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調査レポート
Deloitte CFO Signals Japan: 2024Q2
財政環境見通しは改善傾向、米国の経済動向が最大の注目点
日本における第37回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。調査後半では、日本の独自のホットトピックとして、「戦略実行のための取り組み」に関してお伺いしました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2024/8/16~8/28)
目次
Deloitte CFO Signals について
Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。
2024Q2 CFO Signals Report Highlights
財政的な見通し
設問1. 財政的な見通し
各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。
今回調査では、「楽観的」との回答が、前回調査に比べ増加した。前回調査時は、自動車業界の認証問題の影響から、生産や輸出が下振れ、個人消費にも悪影響が出ていた。今回は、そうした一時的な下押し圧力が和らぎ、経済が緩やかな回復軌道に復したことが示唆されている。ただ同時に、「楽観的ではなくなった」との回答は、前回並みのままとなっており、先行きを慎重にみる企業も相応にいることが示されている。7月末から8月の上旬にかけて、米国の景気後退懸念の急激な高まりや、日本銀行の利上げをきっかけに、株価の急落や為替レートの急変動が見られた。市場は、その後一定の落ち着きを取り戻したが、CFOとしては、米国の景気の先行きに関する不確実性や、市場動向が何らかのショックをきっかけに不安定化するリスクを意識しているものと考えられる。
(全文レポートより一部抜粋)
今後1年間の日本経済の注目点
設問4. 今後1年間の日本経済の注目点
今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。
今回、為替動向に関して、円高の進展と円安の進行という二つの選択肢を設けて尋ねたところ、為替動向(円高の進展)が第1位の回答となった。やはり企業部門全体としては、円安による業績の押し上げ効果が大きく、その環境が変化するリスクが意識されているように見受けられる。一方、為替動向(円安の進行)は第7位にとどまった。ひと頃に比べ極端な円安が進むリスクが低下したとの見方から、輸入企業などが円安への注目度を低下させている様子が窺える。回答の第2位には生産コストの上昇、第3位には人材・労働力不足があげられている。人手不足状況はかなり構造的なものとなっており、CFOにとっては人手の確保、そのために必要な賃金の引き上げ、さらにその結果としてのコストの上昇が重要な関心事となっている。また、7月に日本銀行による追加利上げが行われたこともあり、今後の国内の金融環境の変化も大きな注目点となっている。
(全文レポートより一部抜粋)
CFO組織が取り組む重要なイニシアティブ
設問6. CFO組織が取り組む重要なイニシアティブ
CFO組織が取り組むイニシアティブとして重要なもの第1位は「ポートフォリオマネジメントによる事業の新陳代謝の加速・リソースアロケーション」となり、6割超の企業が当該選択肢を回答した。2023年2月に実施した調査においても、CFO組織として力を入れたい取組みに関する設問において、「経営資源の適正配分(ポートフォリオ経営への参画)」が第1位となっていたが、今回の調査においても変わらず大差1をつけて第1位となった。事業環境が目まぐるしく変化する現在において、CFO組織として事業を評価し、迅速かつ適切なポートフォリオマネジメントに取り組んでいくことがいかに重要かを再認識できる結果となった。
次いで、「事業プロセスに入り込んだビジネスパートナーとしての価値発揮」が第2位、「KGI/KPIの再定義による事業マネジメントの高度化」が第3位となった。いずれも戦略立案への参画・実行といった“攻めの役割”の一つであり、CFO組織が事業運営に入りこんでいくことが重要であると捉えられていることがうかがえる。
第4位は「グローバルでのグループガバナンスのさらなる発揮」となった。新規ビジネスへの参入や新規マーケット拡大の選択肢の一つとして現地企業の買収ケースが増加する中、一時期のPMIにとどまらず、継続的にガバナンスを発揮すること、グループ全体としてコンプライアンスを遵守することに対して、”守りの役割“としてCFO組織の力が求められていると言える。
(全文レポートより一部抜粋)
戦略策定から改革実行にあたっての課題
設問8. 戦略策定から改革実行にあたっての課題
戦略策定から改革実行にあたっての課題は、「必要な組織能力の獲得」が7割を超えて第1位となった。改革実行時には既存のスキル/ケイパビリティのみならず、新しい分野・技術への知見や実行力が求められるが、一時的な能力補填にとどまらず、継続的に改革を実行していくためには、リソースシフトに向けた育成の仕組みや、社外から獲得したケイパビリティの社内への浸透を図る仕組みを整備する必要があるだろう。
次いで、「どのように勝つかの明確化」「必要な経営システム・体制の構築」となり、いずれも戦略実行の局面に関する課題が上位となる結果となった。一方で、「目指す将来像の定義」「どこで戦うかの定義」という、戦略そのものの策定局面に課題感を感じている企業は半数以下であった。
(全文レポートより一部抜粋)
CFOにとっての“the Trusted Advisor”となるために
デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。
*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。