リスクアドバイザリー
ビジネスリーダー

有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部長
岩村 篤

不確実な時代だからこそ求められるリスクアドバイザリーの役割。
さらなる飛躍のステージへ。

Q.リスクアドバイザリーの主な業務を教えてください。

A.近年は社会が複雑化する一方、世界がボーダーレス化するなど“不確実性”が増しています。とくにグローバル展開している企業ではその不確実性に起因したさまざまな問題が生じており、“不確実性=リスク”と捉える認識が強まっています。このような経営環境の中で、我々リスクアドバイザリーの使命は、お客様がリスクテイクし、経営課題に対応するためのサービスを適切に提供することで、企業の持続的成長に貢献することにあります。

お客様の経営課題に対応するため、リスクアドバイザリーの組織は大きく、アカウントリレーションを主に担当し業界別に区分けされたインダストリー事業部と、専門分野別のコンピンテンシー事業部の2つの事業部に分かれています。経営者は刻々と変わる会社の状況を把握していく必要がありますから、インダストリー事業部のプロフェッショナルはレギュレーション、商習慣や業界特有のオペレーションに詳しいのはもちろん、業界全体の動きなども知る必要があります。コンピテンシー事業部は、さまざまなリスクマネジメントにおける専門サービスを展開しています。たとえば私たちが特に強みがあるサービスとして会計、内部統制、内部監査の分野があります。これらの分野では単純にアドバイスをするだけでなく、オペレーションに深く入り込んで一緒に体制やプロセスを構築したり、必要に応じてその後のオペレーションを担ったりしているケースもあります。もちろんデジタルに関する知見も欠かせません。デジタルガバナンス、データガバナンス領域にも多くの専門家がいることはもちろんですが、リスクマネジメントやコンプライアンスのITシステム自体の構築も行っています。

また、近年もっとも重要なトピックとして企業のサイバーセキュリティがあります。デロイト トーマツ サイバー合同会社(DTCY)という別会社を作り、サイバーセキュリティと他のサービスの連携を強化し、アドバイザリーから、ITやセキュリティを含む業務設計・運用をワンストップでサービス提供しています。
さらに、AIやアナリティクス技術を活用した効率化やアプリケーションソフトの開発も行い、サービス提供のあり方の変革も行っています。

Q.デロイト トーマツのリスクアドバイザリーの強みはどのような点にあるのでしょうか?

A.私たちの最大の強みは、深く、幅広い専門性です。グローバルで連携し、リスクに対してそれぞれの専門家が課題を解決するために協働し、サービスを提供しています。たとえばガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)の領域では、許容可能なリスクや想定されるリスクをどう管理・対応するかに関するサービスを提供する「ストラテジックリスク」。規制や法令の影響を受けやすい金融機関・ライフサイエンス業界などに対して、リスク管理体制の整備や、動向予測による戦略立案策定支援などを行う「レギュラトリーリスク」。コーポレート領域では、金融機関や財務経理部を対象に、リスクのガバナンス、リスク管理のためのプロセスや報告体制の整備・適正化支援を行う「アカウンティング&インターナルコントロール」。ここでは日米会計基準、IFRS、日米SOX、上場規則、企業財務に精通した会計バックグラウンドの専門家が数百名いるのが強みです。また、IT領域やサイバーセキュリティ領域についても多くの専門家がそろっています。

アドバイザーとして第三者的な立場で助言できることも大きな強みです。
リスクアドバイザリーは、有限責任監査法人トーマツを母体としてできたビジネスであり、クライアントから言われたことを盲目的に実施するのではなく、また自らの基準・規範をもって助言することが基本となっています。私もクライアントから、「リスクアドバイザリーは、外部の目線でありながら、意思決定者の立場で、助言してくれるので信頼できる」と言われたことがあります。この第三者的な立場でありながら、当事者意識をもって、クライアントに助言することができることも強みだと思います。
リスクアドバイザリーには公認会計士など会計に強い人材をはじめ、GRC、サイバーセキュリティの専門家も多数所属しています。IT、アドバイザリー、監査といった幅広い側面からお客様や社会を見ている点が、リスクアドバイザリーの大きな特徴の一つです。

グローバルで最先端の知見を利用できることも強みです。私たちは、専門性が高く、世界最大規模でサービス展開をしているファームなのです。リスクアドバイザリーには現在、日本で2,500人超、世界で約5万人超が在籍し、個々のリスク要因ごとに専門家が協働し、サービスを提供しています。グローバルで統一したサービスを提供するということは、各国のステークホルダーのニーズを理解できますし、各国の得意な分野を持ち寄ってシェアすることで、お客様の海外子会社などに同じサービスを提供できるということを意味します。

最後に、他のビジネスとの連携についても触れたいと思います。デロイト トーマツ グループには監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務・法務からなる5つの主要なビジネスがありますが、これらのビジネスが有機的に連携し、クライアントに価値提供しています。

高い専門性、第三者性、グローバル、ビジネス連携、こういった強みを活かして、クライアントや企業に信頼性を付与していきたいと思います。

Q.デロイト トーマツのリスクアドバイザリーで働くことの魅力を教えてください。

A.リスクアドバイザリーという領域は大変ユニークです。デロイト トーマツ グループは主要ビジネスを5つに分けているとお話しましたが、リスクアドバイザリーを他の4つのビジネスと同格に位置づけているのは、世界中でも私たちデロイトだけではないでしょうか。ビジネスを5つに分けるということは、それぞれの専門性をより尖らせることができる一方で、どうしてもサイロ化しやすかったり、コミュニケーションコストが高くなってしまったりとマイナスの面もあります。しかし、そのことを考慮してもなお、私たちはその強みを活かして、社会の「課題」を解決することができると思います。短期的な利益や成果よりも「いかに課題を解決して、社会を変えるか」という強い思いを持ったメンバーが多くいるからです。そんなメンバーと自由闊達に議論し、協働できる風土があるのがリスクアドバイザリーで働くことの魅力だと思います。

国籍や国境を問わず、協働できることも魅力の一つです。日本のリスクアドバイザリーは中国、東南アジアとのコラボレーションビジネスを展開したり、全世界のリスクアドバイザリーと人材の交流を大規模に行ったりしています。海外で働ける機会はたくさんありますし、日本にもたくさんの海外メンバーが働きに来ています。

Q.リスクアドバイザリーが求める人物像を教えてください。

A.もっとも重要なのは、お客様に信頼される人物であること。お客様は事業の秘密を私たちに預けた上で「自分たちの課題を解決してほしい」と期待されるケースがほとんどです。そういう意味で、自分たちが信頼に値するのかを常に問い続けることが大切です。
加えて、クライアント企業の個別経営課題解決のみならず社会全体の変革をミッションとするデロイトトーマツにおいては自分の専門知識への自信と学び続ける姿勢も欠かせません。何か一つ専門分野があればそれを軸に他の専門家と知見を組み合わせることができます。同時に法律や技術の変化に対応できる柔軟性を持った方であれば、活躍していただけるはずです。お客様や社会の課題を解決するためには、時には苦言を呈する必要もありますが、それができることもまたアドバイザリーにとって重要な資質だと思います。

Q.リスクアドバイザリーの今後のビジョンを教えてください。

A.リスクアドバイザリーの設立から約10年が経ちました。この10年は土台作り、とくに直近5年はリスク領域に関するアドバイザリー業務のためのインフラや陣容を整える期間でした。これからはクライアントが不確実性の時代において事業を持続的成長させるために専門性を結集し大きな発展をとげていく段階です。今後5年、10年をかけて私たちの専門性で世の中を変えていきたいです。お客様が何に悩んでいるのか、自分は何をするべきなのか。課題の本質を考えるのは難しくもありますが、自分たちの力を発揮するチャンスでもあります。社会にとって欠かせない存在であると同時に、プロフェッショナルがいきいきと働ける場所でありたいと考えています。

Q.この業界を目指す方へメッセージをお願いします。

A.デロイト トーマツ グループのリスクアドバイザリーは専門家の集団であり、日本やアジアでは最大級の規模を誇ります。手前味噌かもしれませんが、極めたい領域がある方や企業や社会の変革を実感したい方にとっては素晴らしい場所であり、プロフェッショナルが輝ける場所です。皆さんの知識やスキルを存分に発揮して、社会の発展に貢献したいという同じ志を持つ仲間が集まって、思いをぜひ一緒に実現させてほしいですね。

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