ナレッジ

核融合(フュージョンエネルギー)の将来可能性~地上に太陽を~

“原子力”でも太陽光でもない、核融合の最新動向

世界中の物理学者が太陽の内部で起きる「核融合反応」を地上で再現しようと試みてから約100年、国内外における注目度はより一層高まっている。核融合とは、水素などの軽い原子核同士が融合してヘリウムなどのより重い原子核に変わることで放出される膨大なエネルギーのことである。

一般に「核」という言葉からは既設の原子力発電(PWR/BWR)を想起する人も多いと思うが、それらは核分裂する際のエネルギーを活用したもので、その後にセシウム、プルトニウム、ウラン等の低~高レベルの放射性廃棄物が発生する。一方、核融合発電は発電過程でCO2を排出しないことに加え、反応後の生成物はヘリウムで無害となり放射性廃棄物も限りなく少ないため、クリーンエネルギーといわれている。

また、核分裂とは異なり核融合反応は成立条件が厳しいが故に、大災害等の緊急事態でも自然停止する性質を有し、安全面でも優れている。さらに、その燃料となる水素原子は海水に含まれており無尽蔵に回収できるとされ、実質地球上では半永久的にエネルギー確保可能と言われている。

本レポートは、今まさに産官学はもちろん、国際的にも様々なチャレンジがなされている核融合について、その概要と企業の投資活動の側面から現在地を紹介する。

核融合関連の世界市場規模は2030年に約60兆円、2040年には約118兆円(1ドル=140円換算)まで拡大するとされており、核融合はエネルギー領域にディスラプション(創造的破壊)を起こし、日本経済に飛躍的な成長をもたらす可能性を秘めている。

【目次】

  1. 核融合とは
  2. 技術開発動向
    (1) 核融合発電プラント構成と発電の流れ
    (2) 炉心技術の概要とスタートアップ動向
    (3) 熱回収技術の概要とスタートアップ動向
    (4) グローバルポジショニング
  3. 官民連携の動向
    (1) 一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会(通称: J-Fusion)
    (2) 政府資金
  4. 投資動向
    (1) 全体傾向と業界別動向
  5. 最後に
核融合の将来可能性[pdf, 2.2MB]
お役に立ちましたか?