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IR事業(カジノ事業)におけるファイナンス
統合型リゾート(IR、Integrated Resort)
本稿では、日本におけるカジノ事業を含む統合型リゾート(IR: Integrated Resort)の開発に関する投資資金の調達手段について、海外の事例を交えながら解説します。
目次
- IRビジネスグループのアドバイザリーサービス
- IRビジネスグループとは
- IRビジネスグループの最新活動
- I. 資金調達手段とデットの活用によるレバレッジ効果
- II. シンガポールのカジノ事業におけるデットファイナンスの概要
2016年12月、日本で特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(通称、「IR推進法」)が施行され、有識者による特定複合観光施設区域整備推進会議(通称、「IR推進会議」)の議論では、100,000平米以上のMICEを含む大規模なIR(統合型リゾート:Integrated Resort、以下、「IR」という)の建設が期待されています。
この要件に応えるため、日本でのIR事業参入を検討している海外のIRオペレーターの中には、投資規模を5,000億円から1兆円と試算し、公表している企業もあります。IR事業者には大規模な投資と共に資金調達手段の検討が求められます。
I. 資金調達手段とデットの活用によるレバレッジ効果
資金調達手段は大きくデット(負債)とエクイティ(資本)に分けられます。
IR施設全体の投資額のうちエクイティは、コンソーシアムの参加企業によりジョイントベンチャー(以下、「JV」という)が設立される際の各社からの出資額です。
少ない出資で大きな投資ができる、いわゆるレバレッジ効果が期待できることからIR施設全体の投資額のうち、エクイティで賄いきれない金額はデットを活用し調達することになります。
海外事例では、IR施設全体の投資額に対するデットの割合(LTV:Loan To Value)は、比較的高い傾向にあり、デットによる資金調達が活発に行われています。
Ⅱ. シンガポールのカジノ事業におけるデットファイナンスの概要
直近のアジアにおけるIRの成功事例と言われているシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズにおけるデットファイナンスの事例を見ると、我が国の金融機関もレンダーとして参加しています。
本例は、日本のカジノ事業におけるデットファイナンスの参考になると考えます。
シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズにおけるデットファイナンスの例では、以下の特徴を見ることができます。
- 大規模プロジェクトかつ新規事業であるという性質から、開発段階においてはリスクの高いファイナンスとして、金利やコベナンツはレンダーにとって保守的に設定されていること
- 開業後に一定期間のトラックレコード(実績)が示された後、事業者にとって好条件のローンにリファイナンスを実施していること
- 開発時は利息費用を最小限に抑えるために、資金使途とタイミングを考慮した異なる条件の複数種類のローンを引いていること
Ⅲ. 日本において留意すべき内容
日本におけるIR事業に対するファイナンスは、先行する諸外国の例を参考に、日本固有のリスク要因を勘案し実施することが想定されます。
日本では、複数のパートナー企業によりコンソーシアムを形成し、事業者選定後等にJVを設立することが想定されます。早い段階でコンソーシアム参加企業各社のエクイティの出資額の検討を行うことが必要になります。
また、IR施設の開発・開業に向けて、デットによる資金調達手段の検討をしておくことが有益です。その際に、レバレッジ比率、借入のタイミング、プロジェクトファイナンスの可否などを検討し、コンソーシアム内外の関係者との協議を通じて充分な事前準備を行っておくことが重要です。
また、IR施設の開発がプロジェクトファイナンスとなる場合、特定の資産または特定の資産が生み出すキャッシュ・フローに基づいて資金調達をするノンリコース(非遡及型のローン)となる場合が多いため、返済原資となるIR施設の事業計画を策定して開業後の収益見込みやキャッシュ・フロー等を詳細に説明できる準備をすることが必要です。
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IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法案の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。
また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。
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