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IR運営事業者選定~シンガポールの事例

統合型リゾート(IR:Integrated Resort)

本稿では、統合型リゾート(IR:Integrated Resort)について、シンガポールで実施されたIR運営事業者の選定プロセスについてご説明いたします。

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Ⅰ. はじめに

我が国では、「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)」において、IRの設置区域は地方公共団体の申請に基づいて国が指定した区域に限定することが検討されています。また、設置総数・設置区域を限定すること、IRの運営を行う民間事業者は、地方公共団体が公募で選定すること等も、併せて検討されています。

 

● IRの設置総数・設置区域は限定し、慎重かつ段階的な導入を図る

カジノを含むIRは、全国津々浦々に設置すべき施設ではない。わが国におけるその施設総数・設置区域を明確に限定し、かつ、その着実な施行を確認して、段階的に設置することを基本とする。

● 地方公共団体の申請に基づき、国がIRの設置区域・地点を指定する

カジノを含むIRが設置される区域・地点の指定は、地方公共団体による提案・申請をもとに、国がこれを評価・判断し、指定する。

● カジノの施行は民設民営を基本とし、区域指定を受けた地方公共団体が民間事業者を選定する

指定を受けた地方公共団体は、IRを自らの費用とリスクによって整備し、運営する民間事業者を公募により選定することを基本とする。

「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)」(2013年11月12日国際観光産業振興議員連盟(IR議連)公表)より一部抜粋

 

シンガポールにおいても、2010年のIR開業にあたり、予め設置区域をマリーナベイエリア及びセントーサエリアの2ヶ所に限定し、IR運営を行う民間事業者を選定していることから、我が国での事業者選定の検討状況の参考になると考えられます。

 

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Ⅱ. シンガポールの事業者選定

シンガポールにおける事業者選定では、RFC(Request for Concept、事業構想公募)・各社の適格性審査を実施後、RFP(Request for Proposal、事業提案公募)を実施し、事業者を選定しました。RFCでは、IR設置区域をマリーナベイエリア及びセントーサエリアに限定し、これらの区域でIRを運営する場合のコンセプトを公募しました。また、RFPでは、シンガポール政府が事前に事業提案仕様書を交付した後、事業提案公募を行って具体的な経営計画や施設要件を募集し、各区域においてIRを運営する事業者を選定しました。

シンガポールの事業者選定では、事業構想公募RFCへの参加が事業者選定にかかるRFPへの参加要件となっており、IRの構想を検討する際に多くの民間事業者からそのコンセプトや運営に関わる情報を、効率的に収集することができたと言われています。また、RFPにおける事業提案内容の審査を行う際には、入札許可当局(Tender Approving Authority)を組織し、政府関係者だけではなく、建築デザインの評価サポートや事業面での評価サポートを行う国内外の専門家・有識者を集め、多角的な評価を実施しました。

Ⅲ. 日本の事業者選定

我が国で想定されている事業者選定は、IRの設置区域を地方公共団体の申請に基づいて国が指定するという点はシンガポールと異なっていますが、IRの設置総数・設置区域を限定する点、及びIRの運営を行う民間事業者を公募で選定する点では類似すると考えられるため、シンガポールの事業者選定が参考になると想定されます。

今後、IR関連法令の審議状況に伴い、IR誘致を目指す地方公共団体それぞれが、事業者選定プロセスに関してもさまざまな検討を行っていくと考えられます。

IRビジネス・リサーチグループの最新活動

下記IR(統合型リゾート、Integrated Resort)についての海外事例のナレッジを提供している、IRビジネス・リサーチグループの最新の活動をご紹介いたします。

 

【IRビジネス・リサーチグループの最新活動】

>IR実施国の調査報告書~平成27年度 横浜市委託調査
先進的な統合型リゾート導入事例等について情報を収集・集約・整理・分析等を行い、横浜市の取り組みを支援。

>IR整備状況などの調査報告書~平成26年度 東京都委託調査
海外における統合型リゾートに関する調査業務を受託。

>特定複合観光施設区域に関する調査~平成26年度 内閣官房委託調査
海外での先進的な統合型リゾート導入事例等について情報を収集・集約・整理・分析し、統合型リゾートを検討する内閣官房の取り組みを支援。

>書籍『カジノ産業の本質 ~社会経済的コストと可能性の分析~』を監訳(2015年6月発行)
カジノの光と影/IRビジネスを経済の視点から解説。

>『月刊レジャー産業資料』2015年6月号〔特集〕統合型リゾートに執筆
「海外にみるギャンブル依存症対策の枠組み」と題して、有限責任監査法人トーマツ パートナー 仁木 一彦 および マネジャー 西 翼 が執筆。

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