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専門用語集(金融関連)

新聞・雑誌等において頻繁に引用される、金融関連の単語について、分かりやすく解説いたします。(英字略語を中心に収集しております。)

【Index】

A   B   C   D   E   F   G   H   I   J   K   L

M   N   O     Q   R   S     U   V   W   X

【A】

AI

AIはArtificial Intelligenceの略で、日本語では一般的に「人工知能」と呼ばれます。人間が知能を使って行う活動を機械が代替する技術やシステムを指します。AIの代表的な研究テーマには、推論・探索、エキスパートシステム、機械学習、ディープラーニングが挙げられますが、パターン分析を利用した不正発見、投資戦略策定やマーケット分析等、その一部は金融業でも実用化されつつあります。

AIRB

AIRBはAdvanced Internal Ratings Based Approachの略で、日本語では一般的に「先進的内部格付手法」といいます。バーゼル規制で認められている3つの信用リスク管理手法の内の一つを指します。「銀行法第14 条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18 年金融庁告示第19 号、いわゆるバーゼルⅡ告示)に基づき信用リスク管理の高度化を実施し、金融庁の承認を得る必要があります。AIRBを採用した場合、告示で指定されたモデルを用いて信用リスクアセット額を算出し、自己資本比率を算出するため、標準的手法に比べてリスク感応度が高まり、きめの細かいリスク管理体制の構築が可能となります。
尚、上記モデルにはPD,LGD等のパラメータの入力が必要です。AIRBの場合は、PDのみならずLGD等のすべてのパラメータを自行内で推計するため、より適切な所要自己資本比率を算定することができます。
ただし、バーゼルIIIにおいては、AIRBの適用範囲がかなり限定的となりました。

ALM

ALMはAsset Liability Managementの略で、日本語では一般的に「資産・負債の総合管理」といいます。金融機関はさまざまな資産と負債を保有しており、損失を最小におさえて収益を最大にするために、資産と負債を総合的にリスク管理する必要があります。これら資産・負債の価値変動リスクをコントロールするために負債と資産を合わせて管理する手法をALMといいます。

Appointed Actuary

保険会社の保険数理に関する事項について法令上定められた確認を行い、保証をすることを目的に保険会社から選任されたアクチュアリーのことをいいます。日本では同様の制度として保険計理人制度があります。

 

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【B】

BCP

BCPはBusiness continuity planningの略で、日本語では一般的に「事業継続計画」といいます。災害等のリスクが発生した際、重要業務をできるだけ中断せず継続させる態勢を構築する取り組みのことです。一時的に業務が中断した場合でも、状況に応じて、可能な限り早く再開させるための対応策を、あらかじめ検討しておく必要があります。

BEICFs

BEICFsはBusiness Environment and Internal Control Factorsの略で、バーゼルⅡにおけるオペレーショナルリスクの先進的計測手法(AMA)の1つの要素として定められています。日本語では、業務環境および内部統制要因と訳され、オペレーショナル・リスク量は業務環境や内部統制によって異なるため、先進的計測手法(AMA)においては、これをリスク量計算に反映させることが必要とされています。

BIA/TSA/AMA

BIAはBasic Indicator Approachの略で、日本語では一般的に「基礎的手法」といいます。TSAはThe Standardized Approachの略で、日本語では一般的に「粗利益配分手法」といいます。AMAはAdvanced Measurement Approachesの略で、日本語では一般的に「先進的計測手法」といいます。いずれもオペレーショナルリスクの計測手法でしたが、バーゼル委員会はフレームワークを改正し、計測手法をStandardized Approach(新SA)に一本化しました。2022年から実施される予定です。

BIS

BISはBank for International Settlementsの略で、日本語では一般的に「国際決済銀行」といいます。主要国の中央銀行が加盟し、その共同出資により設立された組織であり、1930年に設立され、スイスのバーゼルに本部が置かれています。各国の中央銀行を相手方とした預金受入等の銀行業務の他、バーゼル委員会のように、各国の中央銀行が国際金融に関する諸問題や各国協力等に関する討議を行う場の提供も行っています。

 

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【C】

カーボン・ニュートラル(Carbon Neutrality)

温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることによって、二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを指します。日本では2050年までに温室効果ガスの排出を全体で0にすることを宣言しています。

CAPM

CAPMはCapital Asset Pricing Modelの略で、「資本資産評価モデル」または「資本資産価格モデル」と呼ばれる金融資産の期待収益率の決定モデルの一つを指します。いずれの市場参加者も同様の情報を持つような効率的な市場を前提とした場合の、金融資産のリスクと期待収益率の関係を説明した理論です。CAPMの下では、ある金融資産の期待収益率とリスクの無い状況の期待収益率(リスクフリーレート)との差(リスクプレミアム)は、共通ファクターである市場全体のリスクプレミアム(市場全体の期待収益率とリスクフリーレートとの差)に各金融資産固有の感応度であるβ(ベータ)を乗じたものとされます。市場で決定される期待収益率は、市場全体のリスクに対して、個々の金融資産のリスクが有する相関性を反映したものと解釈されます。

Capital Cost

日本語では一般的に「資本コスト」といいます。企業が資本を調達・保有するために資金提供者に対して支払うコストで、社債などの債権者に対しての支払い(負債コスト)と株主に対しての支払い(株主資本コスト)の2つに分けられます。日本で導入が予定されている経済価値ベースのソルベンシー比率では、株主資本コストを資本コストとして計算する方向ですが、負債コストの考慮要否についても引き続き検討を行っている状況です。

CCF

CCFはCredit Conversion Factorの略で、日本語では「与信相当掛目」と呼ばれています。カード・ローンなどの極度枠が存在する商品に関して、EADを推計する際に使用する極度枠の未引出額(空枠)や極度枠等に乗じる掛け目のことで、銀行のバーゼル規制における自行推計においては、主に4手法(ULF、LF、BF、AUF)が存在します。

CCP

CCPはCentral Counter Partyの略で、日本語では一般的に「中央清算機関」といいます。CCPが相対取引の間に入ることにより、より効率的な取引が可能になります。CCPを入れることで、デフォルトが発生したポートフォリオの取替えが効果的に行われるため、より短いクローズアウト期間を用いて証拠金を計算できます。また、CCPとの間でネッティングを行うことで、結果的にはマルチラテラルネッティングの効率性を実現しつつ、有効な決済リスク管理を図ることができます。

CDP

CDPは2000年にロンドンで設立された国際環境NGOです。発足した当初は「Carbon Disclosure Project」が正式名称でしたが、現在は炭素以外も対象になったことから略称のCDPを正式名称とし、企業の環境情報開示を促進する活動を実施しています。気候変動、水、森林の3分野を対象として、調査対象となる企業や自治体に質問書を送付し、質問書の回答内容を活用してレポートや分析データを作成・公表しています。開示された情報は投資家や企業、各国政府の意思決定に活用されています。

CLS

CLSはContinuous Linked Settlementの略で、日本語では一般的に「多通貨同時決済システム」といいます。2002年に世界の主要行等が出資し設立された同名の企業が、市場の安定化を目的として運営を行っています。 設立の背景には、1974年6月にドイツのヘルシュタット銀行がフランクフルト市場閉場後に倒産し、ニューヨーク市場開場後に同社からの米ドルでの支払を受ける予定であった複数の企業が、時差の関係で損害を被ったという事件があります。当初の取扱通貨は7種類(オーストラリアドル、カナダドル、ユーロ、日本円、スイスフラン、イギリスポンド、アメリカドル)でしたが、徐々に拡大しています。取引する2通貨がCLS対応通貨であれば、これらを同時決済(PVP)することができるため、時差による外貨決済リスクを低減することが可能となります。

Co-insurance

日本語では一般的に「共同保険式再保険」といいます。生命再保険に特有の再保険方式で、保険会社が締結した元受保険契約と全く同じ条件で再保険会社に出再します。このため再保険会社は死差損益リスクだけでなく、費差損益リスクおよび利差損益リスクの再保険責任を負うことになります。
【関連:Mod Co】

COSO

COSOはCommittee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commissionの略で、米国のトレッドウェイ委員会組織委員会を指しますが、当該委員会が発表した内部統制のフレームワークそのものとしても知られています。フレームワークは、事業体が直面する3つの目的(業務・報告・法令遵守)と、内部統制の5つの構成要素(統制環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達、モニタリング活動)、および事業体の組織構造(事業部門等)を3面で立体的に組み合わせた「COSOキューブ」として知られています。

CVA

CVAはCredit Valuation Adjustmentの略で、日本語では一般的に「信用評価調整」といわれます。デリバティブ取引の取引当事者の信用力に応じた評価額の調整を意味します。金融危機時に、取引相手の信用力悪化に伴い、多くのデリバティブ取引の評価額が下落し、多額の損失を計上した金融機関もありました。そのような状況を受けて、バーゼル銀行監督委員会はCVAの重要性に鑑み、自己資本比率計算上、デリバティブ取引のエクスポージャー計算方法を見直すとともに、CVA変動リスクに対する資本賦課を求めることとしました。また、会計上も、CVAの重要性があれば、デリバティブ取引の評価額算出にCVAを考慮することとされています。

 

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【D】

DCF

DCFはDiscounted Cash Flowの略で、将来キャッシュフローを現在価値に割り引くことを意味します。金融商品等の資産から生み出される将来キャッシュフローをある割引率を使って現在価値に割り引くことで、その資産の現在価値を算出することに用いられます。

DD

DDはDue Diligence(デュー・ディリジェンス)の略で、企業の財政状態、経営成績、経営状況等について対象企業の調査を行うことを意味します。財務面、税務面、法務面等、実施の目的は多岐に渡ります。

DVP

DVPはDelivery Versus Paymentの略で、資金の受渡しと証券の受渡しを同時に行うことを指します。証券決済方法のひとつです。DVPにより、資金を払ったが証券を受け取れないリスクや証券発行に必要な資金が振り込まれないといった事態を回避することができます。

 

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【E】

EAD

EADはExposure at Defaultの略で、日本語では一般的に「デフォルト時エクスポージャー」と呼ばれます。貸出金や債券等の残高のことを意味します。EADの推計時には、期末等の推計時点の残高のみならず、極度額の未引き出し部分から追加で引き出される金額についても考慮しなければなりません。

EEV

European Embedded Valueの略です。EVの計算に関して統一的なルールを作り、計算内容や開示内容等について一貫性や透明性を確保するため2004年5月に欧州保険会社のCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)から構成されるCFOフォーラムでEEV原則が制定されましたが、EEV原則に基づき算出されたEVをEEVといいます。なお、原則だけではなくガイダンスも定められています。
【参考:EV、MCEV】

EL

ELはExpected Lossの略で、日本語では一般的に「期待損失額」といいます。例えば、信用リスクの場合はEL=EAD×PD×LGDで算出され、損失額分布の平均値のことをいいます。ELはコストとして、貸倒引当金でカバーするという考え方が一般的です。

ERM(Enterprise Risk Management)

ERMはEnterprise Risk Managementの略で、日本語では「全社的リスクマネジメント」や「統合的リスクマネジメント」と呼ばれます。個別のリスク領域毎のリスク管理ではなく、それらを統合し、企業の事業目的達成の観点から全社的にリスク管理を行うことを指します。代表的なERMフレームワークとして、2004年9月にCOSO(Committee of Sponsoring Organizations of Treadway Commission:トレッドウェイ委員会支援組織委員会)が公表し、2017年9月に改定した「全社的リスクマネジメント-戦略とパフォーマンスの統合」(COSO-ERM(2017))があります。COSO-ERM(2017)では、それまでのCOSOの内部統制フレームワークが所与としていた戦略や企業目的も、統制フレームワークの対象として全社的リスクマネジメントの枠組みとして位置づけられています。

ES(Expected shortfall)

ESはExpected Shortfallの略で、日本語では「期待ショートフォール」といわれます。
VaRがある確率(信頼水準)の下で起こりうる最大損失額であるのに対して、ESは信頼水準を超える損失額の期待値(平均損失額)です。定義上、同じ信頼水準の場合、ESはVaRよりも大きな値となります。

ESG

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせたものです。企業価値を評価する際に、企業の財務情報を分析するだけでは不十分で、その企業の非財務情報であるESGの要素を考慮する必要があるとする考え方が広がっています。

ESR

ESRはEconomic Solvency Ratioの略で、日本語では一般的に「経済価値ベースのソルベンシー比率」といいます。資産と負債を現在の足元の市場金利で時価評価した資本量を統合リスク量で除して算出します。リスクに対して十分な資本を確保できているかを表す指標であり、保険会社の財務の健全性を表す指標の一つとなります。

€STR(ESTR)

€STRは"Euro Short-Term Rate"の略で、日本語では「ユーロ短期金利」とも呼ばれる金利を指しています。欧州(ユーロ圏)における無担保の翌日物(O/N)金利であり、欧州中央銀行(ECB)から算出・公表されています。ユーロの特定されたRFRであり、LIBOR廃止後は変動金利として€STRを参照する取引が増加しましたが、欧州においては従来からのターム物レートであるEURIBORも引き続き公表されています。

EURIBOR

EURIBORは"Euro Interbank Offered Rate"の略で、欧州における大規模銀行(パネル行)の銀行間取引における平均金利を指しており、期間は1週間から1年まで様々です。欧州マネーマーケット協会(EMMI)により算出・公表されています。

EVE

EVEはEconomic Value of Equity の略で、日本語では一般的に「純資産の経済価値」といいます。資産・負債を現在価値ベースで評価した際に計算される純資産の金額を指します。会計上の資産勘定及び負債勘定の金額は、必ずしも現在価値ベースでは測定されないので、一般的にはEVEの金額は、会計上の純資産の金額とは異なる金額で測定されます。
現状の金利を元に測定したEVEと、現状からの金利変動を想定し測定したEVEとの差額は、特に⊿EVEと呼称されます。

EV

EVはEmbedded Valueの略で、日本語では一般的に「エンベディッド・バリュー」といいます。生命保険会社の企業価値や業績を評価する指標の一つで、会社が蓄積している純資産の価値を表す「修正純資産」と保有している保険契約から将来にわたって生じる利益の価値を表す「保有契約価値」の合計として計算されます。
【参考:EEV、MCEV】

Excess of Loss(XL、XOL、ELC)

日本語では一般的に「超過損害額再保険」といいます。この再保険方式では、再保険契約で対象としたリスクについて損害が発生し、その損害額があらかじめ定められた金額(エクセスポイントとも呼ばれます)を超過したとき、再保険会社はその超過部分を一定の限度額までの損害を保険会社に再保険金として支払います。

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【F】

Facultative Reinsurance

日本語では一般的に「任意再保険」といいます。任意再保険では、保険会社が個々のリスクについて自由に再保険の契約条件を決めることができ、再保険会社は各自の判断に基づき出再されるリスクの引き受け可否を決めることができます。

FATCA

FATCAは米国の税法であるForeign Account Tax Compliance Actの略で、日本語では一般的に「外国口座税務コンプライアンス法」といいます。米国に納税義務のある個人や法人が米国外の金融機関の口座を利用して課税を逃れることを防止するために制定され、2010年3月18日に施行されました。米国外の金融機関には、その顧客が米国への納税義務者であるかどうかを確認することなどが求められるようになっています。

Fiduciary Duty

Fiduciary Dutyは、日本語では一般的に「受託者責任」といいます。顧客の資産を預かる金融機関は、顧客の利益を最大化することに努めるべきであり、顧客の利益に反する行為を行なってはならない責任があるというものです。日本では、金融庁が2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、この原則を採択して取組方針やKPIを公表する金融機関のリストを同庁のホームページで更新しています。

FIRB

FIRBはFundation Internal Ratings Based Approachの略で、日本語では一般的に「基礎的内部格付手法」といいます。バーゼル規制で認められている3つの信用リスク管理手法の内の一つです。「銀行法第14 条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18 年金融庁告示第19 号)に基づき信用リスク管理の高度化を実施し、金融庁の承認を得る必要があります。FIRBを採用した場合、告示で指定されたモデルを用いて信用リスクアセット額を算出し、自己資本比率を算出するため、標準的手法に比べてリスク感応度が高まり、きめの細かいリスク管理体制の構築が可能となります。
尚、上記モデルにはPD,LGD等のパラメータの入力が必要です。FIRBの場合は、PDは自行で推計しますが、LGDは当局指定の値を用いるなど制限があります。

FOMC

FOMCはFederal Open Market Committeeの略で、米国の連邦公開市場委員会のことを指します。FRB(連邦準備理事会)によって6週間ごとに年8回開催され、景気の見通しや政策金利といった金融政策を発表し、世界の金融市場にも影響を与える会合となっています。

FRTB

FRTBはFundamental Review of the Trading Bookの略で、日本語では一般的に「トレーディング勘定の抜本的見直し」といいます。これは、バーゼル規制におけるマーケット・リスクに対する資本賦課が不十分であるとの課題認識から、2016年1月にバーゼル銀行監督委員会(BCBS)により、「マーケット・リスクの最低所要自己資本」(原題 : Minimum capital requirements for market risk)と題する基準文書が公表されて以降、トレーディング勘定のマーケット・リスクに対する資本賦課の枠組みの見直しが検討されてきたものです。今後、各国当局による法制化が進められていく予定です。


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【G】

GFANZ

GFANZはGlasgow Financial Alliance for Net Zeroの略称です。日本語では「ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟」と呼ばれ、金融機関の脱炭素化に向けた移行計画策定に係るガイダンス等の資料を公表しています。2050年までにカーボン・ニュートラルの実現を目ざす組織(既存金融機関のネットゼロ・ファイナンス関連の7つのイニシアチブを一つに束ねた組織)で、2021年11月にイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26において正式に発足しました。金融機関は、Net-Zero Banking Alliance (NZBA)等のセクター別のイニシアチブの1つに参加することで、GFANZに加盟することができます。

GHG

GHGは「Greenhouse Gas」を略した環境用語で、温室効果ガスのことを指します。二酸化炭素とメタンが代表的です。温室効果ガスは赤外線の一部を吸収して再度放出する性質をもちます。この性質から、太陽光で暖まった地球から出ようとする赤外線を温室効果ガスが吸収して再度地球に放出するため、温暖化の原因とされています。

Governance

ガバナンスは、不正行為の防止ばかりでなく、競争力や収益力の向上を通じた長期的な企業価値の増大に向けた取り組みを指します。日本でも日本再興戦略に関わる施策の一つとしてコーポレートガバナンスの強化が掲げられ、上場企業が守るべき行動規範(原則)として「コーポレートガバナンス・コード」(2015年6月から適用)が示されています。

G-SIBs

G-SIBsはGlobal Systemically Important Banksの略で、グローバルの金融システム上重要な銀行のことを指します。2011年にFSBが29行を指定しており、日本では三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループが指定されています。リスクアセット対比で一定水準の追加的な資本の積立てが必要であるなど、国際金融システムの安定のため、G-SIBsには国際合意に基づいた通常の金融機関より厳しい規制が課せられています。この指定は、年に1回、毎年11月に更新されます。また、選定に用いる枠組みは3年に一度見直されることとなっています。

G-SIFIs

G-SIFIsはGlobal Systemically Important Financial Institutionsの略で、グローバルなシステム上重要な金融機関を指します。G-SIFIsは、G-SIBs(Global Systemically Important Banks)とG-SIIs(Global Systemically Important Insurers)のことを指し、今後NBNI G-SIFIs(Non Bank Non Insurer G-SIFIs)も追加される予定です。2007年以降の金融危機の際に大きな批判を受けた、TBTFに関する問題に対処するため、主要国の金融当局が参加する国際機関として組成されたFSB(Financial Stability Board)が、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)と協議して、一定の基準に従って該当する銀行等金融機関をG-SIBsとして指定しています。また、同様に保険監督者国際機構(IAIS)とと協議して、一定の基準に従って該当する保険業を行う金融機関をG-SIIsとして指定しています。これらの指定は、年に1回、毎年11月に更新されます。

G-SIIs

G-SIIsはGlobal Systemically Inportant Insurersの略で、日本語では「グローバルなシステム上重要な保険会社」といいます。破綻した場合に世界の金融システムに重要な影響を与える保険グループに対して、定性的・定量的な規制を適用するものとなります。2013年に9社が指定されましたが、2020年からFSBはIAISおよび各国当局との協議を経て、G-SIIsの指定を停止しています。


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【I】

IAIS

日本語では「保険監督者国際機構」といいます。1994年に設立され、2022年現在、200以上の国・地域の保険監督・規制当局からなる組織で、日本では金融庁がメンバーとなっています。主な活動目的として、「保険監督者間の協調促進」、「国際保険監督基準の策定」、「加盟国に対する保険制度確立支援」、「他の金融分野の監督機関との協調」が挙げられています。

IBNR

IBNRはIncurred But Not Reported Lossの略で、日本語では一般的に「既発生未報告損害」といいます。既に保険事故が発生しているが、まだ保険会社に対して報告がなされていない事故に対して保険会社が支払うべき保険金の見積額であり、保険会社にとっては事故件数や事故の程度も不明なため、この金額は見積もり値となります。また、このIBNRは以下のIBNERと区別するためTrue IBNRともいいます。
IBNERはIncurred But Not Enough Reported Lossの略で、既に保険事故が発生し、保険会社に対して報告もなされているが、その後の保険事故の進展により、当初の報告から推定された支払額よりも増加することがあり、IBNERは事故の進展によって増加した見積額の概念も含まれています。

ICS

ICSはInsurance Capital Standardの略で、日本語では「国際資本基準」といいます。国際的に活動する保険グループ(IAIGs)を対象にして支払能力に関する比較可能な資本基準を設けることを目的にIAISが策定を進めています。ICSの詳細な仕様検討のため、2020年1月から5年間にわたりモニタリングが実施され、その結果を踏まえた調整や市中協議等を行った後、2024年にICSの内容を確定することを予定しています。

IM

IMはInitial Marginの略で、デリバティブ取引の当事者間で当該デリバティブ取引開始時点及び条件の変更時に授受を行う担保金(証拠金)を指します。国際的な規制当局間の合意を受け、日本でも中央清算されない店頭デリバティブ取引について、一定の想定元本金額を有する等、特定の条件に該当する金融商品取引業者等に対して、その授受を義務づける法規制が設けられました。本規制は2016年9月1日より施行され、2020年9月1日より本格適用される予定です(2019年10月現在)。

IMA(Internal models approach)

IMAはInternal Models Approachの略で、日本語では「内部モデル方式」といわれます。
金融機関自身の内部モデルによってリスク相当額を計算する手段であり、一部の先進的な金融機関において用いられています。

IRRBB

IRRBBはInterest Rate Risk in the Banking Bookの略で、日本語では一般的に「銀行勘定の金利リスク」といいます。銀行におけるトレーディング勘定と銀行勘定のうち、銀行勘定の金利リスクに関する規制を指します。将来時点での金利上昇に対する備えとして、2016年4月にバーゼル委員会により監督上のガイダンスが示されました。日本では国際統一基準行に対しては2018年3月より、国内基準行に対しては2019年3月より、本規制が施行されています。

ISDA

ISDAはInternational Swaps and Derivatives Associationの略で、日本語では一般的に「国際スワップ・デリバティブ協会」といいます。1985年に設立された、店頭デリバティブ取引に係る一連の実務を発展・円滑化することを目的とする国際的な業界団体です。店頭デリバティブ取引市場の参加者に対し、円滑な取引を実行できるよう開発された契約書例の提供を行ったり、各参加者のリスク管理体制の高度化を目的とした研修会等を実施しています。民間組織ではありますが、ISDAの公表事項は市場参加者のみならず、広く規制当局等にも受け入れられています。

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【J】

J-SOX

J-SOXは、日本語では一般的に「内部統制報告制度」といわれます。アメリカのSOX法の日本版で、企業の内部統制の充実を図り、企業の業務の適正化・効率化などを通じたディスクロージャーの信頼性を確保するための方策として定められた、財務報告に係る内部統制報告制度を指します。
財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準・実施基準は、15年ぶりに改訂となり、改訂内容は2024年4月1日以降に始まる事業年度から適用になります。

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【K】

KYC

KYCはKnow Your Customerの略で、銀行等の金融機関において顧客に関する情報を収集する手続きを指します。マネーロンダリングやテロ資金供与防止、架空名義やなりすまし取引の防止など、金融機関の信頼性と健全性を守るために導入された手続きです。


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【L】

LCR

LCRはLiquidity Coverage Ratioの略で、日本語では一般的に「流動性カバレッジ率」といいます。2010年に公表された新たな自己資本規制であるバーゼルIIIから追加された新たなリスク指標で、「ストレス下において30日間に流出すると見込まれる資金(分母)を賄うために、短期間に資金化可能な資産(分子)を十分に保有」※することを銀行に求めるものです。分子部分にあたる適格流動資産(HQLA)は、無制限に算入可能なレベル1と、算入がHQLA全体の40%以内に制限されるレベル2に分類されます。日本では段階適用がなされており、2015年1月1日適用開始時の最低水準は60%、2019年1月1日には100%になりました。

LIBOR

LIBORは"London Interbank Offered Rate"の略で、日本語では「ロンドン銀行間金利」とも呼ばれる金利を指しています。大規模銀行(パネル行)の銀行間取引における平均金利として、米ドル(USD)、日本円(JPY)、ユーロ(EUR)、英ポンド(GBP)、スイスフラン(期CHF)の各通貨において、1週間から1年まで様々な期間のレートがICE Benchmark Administrationから算出・公表されていました。2012年にパネル行によるLIBOR不正操作が顕在化し、2021年~2023年にかけて順次公表が停止されました。

LGD

LGDはLoss Given Defaultの略で、日本語では一般的に「デフォルト時損失率」と呼ばれます。貸出先のデフォルト発生時における貸出残高に対する、その後の回収金額を差し引いた残額の割合のことを意味します。

LTV

LTVはLoan to Value(ローン・トゥ・バリュー)の略で、不動産関連貸付においては、信用エクスポージャーの額を信用供与の担保に付された物件の価値で除して得た割合をいいます。他にもLife Time Valueの略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれています。


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【M】

MCEV

Market Consistent Embedded Valueの略で、市場整合的EVともいいます。EVの計算に関してEEV原則よりもさらに計算基準の統一性を高め、市場取引されている商品価格と整合した評価手法とすることや、ディスクローズ基準を統一することを目的に2008年6月に欧州保険会社のCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)から構成されるCFOフォーラムでMCEV原則が制定されました。MCEV原則に基づき算出されたEVをMCEVといいます。
【参考:EV、EEV】

Mod Co

日本語では一般的に「修正共同保険式再保険」といいます。Co-insuranceを一部分を修正した再保険方式であり、保険会社が締結した元受保険契約のうち投資に係るリスクである利差損益リスクを除いたリスクを再保険会社に出再します。
【関連:Co-insurance】

MtM

MtMはMark to Market の略で、日本語では一般的に「時価評価」や「値洗い」といわれます。ある資産の価格を現在の価格に見直すことを意味します。


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【N】

NDF

NDFはNon-Deliverable Forwardの略で、取引当事者間であらかじめ定めた取引価格(NDF価格)と、決済時の実勢価格との差額を差金決済(non-deliverable)する取引を指します。先渡取引の一形態です。取引に規制がかかる新興国通貨等の為替リスクヘッジとして用いられることが多く、差金決済される通貨は米ドルが多く用いられています。

NFT

NFTはNon-Fungible Tokenの略で、日本語ではしばしば「非代替性トークン」と呼ばれ、他のデータと区別し唯一無二であることを示すことができるデジタル資産を指します。従来、複製などが容易だったデジタルのアート作品等のデータに「本物」であることの証明が与えられることにより、実物の資産と同様に高い価値がつく、といった現象が起こっています。

NII

NIIはNet Interest Income、の略で、日本語では一般的に「資金利益」といいます。将来の受取金利と支払金利のネット金額を指します。NIIは一般に現在価値ベースで測定されます。銀行業では、貸出金等の資金運用がもたらす金利収益と、預金等の資金調達に要する金利費用から測定されます。
現状の金利を元に測定したNIIと、現状からの金利変動を想定し測定したNIIとの差額は、特に⊿NIIと呼称されます。

NSFR

NSFRはNet Stable Funding Ratioの略で、日本語では一般的に「安定調達比率」といいます。2010年に公表されたバーゼルIIIから追加された新たなリスク指標で、「流動性が低く、売却が困難な資産(分母)を保有するのであれば、これに対応し、中長期的に安定的に調達(分子)すること」※を銀行に求めるものですが、LCRと併せてバーゼルIIIにおける「流動性規制」と呼ばれます。規制が要求する最低水準は100%とされています。
※金融庁/日本銀行「安定調達比率最終規則の概要」(2015年2月)

NZBA

NZBAはNet-Zero Banking Allianceの略で、GFANZの銀行セクターを対象とした組織です。
大手銀行43行で発足した、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP-FI)が主催する連合であり、業界主導で2050年までにメンバーの貸出および投資ポートフォリオから排出される温室効果ガスのネットゼロを目指します。


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【O】

ORSA

ORSAはOwn Risk and Solvency Assessmentの略で、日本語では一般的に「リスクとソルベンシーの自己評価」といいます。保険会社がリスクと自己資本等を比較し、自己資本等の十分性の評価を自ら行うとともに、リスクテイク戦略等の妥当性を総合的に検証するプログラムを指します。欧州では2009年に実施が規定され、米国では2012年にORSAモデル法が制定されています。日本では、ORSA の状況を、保険会社がリスクとソルベンシーの自己評価に関する報告書(ORSA レポート)として取りまとめ、金融庁へ提出する取組みが2015 年度より開始されました。

OTC Derivatives

OTC DerivativesはOver The Counter Derivativesの略で、日本語では一般的に「店頭デリバティブ」といわれます。取引所などを介することなく、当事者同士が相対で取引するデリバティブのことです。取引所などで取引されるデリバティブは市場デリバティブや上場デリバティブといわれます。


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【P】

PCAF

PACFはPartnership for Carbon Accounting Financialsの略で、日本語では「金融向け炭素会計パートナーシップ」と呼ばれています。投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量の測定・開示の標準化を目指し、2015年12月にオランダで発足した金融機関の共同イニシアチブです。金融機関の投融資ポートフォリオに係る温室効果ガスの排出量を整合的に計測するための枠組みを開発しています。PCAFに参加する金融機関は、加盟に当たって3年以内に投融資ポートフォリオのGHG排出量を評価・開示することにコミットすることが求められています。

PD

PDはProbability of Defaultの略で、日本語では一般的に「デフォルト率」と呼ばれます。貸出先が債務不履行状態に陥ってしまう確率のことを意味します。

PF

PFはProject Finance(プロジェクト・ファイナンス)の略で、特定の事業やプロジェクトに対して融資を行い、そこから生まれるキャッシュフローを返済の原資とするファイナンス手法のことをいいます。なお、銀行におけるバーゼル規制上のプロジェクト・ファイナンス向けエクスポージャーとは、「発電プラント、化学プラント、鉱山事業、交通インフラ、環境インフラ、通信インフラその他の特定の事業に対する信用供与のうち、利払い及び返済の原資を主として当該事業からの収益に限定し、かつ、信用供与の条件を通じて信用供与を行った者が当該事業の有形資産及び当該有形資産からの収益について相当程度の支配権を有しているもの」のことをいいます。

PIT

PITはPoint-In-Time格付の略で、格付付与時点の貸出先の信用力に基づいて評価する格付手法のことです。景気後退期では下位格の構成比が高くなり、景気回復期では上位格の構成比が高くなります。そのため、各格付のデフォルト率は景気変動の影響を受けず、一定となります。

PML

PMLはProbable Maximum Lossの略で、日本語では一般的に「予想最大損害額」といいます。保険会社が保有する契約に対して、1事故で発生すると予想される最大の損害額を指し、通常火災保険や地震保険などのリスク管理を行う際に用いられます。

PRI

PRIはPrinciples for Responsible Investmentの略で、日本語では「責任投資原則」と呼ばれています。国際連合が2005年に公表し、加盟する機関投資家等が投資ポートフォリオの基本課題への取り組みについて署名した一連の投資原則です。投資家等が、投資を通じて環境問題(Environment)や社会問題(Social)、企業統治(Governance)について責任を全うする際に必要な6つの原則を明示しています。

PV/ NPV

PVはPresent Valueの略で、現在価値を指し、NPVはNet Present Valueの略で、PVから初期投資額を控除した金額(正味現在価値)を指します。PVは一般的にDCF(Discount Cash Flow)法により計算されますが、NPVがプラスであることは、投資からもたらされる収益がプラスであることを意味します。また、二つの投資案件があり、それらが同じ初期投資額であれば、よりNPVが大きい方が投資価値が(金融環境が変わらなければ)高いことを意味します。初期投資額が異なる場合には、単純にNPVが大きい方が投資価値が高いことを意味しない点に留意することが必要です。そうした場合には、一般にIRR(Internal Rate of Return)法によって、投資価値の高低を把握することになります。

PVP

PVPはPayment Versus Paymentの略で、2通貨の支払を突合わせることを指します。外為取引における決済方法のひとつです。PVPにより、2つの通貨による支払のどちらか一方でも適切な支払がなされていないことが判明したときには、両方の通貨を元の口座に戻すことで支払金額を受領できないという事態を回避することができます。


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【Q】

Quota Share(Q/S)

日本語では一般的に「比例再保険」といいます。この再保険方式では、保険会社は再保険契約で対象としたリスクをあらかじめ定めた割合で再保険会社に出再し、収入保険料の一定割合を再保険料として再保険会社に支払い、再保険会社は保険金の一定割合を再保険金として保険会社に支払います。

 

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【R】

RC (Replacement Cost)

RCはReplacement Costの略で、日本語では一般的に「再構築コスト」といわれます。デリバティブ取引において、同一の経済効果を持つ別の取引で既存の取引を再構築するのに必要となるコストのことをいいます。

RCSA/CSA

RCSAはRisk Control Self-Assessmentの略で、リスク/統制自己評価のことを指します。RCSAでは一般的に、固有リスク(統制が行なわれる以前のリスク)、統制(環境)の有効性、および残余リスク(統制が行なわれた後もなお残るリスク)を評価します。

REIT

REIT(リート)はReal Estate Investment Trustの略で、日本語では一般的に「不動産投資信託」といいます。投資家から預かった資金で不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を分配する仕組みの金融商品です。不動産への直接投資と比べ、少額から投資でき、また、複数種類の不動産(オフィス、マンション、ホテル等々)に分散投資することも可能となる、などが特徴です。

RFR (Risk Free Rate)

RFRはRisk Free Rateの略で、日本語ではそのまま「リスク・フリー・レート」やあるいは「無リスク金利」などといわれます。
従来は、LIBOR等がRFRとして広く取り扱われてきましたが、LIBOR不正に端を発するLIBOR公表停止に際し、代替指標に置き換えられています。
本邦においては、TONA(無担保コール翌日物金利)やTORF(東京ターム物リスク・フリー・レート)などが、LIBORに代わるRFRの代替指標とされています。

Risk Margin

保険負債の時価評価を行うにあたり全保険期間にわたり保有保険契約から生じるキャッシュフローを見積もる必要がありますが、将来キャッシュフローの見積りには発生時期や発生金額に不確実性が伴います。リスクマージンはキャッシュフローの時期や金額の不確実性に備えるための上乗せ要素のことで、資本コスト法などの手法により算出されます。なお、資本コスト法では保有する保険契約から生じる将来のリスク量に資本コスト率を乗じた額を保有保険契約を維持するための資本とみなしています。

RRP

RRPはRecovery and Resolution Planの略で、金融機関が厳しいストレスにさらされた際の事業の回復計画、また、破綻へ陥った際の金融システムへの影響を抑制する形での破綻処理計画を指します。2008年の金融危機において問題となった「Too big to fail(大きすぎて潰せない)」といった金融機関のモラルハザードへの対策とされています。

RW

RWはRisk Weight(リスク・ウェイト)の略で、アセットのリスクの大きさを示す指標です。例えば、バーゼル規制上の信用リスクにおける標準的手法では、信用リスク・アセット=与信相当額×RWで計算されています。

RWA

Risk-Weighted Assets(リスク・アセット)の略で、銀行の自己資本比率を計算する際の分母となるものです。バーゼル規制においては、自己資本比率=自己資本の額÷リスク・アセット相当額の合計額で計算されています。

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【S】

SA (Standardised approach)

SAはStandardised Approachの略で、日本語では「標準的手法」(信用リスク)または「標準的方式」(市場リスク)といわれます。内部モデルを用いずに、当局が指定する算式・掛け目等によりリスク・アセット額またはリスク相当額を計算する手段であり、多くの金融機関において用いられています。

SA-CCR

SA-CCR はStandardised Approach for Counterparty Credit Riskの略で、カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測手法を指します。SA-CCRの導入によって、国際統一基準行及び内部格付け手法採用行等は、2023年3月31日以降において従来のカレント・エクスポージャー方式を利用することができなくなります。

SARON

SARONは"Swiss Average Rate Overnight"の略で、日本語では「スイス翌日物平均金利」と呼ばれる金利を指しています。スイスにおける有担保の翌日物(O/N)金利であり、スイス証券取引所から算出・公表されています。スイスフランの特定されたRFRであり、LIBOR廃止後は変動金利としてSARONを参照する取引が増加しました。スイスフランにおけるレポ市場のデータに基づいて算出された翌日物金利です。

SL

SLはSpecialized Lendingの略で、日本語では一般的に「特定貸付債権」といいます。ノンリコース債権のうち裏付資産が非金銭債権(プロジェクト、動産、不動産、コモディティ)のものが特定貸付債権に該当します。

SMA

SAはStandardized Approachの略で、バーゼル委員会が新たに策定したオペレーショナルリスク相当額の新たな算出手法であり、2022年から実施される予定です。(信用リスクの標準的手法(同じくSA)と区別するために、オペレーショナルリスクにおいては「新SA」と呼ばれることがあります。)
新SAは、内部損失データに基づく過去の損失実績を用いてオペレーショナルリスク相当額を算出する手法であり、バーゼル委員会は、ビジネス規模を示すBI(Business Indicator)が一定以上の金融機関を適用対象としています。

SOFR

SOFRは"Secured Overnight Financing Rate"の略で、日本語では「担保付翌日物調達金利」とも呼ばれる金利を指しています。米国における有担保の翌日物(O/N)金利であり、ニューヨーク連銀(NY Fed)から算出・公表されています。米ドルの特定されたRFRであり、LIBOR廃止後は変動金利としてSOFRを参照する取引が増加しました。無担保翌日物金利であるTONAやSONIAと異なり、SOFRは米国債を担保とした翌日物のレポレートとなっています。

SONIA

SONIAは"Sterling Overnight Index Average"の略で、日本語では「ポンド翌日物平均金利」と呼ばれる金利を指しています。英国における無担保の翌日物(O/N)金利であり、イングランド銀行(BOE)から算出・公表されています。英ポンドの特定されたRFRであり、LIBOR廃止後は変動金利としてSONIAを参照する取引が増加しました。英ポンドの無担保翌日物取引における金利の平均値として算出されています。

SPC

SPCはSpecial Purpose Companyの略で、日本語では一般的に「特別目的会社」と呼ばれます。特定の資産の流動化等を目的として、設立される会社を意味します。

SRI

SRIはSocially Responsible Investmentの略称で、日本語では「社会的責任投資」と呼ばれています。
投資基準として企業の財務的側面のみを評価するのではなく、社会的責任を果たしているかといった面からも評価し投資活動を行うことをいいます。1920年代に武器やギャンブルといったネガティブな側面とのかかわりを持つ企業へは投資しないという動きがアメリカで始まったことが由来とされています。企業が社会からの期待を反映した投資という方向性はESG投資と似ていると評されることもあります。

Stewardship Code

スチュワードシップコードは、スチュワード(執事、財産管理人)として資産の投資・運用を受託する機関投資家等が、投資先企業の中長期的な成長を通じて、受益者の収益を最大化するために求められる行動規範を指します。日本では、2014年2月に金融庁が日本版スチュワードシップコードを公表しています。本コードは、実務と市場の発展に応じて逐次更新していくとの位置づけからComply or Explainの位置づけとして、それぞれの原則を順守するか、順守しない場合はその理由を説明するよう求めています。

Surplus

日本語では一般的に「超過額再保険」といいます。この再保険方式では、保険会社は再保険契約で定めた保有額を決め、それを超過する部分を出再します。出再に際して、予め定めた保有額の倍数(ライン)を限度として出再します。

SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)

SWIFTはSociety for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの略で、協会または国際金融取引を仲介する国際決済ネットワークシステムのことを指します。


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【T】

TCFD

TCFDはTask Force on Climate-Related Financial Disclosuresの略で、日本語では「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれています。2015年4月の金融安定理事会(FSB)によって設立されたタスクフォース。気候変動の影響を個々の企業が財務報告において公表することを求めるものです。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する4つの項目(①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標)について開示することを推奨しています。

TBTF

TBTFはToo Big To Failの略で、日本では一般的に「大きすぎて潰せない」といいます。世界の金融機関は、決済ネットワーク等を通じて密接につながっていることから、金融システムの中で重要な地位を占める金融機関の経営危機は、世界の金融システム全体を機能不全に陥らせる可能性があります。このため、このような金融機関を容易に潰すことができないことを、TBTFといいます。ある金融機関が経営危機に陥っても、TBTFとみなされると政府が公的資金(税金)を投入して救済する(failしない)ことが期待されることから、金融機関が収益を追求して過度なリスクテイクに走ってしまうという、モラルハザードが起こりかねないことが指摘されています。

TIBOR

TIBORは"Tokyo Interbank Offered Rate"の略で、全銀協TIBOR運営機関が算出・公表する銀行間金利を指しています。本邦の無担保コール市場の実勢を反映した「日本円TIBOR」と、本邦オフショア市場の実勢を反映した「ユーロ円TIBOR」があり、2014年3月以前は全国銀行協会(全銀協)が算出・公表していました。

Tier1 資本

Tier1資本は、自己資本比率規制における自己資本の項目の1つで、自己資本のうち、普通株式や内部留保等に代表される、損失を吸収するリスクバッファーとして特に良質とされている資本です。

TONA

TONAは"Tokyo OverNight Average rate"の略で、日本語では「無担保コール翌日物金利」「無担保コールO/N物レート」とも呼ばれる金利を指しています。本邦における無担保の翌日物(O/N)の金利であり日本銀行から算出・公表されています。日本円の特定されたRFRであり、LIBOR廃止後は変動金利としてTONAを参照する取引が増加しました。

TR(Trade Repository)

TRはTrade Repositoryの略で、日本語では一般的に「取引情報蓄積機関」といわれます。店頭デリバティブ取引等について、取引情報の収集・保管等を行う機関で、日本では、唯一DTCCデータ・レポジトリー・ジャパン株式会社が取引情報蓄積機関として登録されています。金融商品取引業者等は、取引情報蓄積機関に対して、非清算集中等取引情報の報告が必要になります。

Treaty Reinsurance

日本語では一般的に「特約再保険」といいます。特約再保険では、保険会社はあらかじめ定めた条件に合致するリスクは全て出再する必要があり、再保険会社は出再されたリスクは引き受ける義務があります。

TTC

TTCはThrough-The-Cycle格付の略で、景気循環全体を通し、長期的な貸出先の信用力に基づいて評価する格付手法のことです。景気後退期では各格付のデフォルト率が高くなり、景気回復期では各格付のデフォルト率が低くなります。一方、各格付の貸出先の構成比は景気変動の影響を受けず、一定となります。

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【U】

UCITIS

UCITSはUndertaking for Collective Investment in Transferable Securitiesの略で、譲渡可能証券への集団投資事業を指します。欧州委員会が制定する指令(UCITS指令)に準拠する投資信託です。1985年に最初の指令が制定された後、改正が重ねられて2014年には第5次指令が制定されるなど、投資家保護のための統一的な基準を定めるようにしています。UCITS指令の加盟国で承認された投資信託は他の加盟国でも容易に販売が可能となります。

UFR

UFRはUltimate Forward Rateの略で、日本語では一般的に「終局金利」といいます。将来のフォワードレートが終局的に一定の水準に収束するという前提にたって設定される終局のフォワードレートです。国債等が存在しない超長期の金利を補外する際の金利水準となります。

UL

ULはUnexpected Lossの略で、日本語では一般的に「非期待損失額」といいます。UL=VaR-ELで算出されます。ULはコストではなくリスクとして、自己資本でカバーするという考え方が一般的です。


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【V】

VaR

VaRはValue at Riskの略で、過去の一定期間(観測期間)のデータに基づき、将来の一定期間(保有期間)保有し続けた場合に、ある確率(信頼水準)の範囲内で、ポートフォリオが被る可能性のある最大損失額(予想最大損失額)を統計的手法を用いて計測するものです。主に、金融機関の信用リスクや市場リスクのリスク量計測において用いられます。

VIX

VIXはVolatility Indexの略で、VIX指数ともいわれています。今後30日でS&P500指数がどの程度変動するかを表現した指標であり、シカゴ・オプション取引所(CBOE)から算出・公表されています。通常時は10~20程度の値をとりますが、2008年ごろの金融危機時には90まで上昇するなど、市場の乱高下が予想されるとVIX指数が上昇することから、別名「恐怖指数」といわれることもあります。

VM

VMはVariation Marginの略で、デリバティブ取引の当事者間で当該デリバティブ取引の時価の変動に応じて授受を行う担保金(証拠金)を指します。国際的な規制当局間の合意を受け、日本でも中央清算されない店頭デリバティブ取引について、一定の想定元本金額を有する等、特定の条件に該当する金融商品取引業者等に対して、その授受を義務づける法規制が設けられました。本規制は、2016年9月1日より施行され、2017年3月1日より本格適用となっています。


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【W】

WWR

WWRはWrong-Way Riskの略で、日本語では一般的に「誤方向リスク」といいます。デリバティブ取引の取引相手に対するエクスポージャーと、取引相手の信用力との間に逆相関の関係が存在し、エクスポージャーの拡大に伴い、取引先の信用力が低下してデフォルト確率が同時に上昇してしまう状況をいいます。WWRはデリバティブ取引が抱えるリスク量の増大をもたらすため、深刻な金融危機の原因ともなる状況です。そのため各国当局では、店頭デリバティブ取引の清算集中や取引当事者間での担保の授受の義務付けといった規制上の整備を行い、そのようなリスクの削減を行う施策を継続的に行っています。

 

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【X】

XVA

XVAはX-Value Adjustmentの略で、デリバティブ取引の評価額調整(Valuation Adjustment)の総称になります。取引相手の信用リスクに関する調整であるCVA(Credit Valuation Adjustment)や自己の信用リスクに関する調整であるDVA(Debt Valuation Adjustment)はXVAに含まれます。他には、デリバティブ取引のファンディングに係る評価額調整であるFVA(Funding Valuation Adjustment)などもあります。


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