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カジノ運営事業者が準拠すべき内部統制の基準(MICS)

統合型リゾート(IR:Integrated Resort)

ゲーミング(カジノ)産業においては、その透明性を維持するため、ゲーミング(カジノ)に係る厳格な法規制を整備し、規制当局による監視・管理が行われるのが一般的です。中でも特徴的なのは、ゲーミング(カジノ)運営事業者の業務プロセスに係る内部統制に対する規制です。本稿では、一例として米国ネバダ州のゲーミング(カジノ)運営事業者に求められている『最低限準拠すべき内部統制の基準(Minimum Internal Control Standards: MICS)』をご紹介します。

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Ⅰ. はじめに

ゲーミング(カジノ)産業においては、継続的成長のために社会的信頼が不可欠であり、ゲーミング(カジノ)産業の透明性を維持するため、ゲーミング(カジノ)に係る厳格な法規制を整備し、規制当局による監視・管理が行われるのが一般的です。その中でも、他の産業では見られない特徴的な法規制のひとつとして、ゲーミング(カジノ)運営事業者の業務プロセスに係る内部統制に対する規制があります。ゲーミング(カジノ)運営事業者が、マネーロンダリングなどの対策を適切に行うことに加え、ゲーミング(カジノ)税の算定や適正な財務報告を行う観点からも内部統制が重要視されているためです。本稿では、一例として米国ネバダ州のゲーミング(カジノ)運営事業者に求められている『最低限準拠すべき内部統制の基準(Minimum Internal Control Standards: MICS)』をご紹介します。

日本では、特定の産業の内部統制について詳細に規定するような法規制はこれまで例がありません。日本における法規制の整備においては、『最低限準拠すべき内部統制の基準(MICS)』は重要な論点のひとつになることが想定されます。

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Ⅱ. ネバダ州でゲーミング(カジノ)運営事業者が最低限準拠すべき内部統制の基準

ネバダ州規則6.090では、ゲーミング(カジノ)運営事業者に対して、ゲーミング(カジノ)税とライセンス手数料の金額の決定および財務上の業務についての有効な内部統制の実施のため管理上および会計上の手続きの構築が求められています。この手続きは、下記の目的を合理的に保証するために整備される必要があります。

上記の規則を受けて、ネバダ州ゲーミングコントロールボードは、ゲーミング(カジノ)運営事業者が最低限準拠すべき内部統制の基準であるMICSを設定しました(現在、2014年10月に発効されたVersion 7が適用されています)。

ネバダ州では、すべてのゲーミング(カジノ)運営事業者はMICSに従った内部統制を整備・運用することが要求されています。内部統制の整備および運用評価にあたっては、業務記述書やフローチャート等の文書を作成することが実務上のスタンダードとなっています。また、一定規模以上のゲーミング(カジノ)運営事業者は、内部統制の状況を記述した文書について独立会計士によるレビュー後、ネバダ州ゲーミングコントロールボードに提出し、ゲーミング委員会の承認を得ることが要求されています。

なお、ネバダ州以外でもゲーミング(カジノ)が合法化されている主要な国や地域では、同様に法令でゲーミング(カジノ)運営事業者が内部統制を整備・運用することが規定されています。
ネバダ州のMICSで規定されている項目は表のとおりです。

このうち、テーブルゲームの業務プロセスに関連する内部統制としてMICSで規定されている項目は表のとおりです。 

Ⅲ. 日本における法規制の整備における論点

日本では、特定の産業の内部統制について詳細に規定するような法規制はこれまで例がありません。「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR 実施法案~に関する基本的な考え方(案)」においてマネーロンダリングの防止等が盛り込まれていることから、日本における法規制の整備においても、『最低限準拠すべき内部統制の基準(MICS)』は重要な論点のひとつになることが想定されます。


※図表につきましてはPDFをご確認ください

IR(統合型リゾート)ビジネスグループの最新活動

下記IR(統合型リゾート、Integrated Resort)についての海外事例のナレッジを提供している、IRビジネスグループの最新の活動をご紹介いたします。

 

【IRビジネスグループの最新活動】

>IR実施国の調査報告書~平成27年度 横浜市委託調査
先進的な統合型リゾート導入事例等について情報を収集・集約・整理・分析等を行い、横浜市の取り組みを支援。

>IR整備状況などの調査報告書~平成26年度 東京都委託調査
海外における統合型リゾートに関する調査業務を受託。

>特定複合観光施設区域に関する調査~平成26年度 内閣官房委託調査
海外での先進的な統合型リゾート導入事例等について情報を収集・集約・整理・分析し、統合型リゾートを検討する内閣官房の取り組みを支援。

>書籍『カジノ産業の本質 ~社会経済的コストと可能性の分析~』を監訳(2015年6月発行)
カジノの光と影/IRビジネスを経済の視点から解説。

>『月刊レジャー産業資料』2015年6月号〔特集〕統合型リゾートに執筆
「海外にみるギャンブル依存症対策の枠組み」と題して、有限責任監査法人トーマツ パートナー 仁木 一彦 および マネジャー 西 翼 が執筆。

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