事例紹介

地域医療再編の先駆者・リーダーに聞く成功の軌跡 その3

自治体病院等の統合再編事例(中東遠総合医療センター)

近年、地域医療において、公立・公的病院を含む統合再編・建替を通じた医療再編は大きなテーマになっています。統合再編は「言うに易く、行うに難い」ものであり、これまでも多くの挑戦があったものと認識しています。トーマツでは他に先駆けて地域医療再編に取り組み、成果を出している事例のリーダーに対して、コンサルタントが統合再編時から現在に至るまでの取組みをお伺いしながら、統合再編のポイントを探ります。

(その3) 静岡県・中東遠医療圏の事例

インタビューの背景

中東遠医療圏(静岡県)では、掛川市と袋井市それぞれの市立病院が地域医療を担っていましたが、医師不足、病院建物の老朽化と財政問題に直面していました。

そこで、地域医療を継続するために、平成25年全国で初めて隣接する2つの市民病院が経営統合を果たし、「掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター」を開設しました。

多くの課題を乗り越え、現在では想定を超える成果を上げている成功要因を探ることとしました。

インタビューの概要

対談の詳細は添付資料をご確認いただければわかりやすいので、是非そちらをご覧いただければと思いますが、宮地センター長兼院長と石野経営戦略監のコメントの中から、いくつかの成功ポイントがあったのでそちらの方を取り上げてみようと思います。

対談の中で、「地域全体の課題として経営統合に取り組む必要がある」というメッセージがあり、その具体的な内容については、以下の4つの点に収斂されると理解しました。

(1)市民からの理解を得た前向きな統合再編をスタートできたこと

(2)医療資源の集約と若手医師の育成により市民へ安定した医療サービスを提供することができたこと

(3)院長のリーダーシップとコミュニケーション力による院内外への発信力とスタッフの頑張りがあること

統合再編を成功させるには、地域全体の課題として取り組む必要があること、また、今後中東遠モデルを確立して日本医療へ貢献していきたいなどのコメントを頂きました。

以上から、中東遠総合医療センターにおいては、再編統合を目的とするのではなく、「再編統合を通じて、地域医療をどうよくしていくか、中東遠医療圏だけではなく、静岡県、日本の医療をどうよくしていくのか」、という点を常に見据えて行動されてきた点について強く感じることができました。また、客観的なデータや、地域の特性を踏まえた「地域のニーズに合った医療の提供」を検討/議論/共有したうえで、具体の計画、新病院の開業に向かっていった点も、多くのご苦労があったであろうにも関わらず、初年度から素晴らしい成果を生む背景になったのではないかと考えています。

今後とも、より一層あるべき地域医療の実現に貢献する病院になっていかれる印象を持ちました。

対談の詳細については添付資料を是非ご覧ください。

 

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