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IR事業(カジノ事業)におけるMOU締結・JV組成とガバナンス
統合型リゾート(IR、Integrated Resort)
本稿ではIR事業(カジノ事業)におけるコンソーシアム形成とジョイントベンチャー(JV)組成に関するガバナンスのあり方を解説します。
日本における統合型リゾート(IR:Integrated Resort、以下、「IR」という)の事業者は、コンソーシアム(企業連合)を形成し、地方自治体による事業者選定プロセスへの応募やIR区域認定後の事業運営をすることが有力な案と考えられています。
コンソーシアム参加企業は共同して事業参入を検討する際にMOU(Memorandum of Understanding,:基本合意書)を締結し、その後、事業者選定プロセスのタイミングでコンソーシアム参加企業によりジョイントベンチャー(以下、「JV」という)を設立(JV契約を締結)することが想定されます。
I. 日本のIR事業におけるJV設立の背景
我が国におけるIR事業への参入にあたっては日本企業と海外のIR(ゲーミング)事業者が国内外の枠を超えJVを設立してIR事業参入を目指すことが予想されます。
JVが形成される背景は、主に以下の点にあると考えられます。
- IR設置の目的が観光振興及び地域経済の振興のため、日本経済や地域経済に精通した日本企業、地元企業の参画が不可欠であること
- ゲーミング事業の運営経験を持たない日本企業が諸外国のIR運営実績を有する海外のIR(ゲーミング)事業者と組むことで、より効果的なIR施設の運営が可能になること
- ゲーミング施設以外にも大規模なMICE(※)施設や宿泊施設等の開発が伴う大規模事業であるため、複数企業が参画することで様々なノウハウの活用が可能になること
- 単独企業の場合と比べ、より大規模な投資が可能となり、事業リスクのシェアも可能になること
(※)MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のこと
Ⅱ. JVのガバナンスに関する論点の概要
JV形態の事業体は、複数の事業パートナーが参画するため、戦略の整合性、企業文化の融合、ガバナンス(企業統治)、利益分配とリスク負担の方法等、様々なJV特有の検討課題があります。
IR事業を念頭に置いたJV設立・運営に関する主な検討事項は以下の表のとおりです。
<IR事業を念頭に置いたJV設立・運営に関する主な検討事項>
検討事項 |
論点 |
---|---|
戦略と方針 |
• 戦略の整合性 |
組織設計 |
• 企業文化の適合性 |
経済性 |
• 出資割合(初期投資の割合、追加出資の割合) |
業務とITシステム |
• 日常業務の執行と意思決定 |
Ⅲ. IR事業参入を検討する企業に求められるガバナンスとリスクマネジメント
IR施設の運営、特にIR施設全体の収益の大半を占めると予想されるゲーミング事業は日本において新規産業であり、海外でゲーミング事業の運営実績のあるオペレーターと日本企業が組んだJV形態の活用が想定されます。
また、観光振興及び地域経済の振興の観点からコンソーシアムに複数の日本企業が参画するケースも想定されます。
今後、IR事業への参入を検討している日本企業においては、MOU締結時及びJV契約締結時の各段階までにJVパートナーとの公平性の観点、円滑な意思決定、パートナー間の利害衝突時の解決などを見据えたガバナンス/リスクマネジメントの検討が最重要のテーマであると考えられます。
オペレーションをJVパートナーに任せている場合や少数出資者としてJVに関与している場合にはJVで発生したリスクやその兆候にタイムリーに気づけない可能性があります。
JVの経営・運営を適切にモニタリングできるよう重要情報の共有、意思決定への関与等をJVパートナーとの協議することがガバナンス/リスクマネジメントの観点から重要となります。
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IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは
IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法案の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。
また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。
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