今さら聞けない医師の働き方改革 第3回 医師の働き方改革を実現するための取り組み ブックマークが追加されました
前回の記事では、時間外労働の上限規制を取り上げましたが、診療科によって勤務実態は異なるため、上限規制への対応の仕方も異なります。今回のブログでは、働き方改革を実現するための各医療機関における今後の取り組み方について解説します。時間外労働の上限規制の適用開始が差し迫っています。このブログが各医療機関において働き方改革の実現のための取り組みの端緒となれば幸いです。
働き方改革を実現するための具体的な取り組みには、1.単独病院で行うものと、2.地域の複数医療機関が連携して行うものがあります。
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単独の医療機関での取組は重要ですが、それだけで全ての解決は難しいと考えられます。地域の医療機関間の医師配置を見直すことで医師を確保したり、救急等の医療提供体制の見直し、診療科の見直し、病院等の再編・統廃合を通じて、地域での診療機能の重複を解消し、診療体制を見直すことが考えられます。その地域における医療に対する需要側と供給側をバランスさせることにより、あるべき医療体制が確保されるものと考えられます。
3回にわたり、医師の働き方改革の基本的な内容について解説してきました。本質的には、医師の働き方そのものを見直し、医師が働き甲斐のある職場を実現させることが重要です。しかしながら一方で、現実的には時間外労働の上限規制の適用開始が差し迫っていますので、各医療機関において働き方改革の実現のための取り組みを早期に着手することが期待されます。なお、2024年4月はゴールではなくスタートであり、本当のゴールは2035年になります。この医師の働き方改革の取り組みを良い機会として、医療を未来に繋げるため、長時間労働の解消に止まらず、持続可能な医療を提供できる体制づくりが今後求められます。
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脚注
(*1)【厚生労働省(いきサポ)】「病院長、医師として押さえておくべき、医師の働き方改革」(P41、参考資料集部分:P53以下)
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/information/2021/20220404_02.pdf
(*2)【厚生労働省(いきサポ)】トップページ
http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/
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有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー 吉岡 拓也
有限責任監査法人トーマツ マネジャー 柳井 崇幸
第1回 なぜ今医師の働き方改革が必要なのか
第2回 医師の働き方改革が求める2024年4月からの勤務環境
第3回 医師の働き方改革を実現するための取り組み