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医療需要予測と可視化支援:病院経営DXの新しい一歩

医療リアルワールドデータを活用し、患者数や診療収入などの病院経営KPIを将来予測し、ダッシュボード上でモニタリング可能にすることで、エビデンスに基づく経営計画策定や診療科運営をサポートします

医療関連プレイヤーが抱える課題・ニーズ

地域の将来的な人口減少や少子高齢化、医療費の高騰などにより社会情勢が変化するなか、ビジネスの経験値だけでは、将来を適切に見積もることが難しくなっています。また、財務・経営改善に資する中期経営計画の策定をはじめ、設備投資や病床数の割当、医師・看護師の人員配置、診療科毎の運営改善等さまざまな経営活動を効果的に進めるには、外部情勢の変化を考慮したマクロ情報(例:国勢調査/患者調査)、および院内情報(例:治療実績)といった多様なデータから傾向を客観的に捉えた予測値に基づく精緻な計画策定が求められています。

さらに、グループ病院や自治体においては、病院間で経営KPIが統一されていない、KPIを横断的に管理・確認できない、といった課題を抱えているケースも散見され、同一のKPIをダッシュボード上で一元管理する運用も重要となっています。

一般的なアプローチ

現在、一般的に行われているアプローチは、患者数や診療収入などのKPIを人手で集計し、ビジネス経験に基づいて将来の経営状況を推測する方法です。このような過去の傾向把握は戦略策定において重要な参考情報となります。

一方で、大きく3つの課題があります。(1)人口推計などマクロデータに基づいた推計分析のアプローチでは、長期的な大まかな傾向は一定把握できるものの、1カ月先や1年先など精緻な短期予測には対応できません。(2)集計した膨大な情報の中から重要な傾向を捉え、将来を適切に見積もるには豊富な経験とスキルが必要となります。(3)データの整形・管理が人手で行われているために、大きなコストを要します。また、KPIの集計方法が組織によって異なることで、複数組織のKPIを管理する上においても同様に、多くの時間を必要とします。

そのため、KPIを適切に定義したうえでAIにより短期・中長期の予測値を算出し、実績値も含めて一定自動で可視化する仕組みを作り、全体傾向を俯瞰/注目対象をドリルダウンできるようなダッシュボードが有用です。

デロイト トーマツの医療需要予測サービス・ソリューションの強み

本サービスでは大きく3つのことを実現します。

(1)各医療施設から得られる院内データと基幹統計データを併せて解析し、中長期の予測に加え短期の予測を実施します

(2)予測は病院全体の粒度だけではなく、診療科別/疾患別の粒度まで細分化します

(3)各粒度の予測結果はこれまでの実績と一緒にダッシュボードとして可視化することで、複数の診療科・疾患やグループ病院の情報を横断的かつ様々な視点で確認できるような環境を提供します

 

アプローチの特徴

一般公開データだけでなく院内データも併用し、データ・ビジネス両方の視点から設計・分析を行い、中期経営計画策定等に向けた重要KPIの将来予測を実施します。ロジック(予測エンジン)は、短期と中長期の予測でそれぞれの強みを活かすために、短期予測はテーラーメイドのAI(機械学習)により過去のこまかな傾向を学習させた予測モデルを構築します。中長期予測はビジネスロジックに基づくKPIの影響因子を用いた推計を適用しており、社会情勢や病院の特徴を考慮した予測を実現します。

 

両ロジックにより、例えば「①②入院・外来患者数」「③④入院・外来診療収入」「⑤医薬材料費・比率」「⑥病床利用率・稼働率」「⑦地域ごとの推計・シェア率」など、病院経営において重要となるKPIを予測します。

また、実績と予測結果をダッシュボード上で表現するため、様々な視点でインタラクティブに情報の確認や深堀分析が可能です。本サービスの中ではデロイト トーマツのデータサイエンティストの業務知見から最適な可視化方法をご提示させていただき、必要に応じてクライアント業務の実態に合わせたカスタマイズを実施することが可能です。

 

 

 

医療需要予測の利用シーン

短期予測(月次)と中長期予測(年次)の2種類の予測を病院粒度、診療科粒度、疾患粒度で実施するため、ユースケースに応じて必要な予測結果を採用することができ、中期経営計画などの戦略的意思決定から、医師・看護職員の配置計画の策定などの業務的意思決定まで様々な用途で活用することが可能です。

例えば、中期経営計画や高額医療機器の購入計画のような数年単位で策定する計画の場合は「中長期の予測結果」を活用し、診療科別の病床数の検討や医師・看護師の配置計画の策定の場合は、「短期の予測結果」を活用します。

 

実績紹介

大学病院 様

ダッシュボードのユースケースを確認し、そのユースケースが実現可能になるよう使用するデータ・特徴量の選定、予測モデル・ダッシュボードの構築、知識移転を実施しました。ダッシュボード上には、患者数や診療報酬、医薬材料費等の7種のKPIに加え、紹介件数/逆紹介件数を表示する等、クライアントのご要望に沿ったカスタマイズを行うことで、戦略/計画策定の支援をめざしています。

デロイト トーマツの提供価値

デロイト トーマツでは、医療領域における多数の支援実績を有しており、様々なデータからAI・Analyticsを活用する技術力と、医療に関する深い知見をもとに、科学的根拠に基づく医療の実現を目指した様々なご支援を行います。

  • 専門的な分析知識・高度な技術力を有する分析専門家に加え、公認会計士、医療事業ビジネス専門家等による多様なチーム体制により、難易度の高いビジネス課題・分析問題に対しても対応が可能
  • 医療機関や自治体、メーカー向けに、幅広いリアルデータを用いた経験が豊富にあり、医療ビッグデータの活用戦略立案からAIモデルの構築、現場導入支援までの実績を複数保有
  • 既存ツールや外部システムに依存せず、お客様のニーズに沿った独自のアプローチ・スクラッチでの構築が可能。内製化(ナレッジトランスファー)もサポート

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プロフェッショナル

神津 友武/Tomotake Kozu

神津 友武/Tomotake Kozu

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー パートナー

有限責任監査法人トーマツ パートナー。物理学の研究員、コンサルティング会社を経て、2002 年から有限責任監査法人トーマツに勤務。 金融機関、商社やエネルギー会社を中心にデリバティブ・証券化商品の時価評価、定量的リスク分析、株式価値評価等の領域で、数理統計分析を用いた会計監査補助業務とコンサルティング業務に多数従事。 現在は金融、エネルギー、製造、小売、医薬、公共等の領域で、デロイト トーマツ グ... さらに見る

金 英子/Yingzi Jin

金 英子/Yingzi Jin

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー パートナー

情報理工学博士。国内大学院や海外研究所での研究員職、IT事業会社や総合コンサルティングファームでの経験を経て、現職にいたる。現在は、幅広い業界・業種のクライアント向けに、顧客分析、知財分析、人事データ分析、介護・医療データ分析、異常検知など、データやデジタル技術を活用したデータドリブン経営のコンサルティングプロジェクトをリードしている。 対応可能な言語:日本語、英語、中国語、韓国語... さらに見る

竹内 友之/Tomoyuki Takeuchi

竹内 友之/Tomoyuki Takeuchi

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー パートナー

公認会計士 診療情報管理士 医療機関だけでなく自治体、大学、健康保険組合、企業、金融機関などヘルスケアインダストリーを取り巻く各ステークホルダーに対して、経営戦略・事業計画の策定及び実行管理、M&A支援、個人情報保護対策などのコンサルティング活動に従事。 主な著書に『最新テーマ別解説 病院経営』(共著:清文社)、『病院会計の実務』(共著:清文社)、『社会医療法人の会計と開示』(共著:清文社)、『医... さらに見る