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IASB、サプライヤー・ファイナンス契約に関するIAS第7号及びIFRS第7号の修正を公表

IAS Plus 2023.05.25  

IASBは、サプライヤー・ファイナンス契約に関する定性的及び定量的情報を提供することを企業に求める開示要求及び現行の開示要求の「指針(signpost)」を追加する、「サプライヤー・ファイナンス契約」(IAS第7号及びIFRS第7号の修正)を公表した。

国際会計基準審議会(IASB)は、サプライヤー・ファイナンス契約に関する定性的及び定量的情報を提供することを企業に求める開示要求及び現行の開示要求の「指針(signpost)」を追加する、「サプライヤー・ファイナンス契約」(IAS第7号及びIFRS第7号の修正)を公表した。

 

背景

IFRS解釈指針委員会は、以下を質問するサプライチェーン・ファイナンス契約に関する要望書を受け取った。

  • 関連する請求書がサプライチェーン・ファイナンス(またはリバース・ファクタリング)契約の一部である場合、企業はどのように受け取った財またはサービスに対する負債を表示するか。
  • リバース・ファクタリング契約に関するどのような情報について、企業が財務諸表において開示することを要求されるか。

要望書に対応して、委員会は、2020年12月にアジェンダ決定を公表した。しかし、受け取ったフィードバック及びインプット、特に投資者及びアナリストからのものは、現行のIFRSの要求事項を適用したサプライヤー・ファイナンス契約に関する企業が提供する情報は、すべての投資者の情報ニーズを満たしていないこと示した。このフィードバックに対応して、IASBは、サプライヤー・ファイナンス契約に関する定性的及び定量的情報を提供することを企業に求める開示要求及び現行の開示要求の「指針(signpost)」を追加するように、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」及びIFRS第7号「金融商品:開示」を修正することを決定した。

 

主要な変更点

「サプライヤー・ファイナンス契約」(IAS第7号及びIFRS第7号の修正案)による主要な変更点は、以下のとおりである。

  • サプライヤー・ファイナンス契約を定義しない。
    その代わり、本修正は、企業が情報を提供することを要求される契約の特徴を記述する。本修正は、企業に対する信用補完のみであるまたは負っている金額を仕入先と直接決済するために企業が使用する金融商品契約は、サプライヤー・ファイナンス契約ではないことに留意している。
  • 2つの開示目的を追加する。
    財務諸表の利用者が、以下について可能にする情報を、企業は注記に開示しなければならない。
    ・サプライヤー・ファイナンス契約が、どのように企業の負債及びキャッシュ・フローに与える影響を評価する。
    ・流動性リスクに対する企業のエクスポージャーについてのサプライヤー・ファイナンス契約の影響、及び当該契約がもはや利用可能でなくなった場合に、企業がどのような影響を受ける可能性があるか理解する。
  • IAS第7号に以下に関する開示要求を追加することにより、IFRSの現行の要求事項を補完する。
    ・サプライヤー・ファイナンス契約の契約条件
    ・契約について、報告期間の期首及び期末における次の事項
    ・a) 当該契約の一部である金融負債の帳簿価額及び関連する表示科目
    ・b) 上記a)に基づいて開示する金融負債のうち仕入先が資金供給者からすでに支払を受けているものの帳簿価額
    ・上記a)に基づいて開示する金融負債及びサプライヤー・ファイナンス契約の一部ではない比較可能な営業債務の支払期日の範囲(例えば、請求日の30日から40日後)
    ・サプライヤー・ファイナンス契約の一部である金融負債の帳簿価額における非資金変動の種類及び影響

ほとんどの場合、企業のサプライヤー・ファイナンス契約についての集約した情報が、財務諸表の利用者の情報ニーズを満たすことを、IASBは決定した。

  • IFRS第7号における流動性リスクの開示要求の例として、サプライヤー・ファイナンス契約を追加する。

 

発効日及び経過措置

企業は、IAS第7号の修正を2024年1月1日以後開始事業年度(早期適用は認められる)に適用し、IFRS第7号の修正をIAS第7号を適用したときに適用する。比較情報および期中報告期間の情報に関する免除を含む、一定の移行上の免除がある。

 

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