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デジタル化時代におけるロイヤルティプログラム

ロイヤルカスタマーとの関係深化に向けて

ロイヤルティプログラムとは、企業が顧客に対して自社の商品やサービスに愛着を感じてもらい、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上させるためのマーケティングプログラムである。ロイヤルティプログラムにおいては、企業が提供する価値に顧客が呼応し、企業の思惑通りに顧客が動くかどうかが重要な点であるが、顧客は多種多様なプログラムを、企業が考えるよりも賢く使い分けている。本稿では、デロイトが実施したロイヤルティプログラムに関する消費者調査の結果を踏まえ、顧客の利用実態から導き出される現状のロイヤルティログラムの位置づけと、顧客が求めているプログラムのあり方について分析している。さらに、さまざまな視点から企業にとってのデジタルトランスフォーメーション(DX)時代における次世代のロイヤルカスタマーの獲得・維持・育成について考察する。

主要なロイヤルティプログラムの分類

ロイヤルティプログラムは、主に「会員プログラム」「ポイントプログラム」「ロイヤルカスタマー向けプログラム」に大別される。
ロイヤルティプログラムは、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の特別感の度合いと、顧客体験の差別化により、カスタマーエンゲージメントが強くなることから、顧客に対しての訴求価値、及び提供可能なサービスによって分類ができる。
 

各プログラムの分類整理から浮かぶ企業群
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ロイヤルティプログラムが解決すべき課題

デロイトが実施した消費者に対する現状のロイヤルティプログラムに関するアンケート調査では、ポイント・マイレージは広く浸透し、消費者の人気も高い一方で、企業がプログラムの一環として提供している付帯サービスの認知度や利用率が低いことが課題として挙げられた。
 

今後あったらうれしいサービスやプログラムの仕組み
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新しい事業者がキャッシュレス決済の導入と共に新しいポイントプログラムを始めるなど、プログラムの他社との差別化要素としての意味合いが薄まりつつある中で、企業はロイヤルティ向上のために様々なサービスにコストをかけ提供を続けている。アンケート結果からは、現状のロイヤルティプログラムが、企業が意図したほどロイヤルティ向上に寄与していない可能性も見受けられ、企業が自社のプログラムのサービスや提供方法の見直しを検討する必要がある可能性が示唆された。企業が独自性を打ち出し、顧客のロイヤルティを高めていくためには、顧客の満足に対する理解に基づいたプログラムを再検討すべきであろう。

ロイヤルティプログラムのあるべき姿への提言

これまで、企業はロイヤルティプログラムの維持・運用及びプログラムの利用経済圏の拡大に注力してきたが、顧客のカスタマーエクスペリエンスに基づいて顧客のゲインポイントやペインポイントを考慮したプログラム提供の観点は乏しかった。

デジタル社会の到来で、企業は顧客とのタッチポイントやコミュニケーションを強化することができるようになったことで、「これまで企業が深耕出来ていなかった潜在的ロイヤルカスタマー」へのタッチポイントの構築が可能になりつつある。今後のロイヤルティプログラムを進化させていく上でのキーワードは、「カスタマーエクスペリエンス観点でのサービス設計」と「サービスのデジタル化」の組み合わせであると考察する。

企業はロイヤルカスタマー獲得に向け、経済合理性のメリットや付帯サービスの充実性を訴求する従来型のロイヤルティプログラムから、優越感や特別体験などのカスタマーエクスペリエンスを意識した新しいロイヤルティプログラムを提供するための変革が必要になってきている。

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