レーシングドライバー佐藤琢磨氏から“未来のヘルスケア”への学び~佐藤琢磨氏×Deloitte Digital座談会~

  • Digital Business Modeling
2022/5/23

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は、レーシングドライバー佐藤琢磨選手と2022年シーズンのテクニカルパートナーシップ契約を締結しており、そのなかでデジタル活用及び脳データ研究、次世代アスリート育成での協業などを予定しています。
本対談では、ライフサイエンス、スポーツビジネス、そして脳研究といった様々な側面で活動を推進しているメンバーがそれぞれの立場からの取り組み状況や未来を共有したうえで、佐藤琢磨氏とデロイト グループがライフサイエンス領域で共創できそうな未来について対談しました。

F1とインディの違い

根岸:佐藤琢磨氏は有名なF1とインディカーのレーシングドライバーで、我々の世代にとっては憧れの存在です。ヘルスケアという観点でみると、アスリートとしてとても素晴らしいことをやられていますね。しかし、あまりレースに詳しくない人から「ドライバー=アスリート」ということがわからないと言われることもあり、とても歯がゆい思いをしています。

レーシングドライバー

佐藤 琢磨選手

佐藤:イメージが湧かないのかもしれませんね。たとえばサッカーの場合、フィールドを全力疾走しているアスリートがいる。誰が見ても「技術面でも体力面でも、常人にはできないことをしている」と理解できます。しかし、一般的な「車」のイメージは「楽に移動できる乗り物」ですよね。だから、レーシングドライバーのことを「車を操っている人」とイメージするのではないでしょうか。

たとえばインディ500は、3時間弱という長丁場のモータースポーツで、コーナーでは4.5Gもの遠心力がかかり、ストレートは380km/hという速度で走り抜けます。集中力が途切れることはないため、1レースが終わると2〜3kg程度は体重が落ちてしまいます。それくらいエネルギーを消費するんです。

宮下:過酷なレースで最大のパフォーマンスを出すためには精神的・肉体的に健康でないと難しいと思います。勝負の場面までどんな準備をされているのかについて教えていただけますか?

佐藤:コンディショニングはとても重要視しています。たとえば、オリンピックアスリートの場合、4年に一度の大会に焦点を合わせて、計画的にコンディショニングしながら身体を作っていきます。一方、モータースポーツは、1年間に開催される17戦すべてが全力であり、調整試合などがありません。そのため、常に同じ力が出せるように身体のケアや体調管理をしています。具体的には、レースでの疲れを残さないために、レース週末はフィジカルトレーナーから毎晩マッサージを受け、身体のアライメントをその日のうちに取り直します。走行セッション前にも必ず共にウォームアップを行なっています。

あとは、自分に足りない部分はここまでやったから大丈夫、不安な部分はセッティングを変えたから大丈夫、というように、必要なパズルのピースを揃えた状態でレースに臨みます。レースはレースで、パズルを一度壊した状態から組み立てていくことになるのですが……。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Life Sciences & Health Care 執行役員 / Deloitte Digital

西上 慎司

西上:パズルの組み立てがうまくいかない場合にはどうされますか?我々のビジネスでも、想定通りというケースはほとんどありません。その時々のアクションがとても重要になるケースが多いんです。

佐藤:想定通りにいかない場合、レース中にはそれをチャンスとして捉えてアクションをしています。不確定要素が大きければ大きいほど、その瞬間のひらめきや経験、センスなどをその先に進むための材料にします。みんなが同じ条件で模索しているので、必ずチャンスはありますからね。

一方、車を降りているときは不安のほうが大きい。そのため、レースに向けてどれだけの準備ができるのかということが重要になります。オフシーズンのデベロップメントの部分でいえば、決められた時間とバジェット、リソースの中で結果を出していかなければいけないため、科学的なアプローチで物事を進めます。「数を打てば当たる」という状態では、絶対にうまくいかないですよね。

西上:勝負のタイミングに向けてしっかりと準備をするというのはビジネスと同じですね。レースはビジネスと異なり勝敗がはっきり出てしまいますが、レースの世界では、勝つ人と負ける人の差はどこにあるのでしょうか。

佐藤:成功をイメージできるかだと思います。レースでいえば、優勝することがイメージできるかどうかです。そのイメージができれば、「今、自分は何をすべきなのか」ということも分かってくる。イメージが遠すぎると、見えないこともあります。しかし方向性さえ分かれば、進むべき道も見えてきますよね。それができれば、一つ一つの目標に向けて、全力で挑戦し続けるのみです。

雪野:脳は、いい意味でも悪い意味でも「だませる」んです。佐藤さんの言うように、イメージできれば身体も勝手に動いていく。だからアスリートはイメージトレーニングがよく使われるのだと思います。最近ではVRなどの技術も発達し、実際に体験できるようにもなっています。テクノロジーの力でイメージをより明確にすることもできるでしょう。

佐藤:イメージすることは、楽しいことでもあるんです。考えるのは簡単だし、あり得ないことであってもイメージの中ではそれが実行できる。そうすると楽しくなって、何かできそうな気になってくる。そうしているうちにモチベーションも上がっていきます。

そういう点では、レースはとてもやりやすい。正確さ、技術、強さを求めていけばそこに勝利が見えてくる。自分たちの限界も超えることができるとイメージするだけで楽しくて仕方がないんです。

西上:佐藤さんはインディ500とF1のレースを経験されていますが、データの活用という点で見ると、F1とインディとでは大きく異なりますか?

佐藤:データの量という点ではF1が圧倒的に多いですね。データを解析するためのエンジニアも1台につき10名くらい必要となります。センサーの数も違いますし、それらから得られるデータを使ってリアルタイムにプログラムをアップデートしていかなければなりません。その結果を基に、たとえばパワーユニットのエネルギーを回生してパワーに変えていくといった情報や、どういったモードで走ればいいのかという情報を伝えてくれます。多くのモニターやインターコム装置、パソコンなどのシステムをゼロから作るため、膨大なコストがかかっています。

一方、インディは2方向のテレメトリーはできるものの、セッティングなどは全てドライバーに委ねられています。多くの人たちが参加できるように、コストも限りなく下げていますね。車は簡素化されているため、F1に比べればレトロな感じです。電子制御されている部分はほとんどなく、パワーステアリングすらついていません。その分、ドライバーがやることはたくさんあるのですが。マシンスペックもルールにより厳格に決まっているので、各チームの差がでにくく、参加しているチームや全てのドライバーに勝利できる可能性があることも、F1とは趣向が違うと思います。

また、インディはコースが楕円形のオーバルトラックもありシンプルです。コースを一望できるので、お客さんにとってもわかりやすい。インディは差をつけるというよりも「いかに楽しむのか」といった考え方が色濃く残っているモータースポーツだと思います。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Life Sciences & Health Care 執行役員 / Deloitte Digital

根岸 彰一

根岸:インディは人間の力を機械で拡張させるもので、F1はバーチャルの世界に近いといった感触を受けました。そういった思想の違いもおもしろいなと感じます。

佐藤:テクノロジーをどれだけ集約していくのかという「技術へのチャレンジ」という点では、間違いなくF1に分があります。一方、インディの場合は、メーカーが技術にチャレンジするというよりは、人間が関与し、人間の能力をエンハンスして380km/hで走る機械を作り、それをもっと楽しむために競争を始めた、ということなのだと思います。その競争を見て、人々が喜び熱狂しているのです。

レーシングドライバーの脳と、一般人の脳の違い

雪野:私たちの研究で、レーシングドライバーには特殊な脳の反応があるということが分かってきました。

佐藤さんを始めとするレーシングドライバーは、レース中の車の状態やピットからの無線の情報、ライバルやコースの情報といったさまざまな視覚・聴覚情報を取得し、380km/hにもなるスピードのなかで瞬時に必要な判断を行い走行しています。つまり運転行動でいう「認知・判断・操作」をハイレベルで瞬時に繰り返しているんです。

実際、レーシングドライバーと一般のドライバーとの脳の状態をMRIやfMRIで調べてみると、情報のキャッチの仕方に大きな違いが出ました。例えば、レーシングドライバーは、視覚情報をキャッチするときには、必要とする視覚領域を100%近く使っており、他の関係のない脳領域を休ませている。つまり、限られたリソースを一箇所に集中しているということが分かったんです。一方、一般のドライバーはそこまで集中しきれず、視覚領域以外の脳の領域を使ってしまっています。視覚情報だけではなく聴覚情報をキャッチするときにも、同様の傾向がみられることを確認できています。「今」必要な脳領域について、選択と集中を無意識下で行っているんだと思います。

西上:レーシングドライバーは意識して視覚に集中させているのでしょうか?

佐藤:僕は全く意識していないですね。レーシングドライバーは、もともとそういった傾向が優れているから競技の中で勝ち進むことができた、という可能性もありますよね。ただ、おそらくトレーニングによって大きく変わる部分だと思うので、レースを戦う中で精度がどんどん高くなっていったということなのかもしれません。

たとえば、レーシングドライバーがどんなに身体能力が高くても、知らないスポーツをしたらどう身体を動かせばいいのか全くわからない。そういう観点から言うと、競技ごとに発達している分野が違うのではないかと感じます。サッカー選手にボールを投げると無意識にトラップすることがあります。僕らでは、そういった対応はできませんからね。知っているから身体が動くということはあるかもしれません。

宮下:「鍛える」という部分では、レーシングドライバーは特殊なのではないかと感じています。たとえば、サッカーであれば「ドリブルのスピードをより速く」「正確にボールを蹴る」というように、その人はなにが得意なのか、どこを鍛えればいいのかということが想像しやすい部分もあるかと思いますがレーシングドライバーは、鍛えなければいけない部分がとても多い上、データ処理能力は自らキャッチしにいかなければ鍛えられない印象があります。

佐藤:確かに多くの能力を鍛えなければならないし、非常に分かりづらい。そもそもセオリーがないので、どうやってトレーニングすればいいのかということもわからないですね。
その中で重要なのが、空間認知や予測能力だと思います。380km/hといった速度で移動する際、情報処理が追いつかなくなると運転ができなくなる。だからレーシングドライバーは目先だけでなく、その後どうなっていくのか予測し続けています。つまり情報処理をし続けているんですよ。僕の場合、自転車に乗っているときも先を予測して走っていますね。

僕自身、この能力を鍛えることができたのは、子どもの頃からの経験にあるのではないかと思っています。子どもの頃、父が運転している自動車の助手席に乗るのが大好きでした。ずっと乗っていると、ある程度先の予測ができてくるようになったんです。そうなってくると、走行中のラインだけでなく、駐車するときのラインが違うのではないかということも分かるようになる。そういうときは実際に父は切り返ししていましたからね。
好きでその体験に集中していたことが、空間認知や予測の能力のトレーニングに繋がっていたのかなと思います。

雪野:レーシングドライバーで特徴のみられる脳領域として、例えば外部環境への集中力の指標となりえる領域だったり、視覚運動変換、運動視、空間ナビに関する領域などがあるのですが、そのなかでも個人によって、特徴のみられる箇所が異なることがわかっています。
我々はそれをまずは「パターン」で捉えようとしています。例えば、「いわゆる本番に強いタイプ」だったり、「練習では成績がいいのに本番で実力を発揮できないタイプ」だったりと、さまざまなタイプ分けができると考えています。
個人の特徴を捉えていくためには、例えば3年など経年で脳の発達や変化をおっていく必要があるので、これを今、研究テーマとして進めています。

根岸:定点観測してデータを分析していくと様々なことが分かりそうですね。未来のチャンピオンのデータもとり続けることができるはずですからね。そのデータから傾向などが分かるようになると本当におもしろいですね。

佐藤:お二人の話を聞いて、とても腑に落ちました。実は先日、レーシングスクールの授業の一環として、これから羽ばたいていこうとするレーシングドライバーの卵とスーパーフォーミュラのチャンピオンとが一緒にコースを走ったんです。

経験の少ない駆け出しのドライバーであっても、フリー走行であればかなり優秀なタイムでコースを回ることができます。しかし、講師のチャンピオンと一緒に走ると、経験の差からフリー走行と同じようなタイムは出せない。むしろ講師からどんどん離されてしまう生徒もいました。この離されてしまった生徒は、レースが終わった後に同じセットアップでフリー走行をすると、トップタイムを出す。そういった生徒の脳を調べれば、ある傾向が見えてくるかもしれない。

今すぐに成果に繋げていくことはできないかもしれないけれど、将来的にはポテンシャルを持っている人に対してどこを磨いていけばいいのかといった科学的なトレーニングも可能になるかもしれません。また、そこで得た知見を社会に還元すれば、より良い暮らしを実現するお手伝いができるかもしれない。そういった期待が持てる研究だと思います。

西上:データを蓄積・分析することで知見を得られるというのはその通りだと思います。ただ、日本人の場合、健康データを人に預けるということに高いハードルがあるのではないかと感じています。そのため、データベースも中々構築できていない。データの利活用に関する成功体験が少ないからかもしれません。そのような障壁を低くしていく活動も必要かもしれませんね。

私自身、これまでスポーツは「感覚」の部分が大きいと思っていたのですが、佐藤さんのお話を聞くと、科学と感覚とを融合させて考えていらっしゃる。そういったことがどうして起きたのかはとても興味があります。

佐藤:もともとは「感覚」が優位だったと思います。身体能力が優れていないと選手としては成り立ちませんからね。しかし科学の知識がなければ、失敗しながら色々と覚えていかなければなりません。レーサーだったら、自動車の構造も知っていないと結果がでるまでに膨大な時間がかかってしまう。そういったことを効率よくやっていくためには、科学と感覚の両方が必要になるでしょう。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Customer&Marketing 執行役員 / Deloitte Digital Japan Lead

宮下 剛

宮下:他競技においてもパフォーマンスを最大化するためにデータを活用するアスリートは多いと思います。また、選手一人ひとりにGPSを付けたりドローンで撮影した情報が試合の戦略にも活かされています。データが勝敗に影響するため、アスリートの方々にとって科学の知識もより重要になってくると思います。

雪野:科学的な知見も含めて、アスリートの研究をどのように社会に還元していくのかという議論も進んでいます。

私たちは、社会課題でもある交通事故の予防や高齢者ドライバーへのアプローチにも研究結果をつなげていきたいと考えています。例えば運転中の脳の活動に着目して研究を進めていますが、その中で見えてきたのは熟練者とそうでない人とは脳の活動でしっかりと判別ができるということ。言い換えると、(運転が)下手な人を上手にすることができるし、また下手になっていくメカニズムというのも脳の活動で見ていくことができるということになります。

たとえば、高齢者ドライバーの死亡事故原因として知られる認知機能の低下などにも、今の研究内容がつなげられるのではないかと期待しています。

宮下:日本は超高齢社会に入っているので、そういった領域までつなげることができれば社会的な意義も大きいですね。また、ビジネスの場面でのパフォーマンスを最大化など人材育成などにも応用できるのではないかと思います。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
dX Convergenceシニアコンサルタント / Deloitte Digital

雪野 皐月

雪野:実は、タレントマネジメントといったことにもチャレンジしています。個々人の属性をそれこそ脳のデータも含めて多角的なデータを使い、個人のパフォーマンスをあげることも期待できると思っています。それだけでなく、チームメンバーとの相性などについても科学的に分析し、マッチングなども提案できる世界が来るのではないかと考えています。

宮下:キャリア形成などとも親和性が高い気がします。この取り組みは様々な可能性があるなと感じています。

デジタルの利活用でヘルスケアが変わる

根岸:これまでのお話を伺って、レーシングドライバーは「究極のデジタルツイン」を実践されているといった印象を受けました。たとえば医療の世界であれば、遺伝子変異によって身体の中のタンパク質がどのように変わってきたのかを見ることができる場合がありますし、投薬した際の体内における動きをシミュレーションすることもできるようになっています。また、どうすれば病気にならないのかといった領域にもデジタルツインが活用され始めています。

レーシングドライバーは、シミュレーションやデータといった世界と生身の人間とを融合させるといった作業を継続的に行っている。それで成果を出しているのがとても素晴らしいことだなと思いました。

佐藤:これまでF1などでは、テクノロジーを高めるためにさまざまな活動をしました。しかし、時代が変わり、これまで未開拓だったアスリートの研究が始まっているのだと思います。そういったアスリートの研究を進めていけば、結果として一般の人に還元されます。これはF1で培った技術が市販車に反映されていった歴史と重なる部分もありますよね。そういったエコシステムができあがっていくとおもしろいですね。

根岸:確かに、ヘルスケアの世界でも、人間の持てる能力を拡張しようという流れはあると思います。医学や薬学の世界では、体内に存在するそもそもの免疫機能を高めるといった分野があり、それはまさに人間の能力を拡張する方向に向かっていると言えますね。

西上:医療の力を借りずに最後まで生きるということを究極のゴールにしている人もいますよね。病気はならない方がいいし、体調不良にもなるべくならないように生活できた方がいい。そういった方向性もあると思います。

佐藤:フィジカルの調整は非常に時間がかかりますよね。たとえば、骨の位置がずれている場合、整体などで骨などを正しい位置にすることはできますが、しばらくすると元に戻ってしまう。そうならないためには、時間をかけて筋肉の付き方などを変え、アライメントをとっていくしかない。そうすることで健康になり。免疫も上がってコンディションを保つことができる。僕自身、実際にレースをする中で、そういった体験をしてきました。

もちろん、即効性が必要な場合もあります。そういったときには薬剤を使ったりすることもあるでしょう。ただ健康管理となると、自ら内側から持っていくしかないですよね。

根岸:佐藤さんは、フィジオロジーの話を自分の体感として語れるのが素晴らしい。究極のスポーツをしてきたからこそと思います。それだけに説得力もありますよね。

佐藤:僕自身、アスリートとして頂点を目指してきました。その思いが今はデータとなり、社会還元できるようなシステムを作ることができるんじゃないかというところまで来ている。それも、多くのタレントのかけ算から生まれているだのだと思います。

僕の経験やデータを次の世代に活かすことができる、社会還元して高齢者の死亡事故が減らせるかもしれないなんてことができるかもしれない。そんな未来が来るなんて、全く想像していませんでした。これはとてもおもしろいことですし、全く違った観点で物事を見ることができるようになりました。多くの専門家の皆さんと一緒に活動することで、このような未来が見えるようになっている。本当に毎日が発見の連続で楽しいですね。

根岸:「楽しい」ということの重要性は、我々も実は考えていました。実際、我々の中期経営計画における最重要目標に「ウェルビーイング」が含まれています。

これまでデロイトのライフサイエンスのチームは、病気の人や患者さんをどうしていけばいいのか、そのためには製薬企業や医療機器の会社をどうご支援していけばいいのかということが重要だと考えていたんです。しかし、病気になっていない人、健康なひとたちをどうサポートしていくのかということも非常に重要だと気がつきました。「楽しさ」や「幸せ」を感じる人がひとりでも多くなるような活動をしていきたいと考えています。

西上:デロイトという観点でいえば、ビジネスを成立させることも重要なのですが、やはり新しいことにどんどんチャレンジしていきたい。ワクワクするようなことにも挑戦しています。たとえば「宇宙×ヘルスケア」といった取り組みもしています。佐藤さんというスペシャルな経験をされた方と未来を創造するヒントになるような情報発信をさせて頂き、多くの人にいい影響が与えられるのではないかと感じています。

――ありがとうございました。

PROFESSIONAL

  • 西上 慎司/Shinji Nishigami

    デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
    ライフサイエンス&ヘルスケア/パートナー

    民間シンクタンクを経て現職。製薬、医療機器メーカーを中心に、マネジメント変革、グローバル組織設計、デジタル戦略・組織構築などのプロジェクトを手掛ける。ヘルスケアの未来像を描いた「データドリヴン・ライフブリリアンス」の監修など、講演・寄稿多数。

  • 根岸 彰一/Shoichi Negishi

    デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
    ライフサイエンス&ヘルスケア/パートナー

    医薬・医療機器等の内資/外資系ライフサイエンス企業や他業界からの参入企業に対して、戦略立案、オペレーション/組織改革、およびデジタル戦略立案/実行支援、アウトソーシング戦略立案、当局規制コンプライアンス対応などのプロジェクトをクロスボーダー案件も含め数多く手がけている。

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