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ゲーミング(カジノ)税とライセンス料

統合型リゾート(IR:Integrated Resort)

米国やシンガポールなどのカジノ先進国では、カジノ運営事業者からカジノ運営に係るライセンス料やゲーミング(カジノ)税が徴収されています。ライセンス料やゲーミング(カジノ)税は各国によって税率や計算式が異なっています。本稿では、米国ネバダ州およびシンガポールのライセンス料とゲーミング(カジノ)税の制度をご紹介します。

Ⅰ. はじめに

米国やシンガポールなどのカジノ先進国では、カジノ運営事業者からカジノ運営に係るライセンス料やゲーミング(カジノ)税が徴収されています。一般に、ライセンス料は定額のものやカジノ施設で運営しているスロットマシーンの台数やテーブルゲームの数によって課税されるものがあり、また、ゲーミング(カジノ)税はカジノ施設でのゲーミング(カジノ)により発生した総ゲーミング収益に対して課税されます。

ライセンス料やゲーミング(カジノ)税は各国によって税率や計算式が異なっています。ここでは、米国ネバダ州およびシンガポールのライセンス料とゲーミング(カジノ)税の制度をご紹介します。

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Ⅱ. 各国におけるライセンス料およびゲーミング(カジノ)税

1.米国ネバダ州 

米国ネバダ州では、カジノ運営事業者のライセンスは、制限付きライセンスと制限なしライセンスに区分されており、それぞれの区分に応じてライセンス料やゲーミング(カジノ)税が徴収されます。なお、ネバダ州ではゲーミング収益に対して売上・使用税(sales and use tax)は課税されません。

制限なしライセンスとはスロットマシーンの台数が16台以上やその他のゲーミング機器を運営するカジノ運営事業者に対するライセンスであり、制限付きライセンスとはスロットマシーンの台数が15台以下など小規模なカジノ運営事業者に対するライセンスです。

制限なしライセンスと制限付きライセンスを保有するカジノ運営事業者から徴収されるライセンス料およびゲーミング(カジノ)税は表のとおりです。

なお、ネバダ州では、徴収したライセンス料やゲーミング(カジノ)税については州の一般財源に充てられることとなります。


2.シンガポール

シンガポールでは、カジノ運営事業者に対して定額のライセンス料が課税されるほか、富裕層顧客(VIP)に対する総ゲーミング収益と一般顧客に対する総ゲーミング収益とで異なる税率のゲーミング(カジノ)税が徴収されます。シンガポールではゲーミング(カジノ)税のほか、総ゲーミング収益に対して財貨およびサービス税(goods and service tax)も課税されます。

なお、シンガポールでは、カジノ規制機構が徴収したライセンス料はカジノ規制機構に属し、その運営に充てられ、ゲーミング(カジノ)税については、シンガポール政府の一般財源として充てられることとなります。

Ⅲ. 日本におけるライセンス料やゲーミング(カジノ)税の論点

他国の事例では、ゲーミング(カジノ)税率や消費税の取り扱いは、カジノ導入の目的(税収増加、雇用増加、観光振興、地域振興等)や、近隣地域との競争環境、期待する投資規模などを総合的に考慮して決定された経緯があります。

今後、日本でカジノを含む統合型リゾートが導入された場合、ライセンス料やゲーミング(カジノ)税の税率や計算式がどのように決定されるか、また、総ゲーミング収益に対して消費税が課税されるか等は、企業のビジネス展開に大きな影響を与えることになるため、注視が必要なテーマであると考えられます。
 

※図表につきましてはPDFをご確認ください

IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは

IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法案の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

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