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調査レポート
Deloitte CFO Signals Japan: 2024Q3
財政環境見通しは小幅に改善も、増益ペースには鈍化の兆し
日本における第38回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2024/11/12~11/22)
目次
Deloitte CFO Signals について
Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。
2024Q3 CFO Signals Report Highlights
財政的な見通し
設問1. 財政的な見通し
各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。
今回の調査では、「楽観的」との回答が、前回調査に比べて幾分増加したほか、「楽観的ではなくなった」との回答が前回比減少した。前回調査の時点では、7月末から8月の上旬にかけて米国の景気後退懸念などを受けた市場の急変動を経験し、先行きに関する一定の警戒感が見られていたが、その後、米国経済については堅調さが確認される展開となっている。また、為替レートは本調査の実施期間にかけて円安方向の動きとなり、急激な円高の進展に伴ってグローバル企業の収益環境が大きく悪化するリスクが一旦は低下した。さらに国内経済を見ると、2024Q3は、夏場の台風の影響から一時的に製造業の生産活動が下押しされたが、個人消費は所得環境の緩やかな改善を背景に底堅く推移し、全体として緩やかな回復基調を続けた。こうした、一連の動きを背景に、先行きに対するCFOの見通しが一定程度改善したものと考えられる。
(全文レポートより一部抜粋)
今後1年間の日本経済の注目点
設問4. 今後1年間の日本経済の注目点
今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。
今回、前回調査で第3位だった人材・労働力不足が第1位となったほか、賃金コストの上昇も第2位となった。構造的な人手不足状況を背景に、賃金の上昇トレンドは続く可能性が高い。これは日本経済が個人消費を中心に緩やかな回復を続ける上では好ましい動きと言えるが、各企業は必要な人員を確保し、結果としての労務費の継続的な上昇に対応するという難しい経営課題に直面している。この間、米国の長期金利上昇を背景に、為替レートが円安傾向で推移したことから、為替動向(円安の進行)への注目度が、前回調査に比べて上昇した。生産コストの上昇が引き続き大きな注目点となっていることと合わせ、各種コストの上昇ペースが加速することへの警戒感が高まっている様子が窺われる。同様の観点から、日本銀行の金融政策と資金調達コストの増加への注目度も高い状態が続いている。
(全文レポートより一部抜粋)
今後1年間の海外経済の注目点
設問5. 今後1年間の海外経済の注目点
今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される海外諸国経済の注目点を調査した。
今回、米国新大統領の経済・通商政策が第1位となった。米国ではトランプ大統領の就任に伴って、マクロ経済政策運営や産業政策、さらには通商政策が大きく変化する可能性が意識されている。米国の新政権の公約の一つである関税の引き上げを含め、実際にどのような政策が、どういうタイミングで実施されるかについては、極めて不確実性が高い。グローバルに活動する企業としては情報収集を強化し、様々な可能性を想定しながら必要な対応を取ることが求められよう。第2位となった米中関係が悪化する可能性も、中国関連ビジネスに関する方向性やサプライチェーンのあり方に大きな影響を与えるだけに、やはり大きく注目されている。その他、米国の新政権の政策が中東やウクライナ情勢、その他の地政学リスクにどのような影響を与えるか、各国の安全保障政策がどう変化するか、さらにはグローバルサウスの連携強化がどう展開するかなど、今後も国際情勢からは目が離せない状況が続くものと考えられる。
(全文レポートより一部抜粋)
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デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。
*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。