Posted: 17 Jan. 2023 3 min. read

評価センターへの申請と院内での医師の働き方改革の取り組み

医師の働き方改革最新情報

医師の時間外労働の上限規制の適用開始となる2024年4月まであと1年と少しになりました。2022年10月に医療機関勤務環境評価センター(以下、評価センター(*1))の申請が開始され、いよいよ医師の働き方改革のカウントダウンが始まりました。今回のブログでは、評価センターの受付状況や、今から医療機関が準備すべきことをあらためてまとめました。取り組みをまったく進められていないという医療機関は多くはないと思いますが、今後、限られた時間の中で計画立てて進めていくためのヒントとしていただければ幸いです。

 

評価センターでは、2022年10月31日から評価受審の申し込みを開始しました。ご存知の方もいらっしゃることと思いますが、B、C水準の指定を受けるためには、評価センターでの評価を受けることが必須となっています。厚生労働省からは、なるべく早く申し込みを行うように情報発信されています(*2)が、その後のプロセスに鑑みても、どれだけ遅くとも7月~8月までに提出しなければ2024年4月のB、C水準の指定には間に合わないと考えられます。

また、この評価の内容は、ストラクチャ―、プロセス、アウトカムの3つの要素から構成される全88項目から成り立っています。うち18項目が必須であり、クリアできない場合は評価保留とされます。この18項目の中には、一定の実績が必要となるものもあるため、特にこの半年間の活動が非常に重要になると考えられます。

評価受審にあたっては、評価センターのホームページから評価受審の申し込みを行った後、基本情報・自己評価シートを作成し、根拠資料を添付して提出する必要があります。申し込み後30日以内に評価システムに入力しなければならないのですが、昨年末段階では、それを知らずに申し込みの取り下げを行った医療機関も少なからずあったとのことです。根拠資料も膨大な量になるため、計画立てて提出準備に取り掛かる必要があります。

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デロイト トーマツでは、医師の働き方改革を推進するための助言・指導を行っています。具体的には、各診療科の医師の働き方の状況を確認し、現場医師とディスカッションを行って、時間外労働をどのように縮減できるのか施策を探っています。実態として、医師の働き方改革で設定された時間外労働時間の上限の枠に抑えるように意図的に打刻を行い、労働実態と労働時間の記録が大きく乖離している例も少なくありません。このような状態では、一時的にA水準をクリアできたとしても、2024年以降3年毎に実施されるモニタリングで限界が来てしまいます。医師の働き方改革は労働時間の記録を形式的に上限に収めるためのものではなく、実際に医師の働き方が変わらなければ意味がありません。

評価センターが評価を行う上で重視しているのは「PDCAサイクル」を回すことです。現在の労働実態が必ずしも芳しくない状況であったとしても、それを計画立てて改善するような取り組みを継続的に行っているかどうかが重要です。この半年間で、PDCAを回すための計画や取り組みを推進することが必須であると考えられます。

医師の労働時間短縮計画の策定は事務職の方々が中心になると思いますが、医師の働き方改革の取り組みを進める上で必須なのは、現場の医師との対話です。時間外申請の記録だけでは把握できない現場の医師の労働実態はどうなっているのか、生の声を聞いて理解を深め、何の業務に時間を費やしているのか分析を行い、地に足の着いた改善に向けた取り組みを現場の先生方と一緒に考えて行くスタンスが必要であると考えます。

 

※本文中の意見や見解に関わる部分は私見であることをお断りする。

 

脚注

(*1)【医療機関勤務環境評価センター】トップページ
https://sites.google.com/hyouka-center.med.or.jp/hyouka-center
(*2)【厚生労働省】映像配信 医師の働き方改革に関する解説
https://www.youtube.com/watch?v=WPSHlNNQkr8

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執筆者

有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー 吉岡 拓也

ヘルスケア

ヘルスケア業界は疾病構造や受療行動の変化、新たな医療技術の開発などの環境変化を受けて、常に進化を続けています。医療機関や医療機関を取り巻く各種ベンダーをはじめ、ヘルスケア業界に身を置く事業者は、事業継続と将来の成長のために、環境変化に適応していかなければなりません。私たちデロイト トーマツ グループは、このヘルスケア業界が抱える難題に対し、あらゆる面でサポートします。