っていく必要があると感じています。そういった中で、新しいコンセプトのクリニックを作りました。

石黒 剛氏 | Mr. Go Ishiguro

クリニックTEN渋谷 医師、いしぐろ在宅診療所岡崎 院長

大江:私は新卒でデロイト トーマツ コンサルティングに入社し、製造業のご支援をした経験があります。デロイト トーマツ コンサルティングでは、産業構造が変わっていく中、どういった価値を出せるのかを考え続けていました。自分自身がプレーヤーとして価値を提供したいと思い、メガベンチャーに転職したんです。そこでは数百万人に価値を届ける多くのデジタルプロダクトに携わることができましたが、n=1のユーザーに徹底的にコミットして価値を最大化させるにはユーザーに対しての解像度・関係性(タッチポイント)が圧倒的に不足しているという新たな課題に直面したんです。

そこでn=1のユーザーに対して価値を最大化するには「リアル」な人との関係性がポイントになると考えました。「今後のデジタルはリアルをイネーブルさせていく使われ方になっていく」ユースケースが世の中に多く生まれている中で、「医療・健康」という人の幸福の根源にある領域ではまだ実現されていない現状に気づきました。
何をするにしても健康がベースになりますが、ケアしている人は意外と少ない。医療は進化し続けているのに、医療は日常と程遠い存在になっています。そういったギャップを埋めるのがクリニックTEN渋谷の役割だと思っています。

大江 航氏 | Mr. Wataru Ooe

クリニックTEN 渋谷 共同創業者兼事務長

北原:ありがとうございます。それでは、いろいろとご意見を伺っていきます。まず、「これまでの医療体験の課題」について教えてください。

大江:マクロ的に見ると医療費が増大し、その多くは高齢者の対症療法に投下されています。政府としても、この予算を若い人たちの「予防」に振り分けていく方針はありつつ、制度上実現には道半ばです。また、マーケットや現場もインセンティブが働きにくい構造になってしまっています。

一方、エンドユーザー側では、職場で体調不良になっても、病院の待ち時間や予約などの手間と時間を考えて通院することを諦めたり、市販薬に頼ったりしているという状況が起きています。

若い世代にとっては、病気のたびに薬を処方されるフロー型の体験に加え、予防につながるような情報の処方や、継続的に相談できる医療機関との関係性というストック型の体験も重要だと我々は考えている一方で、そういったかかり続けたい医療機関が見つけられない、「かかりつけ医療難民」が多くいるような状況と認識しています。

石黒:日本の医療史は「感染症対策」から始まり、治療を最優先する集中型の医療構造を作り上げてきました。病気に打ち勝つことを最優先事項とし、他の部分は目を瞑ってきたんです。そのため医療体験は置いてきぼりとなってしまい、何かあってもかかりつけないということになったのだと思います。

人類は多くの感染症に打ち勝ち、疾病構造が大きく変わっています。いまは治療ではなく予防医療が重要となっているのです。そう考えると、若い人もかかりつけることができる医療機関が必要になるはず。それが「クリニックTEN渋谷」なのです。

クリニックTEN渋谷は、若い人たちが困っていること、欲していることを考え、治療よりもコンプレックスの解消などに軸足を置いています。コンプレックスやコンプレックスになり得る部分を解決することで信頼関係が生まれ、コミュニティが発生し、行動変容も起こしていくことができるのではないかと考えています。

北原:ペイシェントジャーニー横断的にサービスや製品展開を図ることで患者体験や医療の質の向上につなげようと、予防分野への進出を検討する企業も増えています。しかし日本の社会保障制度の構造上、個人の「予防」へのインセンティブが働きづらく、事業モデルの構築が難しいといった声を聞きます。そういった中、クリニックTEN渋谷では患者視点の価値創造に重きをおき、まずはかかりつけ医として患者をエンゲージメントすることが、新しい価値提供を行う土壌になるという発想で活動されているんですね。

北原 雄高 | Yutaka Kitahara

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクター

大江:私たちは次世代型かかりつけクリニックという「ブランド」を作っていこうとしています。質の高いレストランにはファンがつき口コミで広がるように、真に質の高い医療体験を提供するクリニックでも同様の広がりを持たせることができると思っています。そして今後保険診療にこそ必要になるはずです。

石黒:今後も医療費は増大していくため、患者の自己負担は増やさざるを得ません。本来かかっている医療コストを自覚するようになると、患者はよりよい医療を受けられるクリニックにかかりたいと思うようになるでしょう。そうなると市場経済的な考え方が重要になり、競合優位性を持っているクリニックが生き残ります。それがおそらく次世代型の「かかりつけ医」であり、若い人が使いやすいクリニックであるはず。そういった状況下で、クリニックTEN渋谷がモデルケースとして広がっていくとおもしろいと思っています。

高橋:競争軸がシフトしていくというのは、たしかにその通りかもしれません。患者もスマホを使いこなせる世代へとシフトする中で、より多くの情報を持つが故に主治医の意図に反する情報に触れる機会も増え、治療に関してドクターに疑問をぶつけるケースは増えるでしょう。5GやPHRの浸透により様々な産業で新たな医療体験を提供するサービスが登場すると、さらに患者の目も肥えていくでしょう。
求められるサービスの変化を捉えて、今のうちからシフトに向けた準備をしていかなければならないという視点は非常に重要だと思います。

高橋 拓也 | Takuya Takahashi

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 コンサルタント

石黒:ヘルスケアの難しさは、体調がいいときには「気づき」や「インセンティブ」が働きにくいということだと思います。しかしいったん不調になると、それを解決しようと動き出し、ジャーニーが始まる。マイナスに触れたジャーニーをプラスにすると、そのギャップの大きさがインパクトになり、その後の期待に繋がっていきます。そしてそれが、予防につなげていこうという動きになっていく。

予防の重要性はわかっていても、なかなかそこにたどり着けていません。だからこそ、我々はギャップを感じやすい「ペイン」に焦点を絞りこみ、事業として成立させているんです。

寺﨑:私はカスタマーエクスペリエンスの領域を中心に活動していますが、医療業界では、他の業界と比べ「パーソナライズされたサービスを提供する」といった思想が弱いように感じます。患者によって医療に関するリテラシーも異なりますが、そのリテラシーにあった診断を提供することも重要でしょう。アフターフォローの仕組みも他の業界と比べディファクトスタンダードが無く、サービス水準にはバラつきがあると感じます。そういった意味では、御社の新しい取り組みはもっと広がってほしいですね。

寺﨑 亮実 | Akimitsu Terasaki

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 マネジャー

大江:当初は「予防」や「ウェルネス」に焦点を当てたクリニックを作ろうと思い、渋谷でアンケートを取りました。しかしそこで気がついたのは、誰もそういったクリニックを求めていないということ。それよりもキャッシュレスや待ち時間の問題、診察券は必要なのかというような足元の課題ばかりが出てきたんです。

石黒:医療に理不尽さを感じているというのがよくわかる結果でした。テクノロジーや時代の変化、疾病構造の変化に業界が追いついていない。その中でいくら「予防」といっても、受け皿がないんです。だからこそ若い人たちが使いやすいクリニックを作り、そこでいい体験を重ねていけば、次のステップに進めるのではないでしょうか。

いま予防医療に関心を寄せる人は、ヘルスリテラシーが高い人ばかり。元気な人がより元気になるということでしかありません。医療に行かない、検診も受けていない若者の健康は何も変わらないんです。このままでは健康が富裕層のものになってしまうという懸念もあります。

高橋:日常的に医療機関を受診していない若い世代は、かかりつけ医が定まっていないケースも多くあるので、いざ重篤な疾患にかかった際にかかりつけ医を介した地域医療の枠が有効に活用できるとは考えにくいです。その様な場合、医療機関への受診が遅れる・専門医へのエンゲージメントが遅れるといった課題が生じます。将来的には医療機関へ普段は接点のない一般の方でも、自身の健康管理をアプリで行うといった予防的な自己管理などへのアプローチが必要かと思います。
一方で、予防は現在の社会保障の枠組みでは医療として扱うことは難しく、テクノロジーが進歩し、新しい治療なども登場しているのに、貧富による医療の格差拡大や予防という観点では有効に活用されていません。

北原:医療現場で働いているスタッフの疲弊感や、患者の満足度も上がらない。こうした状況を打開するには、テクノロジーとは異なる軸のトランスフォームも必要ではないかと感じています。

我々も医療機関のスマートホスピタル化やデジタルトランスフォーメーションをご支援する機会が増えています。病院での個々のタッチポイントを見ると、医療従事者の方々は患者中心で動いています。しかし部門間の連携がうまく機能しないため、一連の患者体験の向上を実感するには至っていません。原因としては、システム間連携などに代表されるような技術的な問題があることも事実ですが、それ以上に組織や文化の壁があると感じています。

病院のシステム変更やプロセス変更を行う際には、部門間での利害衝突が起こりがちです。本来、患者中心にこうした利害を収斂させることが必要と感じていますが、実現にあたっての課題は大きいと感じています。

寺﨑:そういった中、クリニックTEN渋谷では患者体験の向上を実現しています。それが実現できた理由はどこにあるのでしょうか。また、スケールするときに何がポイントになると考えているのか、教えていただけますか。

石黒:「当事者意識」だと思います。僕がいつもチームに言っているのは「自分がファンになるクリニックを作ろう」ということ。患者体験として、自分が課題と感じたことを解決しなければならないということです。そういった意味では、クリニックはサイズが小さいため、スタッフも当事者意識を持ちやすいのかもしれません。

「当事者意識」を持てるかどうかは、生活に近いかどうかだと思います。病院は非日常なので、治療して病気を治すことにフォーカスします。しかし日常感を持つことで、もっと患者体験をよくしていくことができる。効率化とは逆方向ですが、テクノロジーを使うことで、そういった課題もジャンプアップしていけるのではないかと思っています。

クリニックTEN渋谷はインキュベーションハウス

大江:我々は、20年後の社会がどうなるのか、そのときに求められる体験はどういったものかという仮説を立て、クリニック内でクイックに検証するというアプローチを取っています。

さまざまな制約や網羅性、マネジメントなどを一切考慮せず、「その人がどれだけのペインを抱えていて、それが解消されるとどれほど嬉しいか」について、ひたすら向き合い続けました。一定のリスク・リターンのバランスを取って検証できるのは、リアルのクリニックならではの面白みだと思います。

スケールについては「後で考える」といった割り切り方をしていますが、将来のデータ活用を視野に入れ、すべてをデータ化しています。

データを活用するのは企業や研究機関、行政だけではなく、全く違った領域のプレーヤーかもしれません。そういった土台はきちんと作り上げていこうとしています。

そういった意味では、クリニックTEN渋谷はインキュベーションハウスといってもいいでしょう。これまでのお話を伺って、デロイトが提唱している「Connected Health」とはプロセスは違うものの、目指すところは共通しているという印象を受けています。

石黒:我々も異業種の集まりですからね。ドクターとエンジニア、デザイナー、クリエイティブデザイナーなどが集まり、それぞれのコンテクストに沿って各メンバーが紡いでいく。その中で必要な人たちを巻き込み、今の形になっています。さまざまな特徴を持ったタレントが一つのクリニックを作り上げていった。これがクリニックTEN渋谷の大きな特徴だと思います。

メンバーとは毎日のように議論していますが、「そんなことを考えていたんだ」という気づきも多い。そこに余白があり、そこからまた広げていくことができる。領域として確立されていないからこそ、生まれてくる価値を尊重できる文化が醸成できるのかもしれません。

高橋:我々も、地域連携などさまざまなステークホルダーを巻き込で取り組んでいますが、比較的議論が停滞しがちなのは、ピラミッド型の組織を作って運用しているケースです。一方、盛り上がっているのは、医師と他の専門職がフラットな横のつながりを作り、専門職の人が対等に意見を言い合えるケースです。クリニックTEN渋谷は非常にフラットにクリニックを経営されているので差別化できているのではないかと感じました。石黒さんのように異業種の方とフラットな関係で運営している医療施設はあるのでしょうか?

石黒:あまり聞いたことないですね。院長がフランクというケースはあると思いますが、他のスペシャリストと協業するケースはあまり聞きません。そもそもドクター自身にそんなにキャパシティはないというのが実状だと思います。そういった意味では、クリニックTEN渋谷は非常にユニークな組織だと思います。

医療体験の変革に向けた取り組みとは

石黒:クリニックTEN渋谷が目指している世界が普通に社会実装されるには、20年、40年という月日が必要かもしれません。しかし、僕らのようなスタイルが認められれば、5年、10年先には大都市に同じようなスタイルのクリニックが誕生してくると思います。我々のブランドが認知されれば、他の地域にもフランチャイズやシステム提供などの展開をしていくこともできますし。

クリニックTEN渋谷のような振り切れたモデルがあり、それでも生き残れるということが見えてくると、それをベースに考えていくこともできます。

大江:いまはクリニックがある意味「目的地」で、診療を受けるために半休を取ったりしていますが、それが15分で終わる世界になればクリニックが経由地となります。街に数多あるクリニックの数だけ存在する待合スペースが最小化されればそれだけ街のコストセンターだったスペースに可能性が生まれます。また、そこで過ごされていた人たちの時間を、クリニックから街に体験を繋いでいくことができれば、クリニックに通う心持ちも変わってきますし、経済的な広がりも生まれてくるでしょう。

北原:地方創生のプロジェクトにヘルスケア関連サービスが組み入れられるケースは多く見られますが、実状を見るとヘルスケアサービスの利用が経由地ではなく、目的となってしまい、街の経済再生に繋がりにくいという課題があります。しかし医療機関の待ち時間を減らし、街に出る仕組みを作って次の体験に繋がれば、地方創生にもつなげることができますね。

大江:地方創生文脈で若者たちが移住するに当たっても、医療の質というのは気にされるところです。高齢者が多い都市で医療機関に時間を投下されてしまっては経済損失になります。街とクリニックをつなげていく設計は、後から考えるととても難しい。設計の段階から考慮しておくといいですね。

寺﨑:これまでの話は患者の視点に立った、サービスの最適化をテーマに多く議論してきたかと思います。実際に各プロセスを最適化することによって、ドクターとしての負担はどのように変わっていくのでしょうか。組織内部のプロセス改善/医療従事者の働き方の満足度向上は、最終的に患者が受ける医療体験の満足度向上にもつながるかと思います。

石黒:医師の負担が減るのが理想ですが、診療報酬は患者の診療をしなければ得られない。医者にしてみれば「何人を診ることができるか」が重要なんです。問診で効率化しても、1人の医者として診療しなければならないということは変わらない。しかしプロセスを変えていくことで、患者に向き合える時間が増えたり、診療に集中できたりといったことはあると思います。そういった意味で言うと、納得した医療を提供しやすくなるのかなとは思います。

同じ金額でより質の高い医療を提供すれば、「いい先生」だと言われ、評判も高まるでしょう。競合するクリニックがあっても、患者は評判が良い病院に足を運びます。そういう経済合理性を確保することも重要になってくると思います。

北原:我々がご支援している企業の中にも、新たなソリューションを開発し、医療現場を変えたいという思いを持っている企業が増えています。先導されているクリニックという立場から、そういった企業への期待などはありますか?

大江:僕らはクリニックTEN渋谷をインキュベーションハウスと思っているので、その「箱」を使い倒してほしいですね。強みやソリューションを組み合わせ、一緒に新しい患者体験を高速に仮説検証していく。そこで得られた知見を使って今後の展開なども一緒に考えていく。そういったプロトタイピングで使ってもらいたいですね。

街を作っている上流のプレーヤーと初期検討の段階から空間体験やデータ設計なども一緒にやっていきたいですね。たとえば、ある街のクリニック全部を1つの仮想的なクリニックとして捉えれば、患者の体験は今とは全く違うものになるはず。そういった取り組みもご一緒できればと考えています。

石黒:新しい医療体験が市民権を得ていくには、さまざまな企業が関わって広げていく必要があります。いまはクリニックTEN渋谷しかやっていないかもしれませんが、共感してくれる人たちを増やし、40年後にはなめらかな医療体験ができる世界にしていきたい。そういった部分で、Connected Healthに期待する部分は大きいですね。

北原:医療の変革においてエコシステムの必要性は高いと思いますし、実際にヘルスケア企業が医療機関と共通の目標を掲げ、患者体験や医療の質を向上させることを目指す動きも増えてきています。加えて、市民権を得るという観点では、異業種や患者自身もエコシステムの一部として捉え、消費者マインドや気づきを与えていくことが業界の変化に繋がる上で重要なのかもしれません。そういった観点についても考えていきたいですね。

大江:最終的に市民権を得るときには、インダストリーをまたぐことも重要と考えます。いまは、ある人が患者になるタイミングをタッチポイントとして定義していますが、それを拡張したり、キャシュポイントやバリューポイントなどをどう設計するのかといったことを俯瞰して考えたりしながら、さまざまなプレーヤーと議論を重ねていく必要があるでしょう。一緒にプロダクトを作るような形は難易度が高くなりますが、インダストリー横断という観点は非常に重要になるはずです。上流から下流までの体制作りといった視点も重要になるかもしれません。

石黒:なるほど。僕が言いたかったことは「インダストリーの横断」なのかもしれません。クリニックTEN渋谷は完全予約制なので、患者さんが来なかったらその時間の売り上げはゼロ。そのため、パズルのようにきちきちに詰め込まないと利益構造として厳しい。そういった意味では、やせ我慢している部分もあります。しかし関わる人が増えれば、クリニックが創出した価値の副次的な産物が利益補填してくれるようになるかもしれません。そうすると、この取り組みのスピードは上がっていくと思います。我々はタッチポイントを作ることができるので、そこから派生してインダストリーを横断し、キャッシュポイントを作っていけばいいというのは新しい気づきでした。

北原:我々も業界のカタリストとして、従来のコンサルティングファーム像から脱却し、ヘルスケア業界の変革をリードするファームへの発展を目指しています。医療機関、ライフサイエンス企業、異業種、行政など多様なステークホルダーを含む業界のエコシステムの形成に貢献し、我々もその一員として伴走しながら業界の変革に貢献できたらと思っています。ありがとうございました。

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PROFESSIONAL

  • 北原 雄高

    デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
    Life Science & Health Care ディレクター

    大手コンサルティングファームで医療機関、介護事業者、製薬、医療機器、金融・事業投資家に対する戦略立案、オペレーション改革、M&A支援等に従事。また、在籍中にはロンドンオフィスに出向。その後、大手外資系医療機器メーカーにおいて、新規ソリューション事業の立上げや事業変革をリード。

  • 寺﨑 亮実

    デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
    Customer & Marketing Technologyマネジャー

    外資系ITベンダーを経て現職。製造業、ヘルスケア業界を中心にCRM戦略、営業支援のプロジェクトを数多く経験。デジタル改革における構想策定~導入~運用と全フェーズで複雑性の高いグローバルプロジェクトを数多く支援。

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