Posted: 18 Nov. 2022 3 min. read

医師の働き方改革が求める2024年4月からの勤務環境

【シリーズ】今さら聞けない医師の働き方改革 第2回(全3回)

前回の記事では、医師の長時間労働に支えられた医療業界において医師の働き方改革は喫緊の課題であることを解説しました。今回のブログでは、医師の働き方改革について、2024年4月から適用される医師の時間外労働の上限規制の概要について解説します。上限規制の内容については関連記事のリンクも併せてご確認ください。

1.医師の働き方改革の概要

勤務医には以下に挙げる水準に沿って時間外労働規制が適用されます。

A水準:2024年4月から医師の時間外労働上限を適用し、原則として年間960時間以下とする。
B水準:救急医療など地域医療に欠かせない医療機関の場合、時間外労働を年間1860時間以下とする。
連携B水準:地域の医療提供体制を確保する為に医師を派遣する医療機関の場合、個々の医療機関での時間外労働を年間960時間以下とするが、全医療機関の通算は年間1860時間以下とする。
C水準:研修医など短期間で集中的に多くの症例を経験する必要がある場合、時間外労働を年間1860時間以下とする。

なお、時間外労働規制に加えて、追加的健康確保措置を導入することが必要となります。具体的には「連続勤務時間制限」「勤務間インターバル」「代償休息」と「面接指導・就業上の措置(就業制限等)」を指し、「面接指導・就業上の措置」は全水準で「義務」とされる一方、「連続勤務時間制限」「勤務間インターバル」「代償休息」はB水準・連携B水準・C水準は「義務」となりますが、A水準は「努力義務」とされています(*1)

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2.医師の働き方改革に必要な対応

時間外労働の上限規制に対応するためには、医療機関において診療科毎に医師の労働時間を客観的な手法により把握する体制を構築する必要があります。また、今後、労働時間短縮計画(*2)を作成し、短縮に向けた取り組みを行っても、時間外労働時間が年間960時間を超える勤務医がいる場合には、医療機関勤務環境評価センター(*3)の審査を受け、都道府県からB水準の指定等を受けなければなりません。2024年4月以降は、年960時間超の時間外・休日労働が可能となるのは、都道府県知事の指定を受けた医療機関で指定に係る業務に従事する医師(連携B・B・C水準の適用医師)のみとなります。

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脚注

(*1)【厚生労働省(いきサポ)】「病院長、医師として押さえておくべき、医師の働き方改革」(P15、P78~P81)
※(いきサポ)は「いきいき働く医療機関サポートWeb」
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/information/2021/20220404_02.pdf
(*2)【厚生労働省】「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000919910.pdf
(*3)【厚生労働省(いきサポ)】「医療機関勤務環境評価センター」
https://sites.google.com/hyouka-center.med.or.jp/hyouka-center
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執筆者

有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー 吉岡 拓也

有限責任監査法人トーマツ マネジャー 柳井 崇幸

 

ヘルスケア

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