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科学的メソッドのビジネスへの転用

Analytics Trends 2016

ビジネスの分野においてアナリティクスへの関心が高まり、科学の分野においてアナリティクス技術が進化している今こそ、両分野の垣根を越えたテクノロジー融合の機は熟したと言える。

Analytics Trends 2016

2016年は、デロイトが「Analytics Trends」の発刊を通じて、短・中期的にビジネスの潮流に影響を与えるであろうと思われるアナリティクスのトレンドを分析し続けて3年目となる。アナリティクス関連の様々なトピックを定点観測し続けると、一部のトレンドは一過性のブームとして消えることなく、ビジネス社会にしっかりと根を下ろしながら、きわめて速いスピードで進化し続けていることが明らかになってきた。科学の世界では、急速に変化する事象について注意深く観察することが求められる。アナリティクスのトレンドについても同じで、急速に進化を続けるトレンドについては、新たな目で見直すことが重要であろう。

科学者はブーム到来前からアナリティクスに注目していた

科学者はブーム到来前からアナリティクスに注目していた
「ビジネスアナリティクスという新境地」について語られる場面は多いが、実は、ビジネスアナリティクスそのものはまったく新しくなどない。ビジネスの世界では、何年…いや何十年も前からアナリティクスが存在していた。巨額の投資が行われ、技術やデータ処理能力が飛躍的に向上したことにより、アナリティクスは現在ルネサンス期とも言える本質的な変革期を迎えている。これにより、改めて大きく脚光を浴びているだけなのだ。そして、こうした環境の変化により、ビジネスアナリティクスも新たな成熟段階に到達したのである。

アナリティクスが大きく進展を遂げた領域は、ビジネスだけではない。最先端のアナリティクスを牽引してきたという意味では、ビジネスよりむしろ科学の分野に軍配が上がるだろう。大学、研究機関、その他の科学関連機関では長年にわたり、分子生物学や宇宙物理学から社会科学の分野にいたるまで、さまざまな領域においてアナリティクスの手法を活用・応用し、きわめて複雑な課題の解決に取り組んできた。しかしほとんどの場合、研究者はこうした分析的な課題への取り組みを「アナリティクス」として認識していない。研究者にとっては、アナリティクス的手法も「科学」の構成要素のひとつにすぎないのだ。

科学とビジネスの相互作用

ビジネスの分野においてアナリティクスへの関心が高まり、科学の分野において
(ビジネス分野とは異なるが似たような)アナリティクス技術が進化している今こそ、両分野の垣根を越えたテクノロジー融合の機は熟したと言えるだろう。科学の世界で利用されている技術がビジネスの課題解決に転用される事例は、すでに散見され始めている。膨大な量の電子メールデータからインサイトを得るため、DNA研究に利用されるツールを活用して分析を行った事例などだ。こうした展開はまだ初期段階にあるが、今後科学分野とビジネス分野におけるアナリティクスのツール、手法、プロセスなどの融合が爆発的に進むであろうと示唆する兆候は十分に出揃っている。

融合はすでに始まっている

科学とビジネスの領域におけるケーパビリティの融合を示す根拠は、広く確認されている。よく知られた事例としては、ある大手民間企業が、著名な研究大学から科学者をごっそり引き抜くことに成功した事例が挙げられる(大学側にとっては手痛い敗北であった)。今後のアナリティクスの展開において、科学とビジネスとの融合が進む中、その影響は良くも悪くもさまざまな領域において見られるようになるだろう。航空産業、保険業、エネルギー産業など、幅広い産業領域において、既存のアナリティクスに科学的アプローチを積極的に取り込み、ビジネスに役立てようという意欲的な試みが始まっている。

インパクト

・社会へのインパクト:大

・ビジネスへのインパクト:大

・ピークの予測到来時期:5年後

・もっとも影響を受ける業界:コンシューマー、金融サービス、ヘルスケア、小売、電気通信、旅行業

・変革を牽引するであろう領域:カスタマーサービス、財務、マーケティング、サプライチェーン
 

ケーススタディ:金融サービス

顧客からの要望や問い合わせを、年間何十万件も受けるビジネスを想像してみてほしい。この膨大な「お客様の声」の中に、迅速に対応しなければビジネスに深刻な損害を与えかねない重要な情報が含まれている可能性は十分にある。こうした重要な情報に気づかずに対応が遅れてしまった場合、直ちに大きなリスクに晒されることとなる。しかし、こうした「お客様の声」に対応できる従業員は、わずか数百人しかいないのだ。

この課題に直面したある金融サービス企業は、テキストアナリティクスという対策を見出した。テキストアナリティクスを利用すれば、個別の顧客からのメッセージを解析し、特定のキーフレーズや単語を含んだものは適切な担当者に自動的に転送することができる。しかしこの企業の試みはそれにとどまらず、科学的手法――具体的にはゲノムデータを解析し、DNA情報の一致などを探索するバイオインフォマティクスの手法――を採用したことで、テキストアナリティクスのケーパビリティをさらに高い次元へと引き上げることに成功した。DNA情報も特定の秩序に従った塩基配列であり、その点において電子メールや問い合わせフォームに含まれる顧客の声と共通するものがあるためだ。

この企業は本来DNAの塩基配列を比較するために開発されたアルゴリズムを応用したワークフローを導入。日々何千件も届く顧客からの要望や問い合わせを自動的にタグ付け・転送・優先順位付けできるようにして、処理の飛躍的な効率化に成功したのだ。

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