調査レポート

2015年アジアパシフィックにおける金融セクターディールの状況

デロイトの調べでは、2015年にアジアパシフィックの金融セクターのディールフローは約200件で、金額にして700億ドルを超えた。

The biggest financial sector deals of the year, Asia Pacific – 2015 日本語サマリー

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マーケットアップデート

世界経済は大幅に鈍化している。中国やヨーロッパの不安定さ、特にヨーロッパで続く高い失業率、商品価格の下落、移民・内戦やテロなどの地政学的な問題が、世界経済の回復の見通しに大きなダメージを与えている。

一部の先進国、特に米国、英国、日本は2015年に成長の改善を見せているが、それぞれの経済は脆弱であり、継続的な成長は不確実である。

エコノミスト インテリジェンス ユニットによれば、アジア・オーストラリアの2015年の成長は、中国の景気減速の影響を受け4%にとどまった。
主要貿易相手国の需要の弱さにもかかわらず、この地域の成長率は、2016年に4.1%に増加すると予測されている。というのは、多くの国が原油価格の下落と、下落直前の経済環境(投資額が低調である2017年-2020年間の年平均3.9%に落ちる)の恩恵を受けるからである。

緩やかな経済背景にもかかわらず、Dealogicによると、2015年は世界で5兆ドルを凌ぐM&A取引があり、最も忙しい年であった。今回のデロイトのレポートでは、金融サービスセクターのエクイティ取引とアセット取引(ローンポートフォリオ)に焦点を当てている。金融サービスセクターには、銀行、リース会社、自動車、消費者・消費者金融会社、クレジットカード会社が含まれる。

2015年は、約200件の700億ドルを超えるディールがあった。アジアパシフィックの多くの市場では金融セクターのディールが活発であった。

それは間違いなく、中国の市場が取引金額の面で重要な役割を果たしている。アジアパシフィックの32%にあたる、41件で220億ドル以上の取引が中国で行われている。

逆に、マレーシアでは0件、ブルネイ、ニュージーランド、サモアでは、それぞれわずか1件ずつの取引であった。

最も一般的な取引は、330億ドルの銀行買収であり、続いて136億ドルのポートフォリオ・トレード、そして135億ドルのリース資産関連取引であった。

外国人投資家にとっては、インドネシアで最も多い10件のクロスボーダー取引が行われたことが注目される。

すべての取引、特にローンポートフォリオの分野、は必ずしも公表されておらず、公表された案件でも取引金額が提供されていないことにご留意いただきたい。ローンポートフォリオについては、クライアント、市場参加者およびデロイトネットワークのデータを含めている。そのうちエクイティートランザクションに関して、我々の調査はマージャーマーケットを利用している。

世界経済の弱さにもかかわらず、低/負の金利環境下でより良いリターンを銀行が求めているので、我々は2015年よりも2016年には大きなディールフローを予想している。
我々は、欧州と米国の金融機関からこの地域への多くのインバウンド取引は期待していないが、日本と中国の銀行は、引き続き戦略的投資を探し続けており、日本の金融投資家はこの地域の不良債権処理案件への投資を探している。

外国から金融機関へ直接投資を奨励する法規制の変更により、我々がさらに活動が活発になると予測する国は、4大国以外ではインドネシアとフィリピンが含まれる。

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The biggest financial sector deals of the year, Asia Pacific – 2015
~2015年アジアパシフィックにおける金融セクターディールの状況~
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