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調査レポート
Deloitte CFO Signals Japan: 2024Q4
財政環境見通しは減速、生産コスト上昇への懸念が強まる
日本における第39回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2025/2/12~2/21)
目次
Deloitte CFO Signals について
Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。
2024Q4 CFO Signals Report Highlights
財政的な見通し
設問1. 財政的な見通し
各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。
今回の調査では、「楽観的」との回答が前回調査に比べ幾分減少するとともに、「楽観的ではなくなった」との回答が若干増加しており、全体として財政見通しは小幅に悪化という結果となった。グローバル経済は、不動産市場の調整が長引く中国や主力のドイツ経済の不振が続く欧州が弱めの動きとはなっているものの、個人消費の堅調な動きが続いてきた米国に支えられ、ここまでのところは一定の底堅さを示している。しかしながら、企業は米国トランプ政権の通商政策に対する警戒感を強めつつある。また、日本における利上げ観測の強まりを背景に、為替レートがひと頃よりも円高方向に進んでいることも、グローバル企業にとって注意すべき材料となっている。日本の国内経済をみると緩やかな回復基調を続けているものの、個人消費は力強さを欠く展開が続いている。さらには、原材料や輸送運賃といった各種のコスト増加が続いていることも、CFOの懸念事項となっているものと考えられる。
(全文レポートより一部抜粋)
今後1年間の日本経済の注目点
設問4. 今後1年間の日本経済の注目点
今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。
今回は、前回調査で5位だった「生産コストの上昇」が第1位となった。2025年初までは円安傾向が続いたことや、このところの人手不足傾向を背景に、原材料や資材、物流関係などの各種コストの高止まり、ないし上昇に対する警戒感が強まっている様子が示されている。また米国による関税引き上げが、相手国による対抗措置を伴いながら広がった場合、グローバルベースで物価が再び上昇に向かうリスクも意識されているであろう。第2位は、日本銀行の金融政策と資金調達コストの増加となった。このところ、日本銀行が各種のリスクに注意を払いながらも、着実に金利を引き上げていくとの見方が広がっている。このため、CFOとしては、長年に渡りそこまで強く意識する必要がなかった国内における資金調達コストの上昇に、より注意を払うようになっていると考えられる。同時に、第3位が円高の進展となっていることと合わせて考えると、グローバルで活動する企業は、 日本銀行による利上げへの期待が強まり、一段と円高が進展する可能性にも注目をしている様子が窺われる。
(全文レポートより一部抜粋)
今後1年間の海外経済の注目点
設問5. 今後1年間の海外経済の注目点
今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される海外諸国経済の注目点を調査した。
今回、上位3つをみると、第1位は米国の経済・通商政策、第2位は米中関係の悪化、第3位は米国の景気・金融動向と、前回と全く同じ結果となった。トランプ政権は矢継ぎ早に各国・地域、ないし特定品目に対する関税引き上げを表明し、対中国の追加関税など、一部は実行に移されている。引き続き、各措置が長期間、かつ広い範囲で取られることとなるかは見定め難い状況と言わざるを得ない。しかしながら、状況は一連の関税引き上げが企業活動に直接的な影響を及ぼす方向に向かっており、各企業は想定し得る対応の検討と、場合によってはその実施を迫られている。また米中関係が一段と悪化し、各国・地域が安全保障面の規制強化などに向かう中で、関連するリスクの洗い出し、管理といったものも重要な課題となろう。加えて、トランプ政権による関税引き上げは、物価の押し上げ効果を持ち、個人消費に下押し圧力がかかる可能性がある。このため、ここまで世界経済のけん引役となってきた米国経済が変調を来さないかどうかも大きな注目点となっている。
(全文レポートより一部抜粋)
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デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。
*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。