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IFRSの歴史

IFRSの歴史は、1970年代にまで遡ります。1980・1990年代を経て、2000年代に入り、欧州連合(EU)の域内上場企業に対して採用を義務付けたことを発端に、世界中に波及し、現在に至っています。

IFRSの歴史は、1970年代にまで遡ります。1980・1990年代を経て、2000年代に入り、欧州連合(EU)の域内上場企業に対して採用を義務付けたことを発端に、世界中に波及し、現在に至っています。

 

1970年代

会計基準の国際的調和化の歴史は、1973年の国際会計基準委員会(IASC、International Accounting Standards Committee)発足時まで遡ります。IASCは、発足後より国際会計基準(IAS)の作成に着手しました。

 

1980年代~1990年代

1986年に発足した証券監督者国際機構(IOSCO、The International Organization of Securities Commissions)は、1980年代の国際資本市場の拡大と多国間公募の増加を受けて、国際会計基準(IAS)に着目し1987年に国際会計基準委員会(IASC)の諮問委員会に参加しました。以後、IOSCOは一貫してIASCの活動を支持することとなります。

IASCは、財務諸表の比較可能性を担保するためにIASの改訂作業を開始し、1993年に完了しました。

 

2000年代前半

さらなる改善に向けて、国際会計基準委員会(IASC)は証券監督者国際機構(IOSCO)との合意のもと、コアスタンダードの開発に着手し、2000年にその開発を完了しました。

2000年6月に、IASCをより強固な組織とするために国際会計基準審議会(IASB:International Accounting Standards Board)に改組することが決定され、2001年4月にIASBが発足しました。以後、国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)の改訂と開発を推し進めることとなります。

2001年2月に、欧州連合(EU)は、EU域内の上場企業に対して、2005年12月期以後、IFRSに基づく連結財務諸表を作成することを義務付けました。

2002年の国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)との「ノーウォーク合意」によって、IFRSと米国基準のコンバージェンス・プロジェクトが開始されることとなりました。日本においてもIASBと企業会計基準委員会(ASBJ)の2007年8月の「東京合意」を受け、現在、IASBとASBJは2011年6月のコンバージェンス達成を目指しています。

2004年、米国基準、日本基準およびカナダ基準について、EUによる同等性評価開始しました。日本基準について2005年には概ね同等とされましたが、同時に26項目の差異も指摘されました。

 

2000年代後半

金融庁では、2008年10月に第1回目の企業会計審議会企画調整部会開催され、IFRSのアドプションに向けての議論が開始されました。

同年12月には、欧州委員会により日本基準についてコンバージェンスの遂行を条件に同等性が認められ、2009年1月1日以後も、日本企業は日本基準に基づく財務諸表を用いてEU域内の資本市場における資金調達が可能となりました。

2009年6月30日に金融庁から「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」が公表されました。これにより、我が国のIFRS導入に向けての方向性が示されました。

また、同年12月には、任意適用会社が2010年3月期からIFRS連結財務諸表を作成する場合の用語、様式、及び作成方法が定められ、IFRS連結財務諸表ひな型も公表されました。

 

2010年代

2010年6月に、日本で初めてIFRSを適用した連結財務諸表を含む有価証券報告書が提出されました。

なお、2010年5月に金融庁が、有価証券報告書提出会社に関する国際会計基準(IFRS)への対応の調査結果を公表するとともに、11月には東京証券取引所が、上場会社のIFRS準備状況に関し「IFRS準備状況に関する調査結果(概要)」を公表しています。

2011年7月より、米国のIFRS導入に関してSECが意見聴取を開始しています。日本においては、2011年6月に、ASBJとIASBが東京合意における達成状況と、より緊密な協力のための計画を発表しています。また、同月より企業会計審議会がIFRSの強制適用時期等に関する審議を再開しました。2012年7月には金融庁企業会計審議会が「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)」を公表し、これに基づいて議論を行った結果、2013年6月に、金融庁企業会計審議会は「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を公表し、任意適用要件の緩和、IFRSの適用の方法、単体開示の簡素化などの方向性を示しています。

これを踏まえ、2013年10月に金融庁は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」を公表し、IFRSの任意適用が可能な会社の要件を簡素化し、IFRSに基づいて作成する連結財務諸表の適正性を確保する取組・体制整備のみとしました。

2012年11月、IASBの監督機関であるIFRS財団は、アジア・オセアニア地域におけるリエゾンとして、東京にオフィスを開設しました。

IASBでは、グローバルな金融危機への対応やIFRSと米国基準のコンバージェンスの結果として、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」、IFRS第9号「金融商品」、IFRS第16号「リース」を公表しました。

 

このようにIFRSを取り巻く状況は刻々と変化しており、最新動向に注意を払う必要があります。

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