Realizing the digital promise

ナレッジ

デジタル・プロミスの実現

金融機関のデジタルトランスフォーメーションにおける9つの優先課題

IIF(国際金融協会)とデロイトによる報告書

オープンデータや、顧客の期待の変化、バリューチェーンにおける仲介機能の排除など、ディスラプティブ・フォース(ビジネスの破壊的要因)は金融サービスの未来に影響を与え続けています。この変化し続ける市場力学に対応するため、金融機関の多くはデジタルイノベーションを活用したビジネストランスフォーメーションに取り組んでいます。

しかし、金融サービスにおけるデジタルトランスフォーメーションにおける成功とはどのようなものでしょうか。

この答えを探すため、デロイトはIIF(国際金融協会)と連携し、金融機関がどのようにデジタルトランスフォーメーションを実現できるか調査しました。世界中の金融機関、規制当局、監督当局および政策立案当局の60名を超えるエグゼクティブやトランスフォーメーションリーダーを対象とし、デジタルトランスフォーメーションが意味することや金融機関が変革へと足を踏み出す場合に直面する課題についてインタビューをしました。三部作シリーズとしてこれらの調査結果を取り上げていきます。

シリーズ第一弾: デジタル・プロミスの実現 - 金融機関のデジタルトランスフォーメーションにおける9つの優先課題では、デジタルトランスフォーメーション成功に影響を与える一般的要因を9つ定義しています。金融機関がデジタルトランスフォーメーションを進めていく上で、内部および外部から影響をもたらす一般的要因を追求しています。以下の課題を定義しました:

 

外部の課題

「金融機関に対する投資家の期待」がデジタルトランスフォーメーションの足かせになる

「データの枠組みに一貫性がない」ために、金融機関の価値創造能力や意欲が制限される

「フィンテック企業側に対応能力やキャパシティが足りない」ために、成熟した金融機関との連携の可能性が制約される

「柔軟性を欠いた時代遅れの規制」が大規模なデジタルトランスフォーメーションの取り組みの足かせとなる

 
内部の課題

人材モデルが進化し続けているために、多くの金融機関では「将来の人員構想の再考や、人材の定着に必要な環境の見直し」を余儀なくされている

イノベーションのための連携を積極的に進めるにあたっての「金融機関の敏捷性、理解力、調整力の欠如」

イノベーション追求に向けたリスク選好性の高まりとは相容れない、「金融機関における伝統的にリスクを過度に避ける文化」

「短期の事業目標達成」に向けた経営陣の熱意と、より「長期の変革」に対する組織的なニーズが整合しない

規制対応の負荷が大き過ぎると、予算や経営資源が不足し、デジタルトランスフォーメーションに対する経営陣の関心がそがれてしまう

本レポートを通じて、ビジネスと組織のトランスフォーメーションがもたらす恩恵を十分に活用できる方法をご覧ください。

第二段と第三弾では金融機関が「一層の価値獲得を可能にする要因」とデジタルトランスフォーメーションを進めていく上での「リスクが内外のステークホルダーに与える影響」についてお届けします。

プロフェッショナル

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
パートナー 執行役員
森 亮

外資系コンサルティングファームでの18年間の経験を経て現職。金融業をはじめ多様な産業を対象とし、戦略立案、先端技術洞察、イノベーション・テーマ探索、マーケティング/CRM領域、組織・風土改革等のコンサルティング活動に従事。  >>さらに見る。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
アソシエイトディレクター
河合 孝

保険会社、国内系シンクタンクを経て現職。

金融業における業務プロセス改革、IT戦略策定、大規模システム刷新等のプロジェクトに従事し、特に、テクノロジー動向を踏まえた戦略策定やプロジェクトデザインの領域で多数の実績を有している。
近年は、企業のデジタルビジネス創出やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を中心に活動。

お役に立ちましたか?