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MICEに係る各国の取り組み

統合型リゾート(IR:Integrated Resort)

アジア太平洋地域における国際会議の開催件数上位5カ国である日本、中国、韓国、シンガポール、及びオーストラリアではMICEを成長分野と捉えて取り組みを強化しており、アジア太平洋地域における誘致競争が激化しています。本稿では、MICEに係る各国の取り組みについて解説します。

MICEに係る各国の取り組み

I. はじめに

近年、海外の統合型リゾート(以降「IR」)では、複合施設の中に会議場や展示施設等のMICE(※)に関連する施設が併設される事例が多く見られます。
日本においても、『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案』にて特定複合観光施設を「カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設」とし、会議施設、展示施設を含めた特定複合観光施設の検討がなされています。
日本政府観光局(JNTO)によると、2004年にアジア太平洋地域において2,004件だった国際会議の開催件数は、2013年に約1.85倍の3,702件に増加しました。観光庁によれば、これはアジア太平洋地域の国々の経済成長や、国際会議をはじめとしたMICE誘致・開催に係る取り組み強化のためであると言われています。
特に、アジア太平洋地域における国際会議の開催件数上位5カ国である日本、中国、韓国、シンガポール、及びオーストラリアではMICEを成長分野と捉えて取り組みを強化しており、アジア太平洋地域における誘致競争が激化しています。

(※)MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行、Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。


II.  アジア太平洋地域の開催件数上位国の取り組み

これまで、中国、韓国、シンガポール、及びオーストラリアは、会議施設・展示施設の建設・拡張や人材育成を行ってきました。また、その他にもMICEの誘致・開催に係る独自の取り組みを実施しています。(図表1参照)。
観光庁によると、特に韓国、シンガポール、及びオーストラリアは国家レベルでの取り組みを強化しており、誘致を戦略的・中長期的に強化するためのマーケティング戦略を策定・実施しています(図表参照)。

<アジア太平洋地域 主要国の取り組み> 

アジア太平洋地域 主要国の取り組み
出典:観光庁の開示資料等をもとにデロイト トーマツ グループ IRビジネスグループが作成(クリックで拡大します)
III. 日本の取り組み

日本では、2012年11月に観光庁が有識者やMICE関係者からなる「MICE国際競争力強化委員会」を設置し、2013年には、MICEは『観光立国実現に向けたアクション・プログラム』では観光立国実現に向けた主要な柱の一つとして、『日本再興戦略』では多くの人や優れた知見・投資を日本に呼び込む重要なツールとして位置付けられました。
また、2013年に観光庁は公募により「グローバルMICE都市」を7都市、及び2015年に「グローバルMICE強化都市」を5都市選定し、外国人専門家によるコンサルティング、海外MICE専門誌の記者招請等による広告宣伝、ステークホルダーとの連携支援、セミナーの開催などの支援を行うとともに、JNTOと共にMICE誘致アンバサダープログラムを開始し、国際会議の誘致活動を支援しています。
そのほか、「グローバルMICE都市」及び「グローバルMICE強化都市」をはじめとした多くの自治体が取り組みを実施しています。

2018年6月に観光立国推進閣僚会議で決定された、「観光ビジョン実現プログラム2018」(観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2018)においても観光立国実現に向けた主要な柱の一つとしてMICEが位置付けられており、観光庁はこれらの戦略に基づく具体的なアクションを通じて、MICEの一層の発展を図るとしています。

今後、MICE誘致・開催の国際間競争を勝ち抜くためには、国・自治体・民間事業者が連携し、戦略的に取り組みを強化することが求められます。

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また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

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