Fundamental - 強化学習・機械学習アルゴリズムの研究開発 ブックマークが追加されました
ナレッジ
Fundamental - 強化学習・機械学習アルゴリズムの研究開発
独自の機械学習技術によって、AIの適用範囲を広げる
AIの適用範囲を拡大するためには、機械学習技術の応用が重要です。強化学習、変数選択・モデル選択のためのアルゴリズムの研究開発や、AI利活用推進のための勉強会・ワークショップを実施しています。
賢くて親切なAIを目指して
近年、AI技術が急速に普及し始めています。AIが役割を担う範囲は日に日に広がってきており、日常生活において様々な応用が目の当たりにされるようになってきました。急速な普及に伴って、これからのAI技術に対しては、賢くかつ親切であることが求められています。より賢く(高性能・多機能)になることで日常生活がより便利になると期待されますし、人に対してより親切(ユーザーフレンドリー)になることで頻繁にAIを使用することに対するストレスが軽減されると期待されます。
賢くて親切なAIが必要とされる一方で、現状の技術もしくはそれらの組合せだけでは実用的に不十分である場合が現れます。例えば、既存の技術では望まれる性能がでなかったり、これまで想定されていた適用方法の範囲外での使用に適した技術がなったりといったことがあります。
このような背景から、Deloitte Analyticsでは賢くて親切なAIを実現すべく新規技術の研究開発に取り組んでいます。
強化学習の研究開発
強化学習は、行動の結果から学習を行う技術で、囲碁のプロ棋士に勝利したAIで用いられていたことなどから革新的技術として大きな注目を集める技術です。
Deloitte Analyticsでは、この強化学習技術を組合せ最適化問題に適用しています。組合せ最適化問題とは、様々な制約の下で、多くの組合せの中から、ある評価指標を最も良くする解(組合せ)を求める問題で、従業員のシフトスケジュールやサプライチェーンにおける配送計画など、実務における様々な場面で頻繁に見受けられます。古くからよく研究されている分野ですが、現状あらゆる問題が解決可能というわけではなく、まだまだ多くの問題が人手で解決されている状況です。
Deloitte Analyticsが開発した組合せ最適化問題の解法は、強化学習に基づいていることから、柔軟に素早く求解が行えることなど、従来手法とは異なる特性を持ちます。これを既存の解法と併用することで、これまで以上に幅広い問題へのアプローチが可能なより賢いAIを実現し、AIによる実務のサポート範囲を拡大することを目標としています。
機械学習における変数・モデル選択アルゴリズムの研究開発
AIと人間とでは、得手不得手が異なります。AIは大量かつ多様なデータから法則性を見つけることが得意です。一方で、全てを自動的に実行できるわけではなく、ある程度のことを人が指定しないと動作しない場合もあります。例えば、データの中のどの部分を分析に用いればよいか(変数選択)や、データを幾つかのグループに分割する際にグループ数を幾つにするか(モデル選択)といった事項です。つまり、人は簡単に使いたいが機械は言ってもらわないと分からないという状況がよく現れます。
Deloitte Analyticsではこのようなギャップを埋める技術を開発しています。この技術はSICM(Sequential Information Criterion Minimization、逐次的情報量規準最小化)アルゴリズムと呼ばれ、上述の変数選択やモデル選択を自動的に実行します。つまり、SICMを用いることで、AIを用いる際に人が判断すべき部分が削減されるということです。このような親切な技術によって、人の負担が軽減され、より簡単にAI技術を使用できるようになります。
SICMは、予測モデルを使用する場面における説明可能なAI(Explainable AI)の実現にも有効です。予測モデルとは出力の正解例と入力との関係をモデル化する方法の総称です。例えば、信用格付けの推定問題(ローンの貸し出しにおける貸し倒れの発生を予測・検知する問題)を考える場合には、個人のプロファイル・所得・ローン残高等を入力として貸し倒れの発生確率を出力とする予測モデルが使用されます。予測モデルの結果を適用する際には「なぜそのような結果になったのか」という解釈が必要とされる場合が多く現れます。SICMを用いると予測モデルの自由度を自動的に決定することができる為、可読性の高いモデルを構築でき、このようなニーズに応えられます。
<参考>
勉強会とワークショップを通じたAI利用の促進
賢く親切なAIの実現に加えて、人のAIに関するリテラシーが向上することで、AIの適用範囲はより広がります。
Deloitte Analyticsでは、AIを利用しようとされる方のサポートとして、勉強会やワークショップを開催しています。
勉強会では、AIや機械学習技術の一般的な内容を扱っており、それらの用語が何を表していて何ができるのかといった基礎的な事項から、最新手法やそれに関する議論といった先進的な事項までご紹介しています。
企業向けワークショップでは、参加者は、Deloitte Analyticsのコンサルタントや技術の専門家とディスカッションをしながら、自社が抱える具体的な問題を洗い出し、それをAIや機械学習を活用しつつどのように解決するのかを検討していきます。Deloitte Analyticsが持つAIや機械学習に関する豊富な知見がディスカッションを活性化し、参加者は目の前にあるビジネス課題に対してAIを利活用する道筋をつけることができます。
サービス事例紹介
- 数理最適化(リコメンデーション、配員最適化等)
- 可読な予測モデルの構築(クレジットスコアリングモデル構築等)
- 異常検知(化学プラントの異常予兆検知等)
サービス内容等に関するお問い合わせは、下記のお問い合わせフォームにて受付いたします。お気軽にお問い合わせください。
その他の記事
データ分析の実応用: ビジネス理解とモデル理解の必要性
いま改めて取り組む時系列予測 — 従来手法からRNNまで
統計的異常検出の概観 前編
STAND: STatistical ANomaly Detection