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ISSBはフィードバック・ステートメントを公表してアジェンダコンサルテーションを終了

2024年6月24日

2023年5月4日、国際サステナビリティ基準審議会 (ISSB) は、今後の業務計画の戦略的方向性と全体的なバランス、ISSBが取り上げる可能性のあるサステナビリティ関連事項について、広く一般からの意見を求めるため、初の公開協議を開始しました。
 

背景

アジェンダの優先度に関するISSB協議は、2022年7月に初めて議論され、アジェンダの優先度に関する公開協議を条件として、ISSBが初期作業計画を策定し、遂行することが決定されました。

ISSBは、以下に関する意見を収集するための情報要請を公表することを決定しました。

  1. ISSBの活動の戦略的方向性とバランス。
  2. ISSBの作業計画に追加する可能性があるサステナビリティ関連事項(トピック、産業および活動を含む)の優先度についての提案された評価規準の適切性。
  3. ISSBの作業計画に追加する可能性があるサステナビリティ関連事項(トピック、産業および活動を含む)のリスト案。
     

情報要請に対するフィードバックおよびISSBの決定

情報要請で協議された分野について、ISSBは以下のフィードバックを受け、以下の決定を行うことにより対応しました。

●ISSBの活動の戦略的方向性とバランス
フィードバックによると、ほとんどの利害関係者は、IFRS S1およびIFRS S2の導入を支援することが、今後2年間のISSBの最優先事項と考えていることが示されました。ISSBは、IFRS S1およびIFRS S2の導入支援に高いレベルの重点を置き、SASBスタンダードの強化および新しいリサーチプロジェクトの開始にはやや低いレベルの重点を置くことを決定しました。

●ISSBの作業計画に追加する可能性があるサステナビリティ報告事項の評価規準
ほとんどの回答者は、ISSBによって識別された規準が適切であると同意しました。少数の回答者は、規準には相互運用性(interoperability)、異なる重要性の概念、グローバルな適用可能性、IASBの作業計画とのつながり(connectivity)に関する考慮事項を含めるべきであると述べました。ISSBは、情報要請で提案した7つの規準のうち6つについては実質的な変更を行わず、提案するプロジェクトが他のプロジェクトとどのように関連するかについての規準については、ISSBが他の関連する基準設定者の作業を考慮することを明確にするために変更することを決定しました。

●ISSBの作業計画に追加する可能性がある新しいリサーチおよび基準設定プロジェクト
情報要請の2つのコアセクションの1つ。一般的な考慮事項を含み、(i)生物多様性、生態系および生態系サービス、(ii)人的資本、(iii)人権に関する潜在的なプロジェクトを紹介しました。各トピックについて、サブトピックを識別し、回答者に優先度を付けるように依頼しました。回答者は、ISSBが優先すべき単一または複数のプロジェクトについて、さまざまな見解を示しました。ほとんどの回答者は、情報要請で識別され、提案されたプロジェクトのうち少なくとも1つを優先するとするISSBを支持しましたが、各プロジェクトの相対的な優先度に関する見解は様々でした。ISSBは、生物多様性、生態系、生態系サービスおよび人的資本に関連するリスクと機会に関すリサーチプロジェクトを作業計画に追加することを決定しました。

●報告における統合
情報要請のもう1つのコアセクション。当初は、IASBの経営者による説明(management commentary)プロジェクトと統合報告フレームワークに基づいて構築された、報告のつながり(connectivity)に関するIASBとの共同プロジェクトが想定されていましたが、情報要請では、そのようなプロジェクトはリソースが集中的に必要となる可能性があると警告し、そのようなプロジェクト(共同またはISSB単独)をISSBの当初2年間の作業計画の一部とすべきかどうかを尋ねました。回答者からのフィードバックでは、報告における統合は多くの利害関係者にとって重要ですが、ほとんどの投資家にとっては優先事項ではないと指摘しました。投資家の約2/3は、ISSBは報告における統合に関するプロジェクトの優先度を下げるべきであると回答したか、または報告における統合に関するコメントはなく、他の活動に集中するようISSBに求めました。このフィードバックに応えて、ISSBは、サステナビリティ関連財務開示と財務諸表との間の情報のつながりを提供するにおいて、IFRS S1およびIFRS S2の重要な成果を引き続き発展させることができることに言及し、統合報告フレームワークの継続的な利用と採用に対する支持を改めて表明しました。

関連情報

以下の追加情報は、IFRS財団のウェブサイト及びDeloitte IAS Plusで入手可能です。

原文(英語)は、Deloitte IAS Plusからご覧ください。
ISSB concludes agenda consultation by releasing a feedback statement

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