Posted: 30 Mar. 2021 5 min. read

日本初開催「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」とは?

「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」とは

来る4月6日~7日、「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット(Global Technology Governance Summit: GTGS)」が、ここ日本で開催される。なかなか聞きなれない名称の会議であるが、「ダボス会議」で知られる国際機関、世界経済フォーラム(World Economic Forum:以下WEF)が、今年初めて開催する国際会議だ。

同じ国際機関でも、各国政府からの拠出金で活動する「国際連合」は政治的連携を目的としているが、WEFは、主にビジネス界からのサポートをベースとして、各国の産官学リーダーたちが連携することにより、世界全体や、特定の地域・産業に関わるアジェンダを形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的としており、その活動は多岐にわたる。特に、近年は、2017年に米国サンフランシスコに開設した第四次産業革命センター(Centre for the Fourth Industrial Revolution: C4IR)を中心に、AIやブロックチェーン、ドローン等に代表される第四次産業革命(4IR)テクノロジーの活用に係るプロジェクトを推進している。そして、WEFが2018年に、日本の経済産業省などと連携して、C4IRの米国外の初の海外拠点として東京に設立したのが、第四次産業革命日本センター(C4IR Japan)である。筆者は、2019年からC4IRにフェローとして出向している。

冒頭に紹介したGTGSの初会合は、C4IRのこれまでの活動のエポックを成すものだ。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、やむを得ずオンライン形式になったものの、WEFの年次総会である「ダボス会議」と同レベルの国際会議として開催される。日本がこうしたWEFの旗艦会合を初めてホストするという意味でも、画期的なイベントと言えるだろう。GTGSは4IRテクノロジーの恩恵を最大化し、そのテクノロジーの力を統御、つまり、適切なガバナンスの実現をテーマとする国際会議であり、以下の4つを中心的なアジェンダとして掲げている。

1. 産業の変革/Industry Transformation
2. 政府の変革/Government Transformation
3. グローバル・テクノロジー・ガバナンス/Global Technology Governance
4. 最先端テクノロジー/Frontier Technologies

GTGSの実際のセッションにおいては、オンライン形式の特性を活かし、主開催地の東京だけでなく、スイス・ジュネーブと米国サンフランシスコのWEF/C4IRの拠点などからも、各地域の時差を考慮した形で様々な発信がなされる予定と聞いている。世界中の有識者、リーダーたちが注目するWEFの国際会議という場において、最先端テクノロジーに関して日本を起点に、日本の強みを活かしたアジェンダ・セッティングを行うことは、この分野において日本及び日本企業のリーダーシップを世界に対して強力に示す絶好の機会でもある。

日本から世界へ向けての発信

筆者は、過去約2年間にわたり、日本人として多種多様な価値観を持つグローバルのメンバーとともにWEFで働くことを通じて、日本の強みを再認識すると共に、日本および日本企業がWEFという唯一無二のプラットフォームを活用し、自らの独自の強みを活かしながら世界をリードしていくべきだという思いを、あらためて強く抱くようになった。筆者が参画しているG20 Global Smart Cites Alliance on Technology Governance(通称GSCA)は、まさに日本がイニシアチブを取って進めてきた活動である。2019年に日本が議長国を務めたG20サミットを契機にGSCAが設立され、都市における4IRテクノロジーの倫理的かつ責任ある利用について、グローバルで共通な規範を確立することを推進している。

スマートシティ(厳密にはsmarter cities)という単語が、IBMによって初めて使用されたのが13年前の2008年。同じ年にAppleが運営を開始したApp Storeと同様に、現在そしてこれからの我々の日常生活欠かせないもの・コンセプトとなっている。パンデミックの渦中、世界中の地方公共団体および関係機関が住民の命を救うために最前線で日々奮闘している中、スマートシティ化の加速に向けて共通の規範・政策を世界中で導入していくことは、G20コミュニティを中心に世界各国から賛同を得ているのだ。

GTGSでは、4月7日(水)の日本時間午後7時から45分枠で、「Economic Recovery with Smarter Cities」というパネルディスカッションが開催される。このパネルディスカッションは、GSCAの活動をベースにした企画となっており、デロイトからもGlobal Consulting Government and Public Services LeaderのDebbie Sillsが、G20諸国の大臣や市長らと共に登壇する予定となっている。日本の皆さまに視聴しやすい時間になっているだけでなく、日本語の同時通訳の提供予定のため、是非ご覧いただきたい。(GTGSへの参加についてはGTGS公式サイトへ)

デロイトは、WEFと20年以上の長きにわたり、戦略パートナーシップを締結しており、WEFと協働で、GTGSの旗艦レポートとなるグローバル・テクノロジー・ガバナンスレポート2021を発表しているが、このレポートで示唆されている、パンデミック後の世界で成功するために求められる4IRテクノロジーの活用方法と、4IRテクノロジーに係る様々なテーマ(スマートシティ、仮想通貨、自動運転、デジタル人財育成等)についての課題を検討し、国内外に発信するために、サミットの前日にあたる4月5日に「グレート・リセットの鍵をにぎるテクノロジーガバナンス」と題したサイドイベントを、デロイトの日本メンバーとともに企画をしている。

GTGS開催という日本にとっても大きなエポック・メイキングとなるイベントを契機として、WEFとの連携を強化しながら、日本から世界に向けてアジェンダを設定し、議論をリードし、ルールを作り、新たな産業を生み出すという、グローバルな視座に立ったイノベーション・サイクルを、より主体的かつ積極的に仕掛けていくべきではないだろうか。

World Economic Forumレポート

4つの柱からなる日本の「グレート・リセット」を発表しました。4つの柱とは意識のリセット、企業文化のリセット、経済のリセット、グローバルな連携・協力のフレームワークのリセットです。

プロフェッショナル

黒石 秀一/Shuichi Kuroishi

黒石 秀一/Shuichi Kuroishi

デロイト トーマツ グループ マネジャー

長野県出身。衆議院議員秘書を経て、デロイト トーマツ コンサルティングに入社。地方創生や企業の海外事業企画、FC今治スタジアム案件等を担当。2019-2021年は、フェローとして世界経済フォーラム第四次産業革命センターに出向し、G20 Global Smart Cities Alliance on Technology Governanceに参画。現在は、デロイト トーマツ グループの政府・公共サービス部門においてグローバル戦略企画を担当している。ワシントン大学公共政策大学院 公共経営学修士課程修了。