INTERVIEW
DT弁護士法人 マネジャー
KM
現在の仕事内容について教えてください。
現在は、企業法務全般に従事しつつ、不正調査および中国法務に注力しています。具体的には、不正調査やM&A、契約書レビュー、各種法律相談などの分野に分類できます。現時点では、いわゆるジェネラルコーポレート業務やM&Aなどの企業法務全般を通じて弁護士としての基礎体力をつけつつ、不正調査や中国法務分野において専門性を磨きたいと考えています。各業務分野は相互に関連していると思いますので、特定の一分野のみならず、全般的に経験を積むことにより、自己の専門分野に生かすことができる基礎体力がつくのではないかと考えています。そのため、現在は分野を絞ることなく幅広い案件を経験したいと手を挙げています。
他の法人とどのように協働されていらっしゃいますか?
M&Aにおいては、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「DTFA」)やデロイト トーマツ税理士法人(以下「DTTAX」)などのメンバーと協働しています。M&Aは法務デューデリジェンス(以下「DD」)の他にもビジネスDDや財務DDなどが並行して進みます。法務DDで検出した事項について他ビジネスのメンバーに照会したりすることもあれば、照会を受けることもあります。そのため、法的な分析・検討にとどまらず、他ビジネスの知見をも踏まえた分析・検討をすることができます。また、同じデロイト トーマツ グループメンバーですので、距離感が近く、気軽に相談することができ、皆でM&Aを成功に導こうとする一体感があります。
他には、主にDTTAXと協働することが多いです。会社法一般に関する相談のほか、非公開会社における創業者などの株式譲渡に関する相談や信託に関する相談などもあります。弁護士として各スキームの法的検討を行いますが、税理士と協働をしているため、税務リスクや資産価値の分析等を踏まえた、総合的なアドバイスを共にクライアントに提供することができます。法的には取り得るスキームであったとしても、税務上の観点からの分析が加わることで見方が変わることが多々あり、とても勉強になっています。また、信託などはDT弁護士法人に入社するまでは従事することのない業務と思っていましたので、取扱業務の幅が広がり、とてもうれしいです。
弁護士になってからの歩み、入社経緯を教えてください。
司法試験受験生時代より危機管理業務と中国法務業務に従事したいと考え、大手法律事務所に入社しました。前職では、希望どおりの業務に従事できましたが、業務を経験するにつれ、自分の理想の弁護士像には、危機管理一辺倒ではなく、企業法務全般の経験がベースとして必要であると考えました。また、近い時期に家族が増える見込みでしたので、子育てなど家族との時間も自分には必要と考えました。
そこで、M&Aや不正調査などを含む企業法務全般の経験が積め、かつ希望をすれば中国法務業務にも従事できるDT弁護士法人に入社しました。
入社して1年程がたちましたが、入社当初の想定以上に幅広い業務分野に従事することができていると実感しています。セクション制を採用する法律事務所では他部門の業務に従事することは難しいと思いますが、DT弁護士法人では不正調査と並行してM&Aなどの他の案件に従事することもできました。また、DT弁護士法人では中国法務業務がM&Aほど多くあるというわけではありませんが、パートナーの先生に希望を伝えていましたので、中国に関連する業務にはかなりの頻度で声をかけてもらえ、業務に携われています。
DT弁護士法人の強みを教えてください。
デロイト トーマツ グループのネットワークの強靭さだと考えています。
DT弁護士法人もデロイト トーマツ グループメンバーの一員ですので、国内の他ビジネスのみならず、各国のメンバーファームとも協働することができます。また、DTFAなどのメンバーは新規ビジネスも幅広く展開していますので、DT弁護士法人とのシナジーも発生し、弁護士業務としての幅も広がっていると考えています。
デロイト トーマツ グループでは、メンバーファーム全体に対して社内研修を実施していますので、コンサルティングなどで培われたナレッジを学ぶこともできます。
一例として、弁護士は、言葉より書面で語ることが多いと思いますが、デロイト トーマツ グループの社内研修では「弁護士だから」という概念はなく、一社会人としての社内・外における関係づくりやその関係を進化させるための思考方法・実践方法を習得することができます。そのため、弁護士であることと同時に、社会人一般として求められる能力も習得することができます。
現在の働き方を教えてください。
自身は現在子どもが小さいのでリモートワークを多く活用していますが、ゆくゆくは出社日の割合も増やしていきたいと考えています。
リモートワークを行うにあたり、オンラインリサーチツールも完備されていますので、オンラインでのリサーチを行った上で、足りない部分は秘書の方の協力も得つつ、紙媒体の書籍に当たっています。
個人的にはリモートワークのほうが集中できるタイプだと思っておりますので、在宅によって業務効率を上げられていると思います。
他の先生方は、ご自身の判断により、在宅で執務をする方もいれば出社している方もいます。事務所全体を見ましても、各人の執務スタイルに合わせて執務場所を選択している方が多いと思います。
一日のルーティンとしては、基本的には朝9時30分から執務を開始しています。メールチェックに始まり、オンライン会議や報告書の作成などを行います。ランチは会議の合間などにとることが多いです。午後もオンライン会議や報告書の作成・リサーチなどを行います。企業法務特有かもしれませんが、夕方17時から18時にかけてのメールや作業依頼が多くあるように感じますので、この時間帯はバタバタしています。それでも、18時過ぎには子どもをお風呂に入れて、夕飯の世話をし、その後に大人用の夕飯を作るようにしています。20時以降は、必要に応じて仕事をしています。時期や案件によってまちまちですが、20時以降は完全にオフのときもあります。また、私は金曜日の夕方以降の作業依頼があまり多くないと感じています。クライアントからの要望や締め切りがあれば別ですが、ご自身の週末時間やご家族との時間を大事にされている先生方も多い印象です。私は、土日は完全オフにして、離乳食づくりや家族との時間などに充てたいため、金曜日は少し遅くまで執務することが多いのですが、日付を超えてまで作業をすることは少ないと感じています。
今後の展望を伺えますか?
企業法務全般を通じて弁護士としての基礎体力をつけつつ、不正調査や中国法務業務の専門化を図っていきたいと考えています。そのために、幅広に案件を経験しつつ、自己の得意とする案件を増やしていければと思います。また、日中の比較法研究を法科大学院時代より行っていたため、引き続き比較法研究も進めつつ、弁護士としての業務の幅を広げていきたいと考えています。