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カジノに係る法規制・カジノ管理委員会の概要~ビクトリア州

統合型リゾート(IR:Integrated Resort)

本稿では、統合型リゾート(IR:Integrated Resort)ビジネスの理解を深めていただくため、シンガポールで法規制の整備及び規制当局の設置に際し、ネバダ州等と同様参考にされた、ビクトリア州のゲーミング(カジノ)に係る法規制や規制当局の概要についてご説明いたします。

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Ⅰ. はじめに

オーストラリアのビクトリア州では、州の経済政策として、観光産業、雇用及び経済の発展のため、また、メルボルン地区の再発展のため、同国の他の州と比べると最も遅い1991年にゲーミング(カジノ)が合法化されました。

メルボルン地区におけるゲーミング(カジノ)運営者の選定は2段階で行なわれました。まず、入札(Expression of Interest)により、応募した23社の中から3社を選出し、その後選出した3社に対してより具体的な事業提案書の作成を要請し、最終的にクラウン・リゾーツを選定しました。現在、クラウン・リゾーツが同州で営業を行う唯一のゲーミング(カジノ)事業者となっています。

ビクトリア州のゲーミング(カジノ)に係る法規制や規制当局の体制は、シンガポールで法規制の整備及び規制当局の設置に際し、ネバダ州等と同様参考にされており、日本においても参考にされることが想定されます。

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Ⅱ. ビクトリア州のゲーミング(カジノ)に係る法規制、規制機関の概要

ビクトリア州では、州政府が、カジノ管理法(Casino Control Act 1991)、ギャンブリング規制法(Gambling Regulation Act 2003)、また、これらの法令を補足する諸規則(カジノ経営同意法:Casino (Management Agreement) Act 1993、プレミアム顧客に係るギャンブリング規制:Gambling Regulation (Premium Customer) Regulations 2011 等)において、ゲーミング(カジノ)に係る諸規制を規定しています。

カジノ管理法では、カジノ産業の規制構造、運用、統制等について規定しており、ギャンブリング規制法では、 カジノを含むゲーミング全般の規制構造、運用、統制等について規定しています。また、カジノ管理法、ギャンブリング規制法に規定されている内容を補足するために、補足諸規制が制定されています。

加えて、ビクトリア州においてカジノ運営を許可されている企業は1社のみであるため、法規制に記載のない取り決めや、ライセンスに係る詳細事項等については、州政府とカジノ運営者との間で交わされた同意書(Consolidated Casino Agreement)で規定されています。

ビクトリア州では、司法省の下に、ギャンブル及びアルコール規制委員会(Victorian Commission for Gambling and Liquor Regulation)があり、ゲーミング(カジノ)産業の透明性を維持するために監視・監督を行なっています。ギャンブル及びアルコール規制委員会は、カジノ管理法及びギャンブリング規制法を施行する他、管轄下にある各局を通じて、運営に係る様々な法規制を施行しています。(図表1参照)。

ビクトリア州では、ゲーミング(カジノ)事業に携わる法人・個人はライセンスの取得が義務付けられており、主にカジノ運営者、ゲーミング機器の製造事業者・販売事業者がライセンス取得の対象となっています。ライセンス対象者による申請後、ギャンブル及びアルコール規制委員会による審査を経て、ライセンス付与の最終判断が行われます。

ビクトリア州では、カジノ運営者に対してカジノ税が課税されます。カジノ売上高に対する課税率は、富裕層顧客から得た売上高と、それ以外の顧客から得た売上高によって異なり、富裕層顧客に対する課税率が、その他の顧客に対する課税率よりも低く設定されています。また、カジノライセンスに対するライセンス料や、ゲームの種類やスロットマシンの台数に応じた一定率が課されます。


※図表につきましてはPDFをご確認ください

IRビジネス・リサーチグループの最新活動

下記IR(統合型リゾート、Integrated Resort)についての海外事例のナレッジを提供している、IRビジネス・リサーチグループの最新の活動をご紹介いたします。

 

【IRビジネス・リサーチグループの最新活動】

>IR実施国の調査報告書~平成27年度 横浜市委託調査
先進的な統合型リゾート導入事例等について情報を収集・集約・整理・分析等を行い、横浜市の取り組みを支援。

>IR整備状況などの調査報告書~平成26年度 東京都委託調査
海外における統合型リゾートに関する調査業務を受託。

>特定複合観光施設区域に関する調査~平成26年度 内閣官房委託調査
海外での先進的な統合型リゾート導入事例等について情報を収集・集約・整理・分析し、統合型リゾートを検討する内閣官房の取り組みを支援。

>書籍『カジノ産業の本質 ~社会経済的コストと可能性の分析~』を監訳(2015年6月発行)
カジノの光と影/IRビジネスを経済の視点から解説。

>『月刊レジャー産業資料』2015年6月号〔特集〕統合型リゾートに執筆
「海外にみるギャンブル依存症対策の枠組み」と題して、有限責任監査法人トーマツ パートナー 仁木 一彦 および マネジャー 西 翼 が執筆。

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