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オープン・インシュアランスの機会とリスク

APIを使ったデータシェアリングによる新たな保険マーケットプレイスの出現

APIを介して保険関連のデータにアクセスし共有することを、オープン・インシュアランスと呼びます。オープン・インシュアランスは消費者の保険関連データへのアクセスを容易にし、保険会社、保険代理店、第三者とのデータ共有を可能にし、アプリやサービスの構築を可能にします。保険会社にとってメリットがある一方、ビジネスモデルや評判に関するリスク、データプライバシーやサイバーセキュリティ、第三者のリスク管理などの課題もあります。

オープン・インシュアランスの機会とリスク

APIを使ったデータシェアリングによる新たな保険マーケットプレイスの出現

オープン・インシュアランスについて統一された定義はありませんが、通常、API を介して保険関連の個人および非個人データにアクセスし、共有することを、オープン・インシュアランスと呼びます。

オープン・インシュアランスは消費者の保険関連データへのアクセスを容易にし、保険会社、保険代理店だけでなく第三者との共有を可能にし、アプリやサービスの構築を可能にします。オープン・インシュアランスは保険回りのステークホールダーのエコシステムを構築するもので、保険会社間のデータのやり取りが増加し、業界全体のイノベーション、透明性の向上、協働が促進されます。また、保険商品の情報が標準化され異なる保険商品の比較が容易になり、保険に関するアドバイスが得られやすくなるとされます。このようなことから、保険会社間の競争と顧客利便性に資するサービス改善を促すと期待されます。さらに、規制当局が保険会社等のデータにアクセスすることにより、保険監督にテクノロジーを利用するSupTechの発達とそれによる効率化がもたらされると考えられます。

銀行業界で進められているオープン・バンキングの延長線で考えるならば、保険会社にとってオープン・インシュアランスはメリットもありますが、ビジネスモデルや評判に関するリスク、データプライバシーやサイバーセキュリティ、第三者のリスク管理に関する問題など、様々な課題もあるとされます。

本稿では、保険のビジネスモデルを大きく変える可能性を秘めたオープン・インシュアランスをめぐる海外の取組状況を取り上げ、保険業においてAPIを通じたデータ共有を進める際のリスクと機会について考察を加えます。

≪オープン・インシュアランスのエコシステム(自動車保険の例)≫

 

(出所)EIOPA, “Open Insurance: Accessing and sharing insurance-related data, Discussion Paper”, Jan. 28, 2021.

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