各界レジェンドの声を届ける『THE WORDWAY』が切り拓く、新たなデジタルメディアの世界
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各界のレジェンドの声を、テキストと音声のハイブリッドスタイルで届ける「THE WORDWAY」。その企画プロデューサーでプロラクロスプレーヤーでもある山田幸代氏と、本企画に賛同し登場した柔道家井上康生氏をゲストに迎え、「THE WORDWAY」の価値や魅力について、Deloitte Digital Japan Leadの宮下 剛が「Deloitte Digital Week 2022」で鼎談を行いました。モデレーターは、Deloitte Digital シニアスペシャリストリードの上田圭祐が担当いたしました。
言葉を循環し、「昨日の自分を超え続ける」大人を増やす
——今日はスポーツアンカー、プロラクロスプレーヤーの山田幸代さんと柔道家の井上康生さんをゲストにお迎えしています。まずは自己紹介からお願いします。
山田:ラクロスというマイナースポーツのプロ選手として15年ほど活動しています。日本やオーストラリアの代表選手として世界大会に出場したこともありました。会社の経営や大学の客員教授を務める傍ら、スポーツの価値向上やラクロスの普及にも携わっています。
井上:これまでさまざまなことを経験しましたが、こういった場はどうも馴染みがなくて緊張してしまいます。本日は、柔道家として現役時代や監督時代の経験を通じて培ってきたことを紹介しながら、皆さんと共に成長できるような時間にしていきたいと思っています。
——今回の鼎談は、山田さんが企画を推進し、デロイト デジタルもスポンサーとして応援しているウェブマガジン「THE WORDWAY」がきっかけで実現しました。毎回各界のレジェンド、“アチーバー”の方々が登場する企画ですが、井上さんもそのおひとりでした。山田さんと井上さんは異なる競技で活躍されていますが、どのような形で知り合われたのでしょうか。
山田:アスリートは競技の枠を超えた交流が盛んで、食事会なども開催しています。そこでいろいろとお話する機会がある中、私自身井上さんの言葉にとても刺激を受けました。実際、自分の競技で頑張ることができたのも、こうした言葉の影響があったと思います。アスリートの師匠としていつも勉強させていただいています。
井上:山田さんはいつも笑顔で、自分の競技に対する情熱も持たれている。仕事等もご一緒させて頂いて現在に至ります。こうしたアスリート同士の横連携は、以前よりもさらに活発に行われていて、選手や指導者だけでなく、スポーツに関連する人たちにも輪が広がってきています。最近ではSNSなどデジタルを活用することでより一層距離が近づいている部分もあり、スポーツの価値・魅力をみんなで広げていける場が増えているのは、とてもいいことだと思っています。
——ありがとうございます。「THE WORDWAY」についてお聞きしたいのですが、これはどのようなメディアなのでしょうか。
山田:「昨日の自分を超え続ける大人を増やす」というビジョンを掲げています。次の一歩を踏み出すことに悩んでいる方、自分自身の成長の鈍化を感じている方などに届けたいと思っています。
そのため、次の目標を見つけて行動するためのヒントを数多く提供しています。音声と文字をコンバインさせているため、本人の音声で本人が届けたい想いや言葉が聞けるというのも特徴でしょう。
私自身、「言葉」を循環させることが重要だと思っています。まず、レジェンドやトップランナーの皆様に参加してもらい、その言葉や想いをトリガーとして、読者の方々が行動を変えるというアクションにつなげていきたいと思っています。そして読者の方には「どう行動し、それによってどういった変化があったのか」を次の方につなげ、その成長の過程をフォローしていく。そんなメディアになっていきたいと思っています。
——「THE WORDWAY」は、毎週月曜日に新しい記事が公開されます。その中で、井上さんのインタビューでは肉声も聞くことができますね。例えば、「熱意と創意と誠意という言葉をとても大事にしています。まずはその熱意をどれだけ持てるかということ。根性や精神という意味じゃなく、自己肯定ではないけれど、“これをやるんだ“とか、“俺はできるんだ“という思いを持つことは、何をする上でも大事なんじゃないかなと」。こういったことを肉声で聞けるのは、すごいことだと思うんです。
山田:テキストだけでなく、「声」を聞くことで、とても納得できる部分がありますよね。本当に伝えたいことをそのまま伝えることができると感じています。いろいろな方とお話していく中で、読者の方に届けたいメッセージはやはり本人の声で届けたいと思いました。
井上:こういった場所で使っていただくのだったら、もっと格好良く話せば良かったですね。少し後悔しています(笑)
——ありがとうございます。この「THE WORDWAY」はデロイト デジタルもスポンサーとして携わっていますが、どうして応援することになったのか教えていただけますか。
宮下:デロイトはさまざまなスポーツの支援やスポンサーをしています。私たちがスポーツやアスリートの精神性から勇気やエネルギーももらっているのに対し、何か私たちがお役立てることがないかを考えてきました。こうした中で、「THE WORDWAY」が掲げるビジョンやコンセプトに共感して、こういった機会を頂きました。
山田:「言葉を届けたい」と思ってウェブメディアを作っても、仲間がいなければ届いていきません。デロイト デジタルさんの力を借りることで、私たちが創り上げるものの価値がよりしっかりと伝えることができるようになります。そういった意味で、とても感謝しています。
実際、「記事を読んで、自分でも行動してみました」「すごく力になりました」といったメッセージを頂いています。こうしたメッセージに我々もパワーをもらっています。皆さんに「言葉」がきちんと届いていると感じています。また、アスリート仲間からも反響がよく、とてもありがたいと思っています。
——今回、井上さんが「THE WORDWAY」の企画にご賛同頂いたのはどのような理由からでしょうか。
井上:山田さんの熱意やビジョンに共感してという部分が大きかったと思います。また、読者となるターゲットが自分自身にピッタリ当てはまるということがありました。
選手を終え、代表監督を終え、次なるステージで戦っていこうという中で、自分の価値をどうやって世の中に還元していけるかなと考えている中でのオファーだったんです。自分自身が発する言葉で、同じ世代で活躍されている方々と共に成長していくことができればと思いました。
宮下:実は、私も収録に立ち会っていたのですが、本当に雰囲気がいいんです。山田さんのお人柄もそうですが、制作陣の熱意やそれに応える出演者の方々のお話など、とても貴重な機会だったと思います。我々ビジネスパーソンにとっても、井上さんの「言葉」はハッとするものがありました。
スポーツの新たな価値創出を目指して
宮下:私からもいくつか質問させていただきたいのですが、コロナ禍で選手の練習環境なども大きく変わっていく中でも、昨年の東京オリンピックではとても多くの金メダリストを輩出されました。井上さんは、メディアのインタビューでその理由を聞かれたときに「選手たちが自主・自律を心がけ、やるべきことを明確にして、しっかりと戦う準備を整えてくれたことに尽きる」とおっしゃっていました。
自主・自律は、言うは易し、ただ簡単にできるものではないとおもいますが、選手の自主・自律をどうやって実現していったのか、教えていただけますか。
井上:自主・自律の要因を考えたとき、選手だけでなく、コーチやスタッフも含めて自律的で主体的に動く組織になっていたのだと思います。
コロナ禍でやれることも限られている部分がありましたが、その中でも何を目標にして進んでいくべきかを全員が理解して、日々を送っていました。だからこそ今回の結果に繋がったのだと思います。
例えば、自分自身で強化プランを考え、体重の管理やピーキングなども考慮して、最大限のパフォーマンスを試合中に発揮できるようにしていくということですね。私たちも、選手が自分たちで判断できる環境作りという点を意識しつつ、育成や組織作りをしてきたという部分はありますね。
宮下:ありがとうございます。次は「デジタル」についての質問になりますが、柔道には科学研究部というデータ分析のスペシャリストの方がいて、対戦相手や審判のデータを管理されています。選手は、そういった情報を活用して試合に臨んでいる。デジタルデータを選手の皆さんが活用できるようになるまでの苦労や工夫などについて教えていただけますか。
井上:科学研究部は本当にありがたい組織で、柔道界の力になっています。柔道界において、科学研究部はかなりの歴史があります。僕自身が現役選手の時もすでに存在していて、データを活用していました。科学研究部の力というのは、組織や選手の競技力向上には欠かせない要素だと思います。
当初、デジタルの知見を柔道界に取り込もうという動きがあったときは、多少なりアレルギーもあったようです。しかし実際にデータを活用するきっかけを作り、実績を積み上げていくことで、必要不可欠な要素だと認識されるようになったのです。
我々は科学研究部が構築したシステムを使っているだけですが、我々が使いやすいように非常に細かな部分まで勉強されて構築されたシステムだと思います。
柔道界に限らず、スポーツ界の発展にはデジタルは必要な要素だと感じています。その結果、さまざまな知見が社会に還元できるような形を作ることができたら素晴らしい。またデジタルを活用することでスポーツの価値も上げていくことができると期待しています。
宮下:とても奥深いお話だと思います。もう一点、「指導」という観点で、井上さんはあえて全てを話さず、選手自身が考えるように促すというお話も伺いました。選手にどこまで言うべきか悩む部分もあるかと思いますが、その際のポイントなどはありますか。
井上:私が成長してきた経験を振り返ると、2つの方法がありました。1つはレールに乗って成長していくという方法。もう一つが自律を促す指導によって成長するという方法。どちらも経験した中で、やはり自分自身で考え、切り拓き、戦うということが成長の重要な要素ではないかと考えました。
そのため、何でも答えを与えるのではなく、選手が自分で考え、苦労し、乗り越えていくという力を育んでいく必要があります。これはスポーツだけではなく人生においても重要な能力だと思っています。
では、どうやって育んだというのかという話ですが、たとえば試合終了後に、選手自身が分析できるように「今日はどうだったのか」と聞くことを続けていました。そしてそれを自分で言葉として言語化できるようにしていました。こうした場面を作ることで、成長を促せるよう心掛けてきました。
——井上さんのお話は、ビジネスとも重なるお話が本当に多いと感じます。まだまだお話を伺いところですが、あっという間にお時間となりました。最後にお二人からスポーツの価値について、お話頂けますか。
山田:スポーツを通して、本当にいろいろな学びがあると思っています。私も選手として海外に飛び出したのですが、スポーツという武器があるからこそ、言葉が通じなくても友だちがたくさんできました。体を動かすことはもちろん、自身を成長させ、行動を起こすための一歩になると思っています。
井上:スポーツは本当に多様な力を持っていると感じています。自身を成長させるという力もあれば、社会に還元できる力もある。山田さんが言うように世界との結びつきも持つことができる……。そういった複合的な魅力や価値を持っていると思っています。
柔道を創設された嘉納治五郎先生の言葉ですが、柔道の究極の目的は「世を補益」すること。この言葉はまさしくその通りだと思いますが、それを実際にできているのかというと、まだまだです。実現していけるようにしていきたいですね。
また、自分自身や周りの方々が豊かで幸せになってもらえるように力を注いでいきたいと思っています。今後も、そういった観点で柔道に携わっていきたいですね。
宮下:デロイト デジタルでは、「デジタル×人間らしさ」や産官学横断といったキーワードを使っていますが、スポーツはまさにそれらが重なる所だと思いました。よく「筋書きのないドラマ」といった言葉も聞きますが、これからの世の中ではこうしたスポーツの重要性が益々高まってくると思っています。
我々もスポーツはもちろん、スポーツの新たな価値の創出を推進していこうと思っています。
——本日はありがとうございました。
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カスタマー・マーケティング リーダー 兼 広告・マーケティング・EC・ブランド リーダー
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員DTCのCRM組織責任者。外資系、総合系コンサルティングファームを経て現職。コンタクトセンターなどの顧客接点変革をはじめ営業力強化、顧客サービス向上といったテーマの戦略立案からオペレーション・組織変革、IT導入変革支援まで幅広い領域に従事し約25年の経験を有する。寄稿、講演等多数実施。