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「連結会計」シリーズ(5) 第5回 未実現損益の消去

(月刊誌『会計情報』2019年6月号)

本号の第5回では、連結会社間取引で発生した未実現損益消去に関する基本的な考え方について、未実現損益が発生した取引の態様別に解説するとともに、棚卸資産に関する未実現損益消去の会計処理について設例を交えた解説を行う。また、未実現損失の取扱いについても取り上げる。

著者:公認会計士 待鳥 益男

1.はじめに

連結会計に関連する会計基準等は多岐にわたり、また、連結の範囲、連結決算日、投資と資本の相殺消去等、連結財務諸表における開示等に関して、実務上、論点となることも多いことから、連結会計の主要論点に関する基本的な内容について、解説を連載している。

本号の第5回では【図表1】の通り、連結会社間取引で発生した未実現損益消去に関する基本的な考え方について、未実現損益が発生した取引の態様別に解説するとともに、棚卸資産に関する未実現損益消去の会計処理について設例を交えた解説を行う。また、未実現損失の取扱いについても取り上げる。

【図表1】連載テーマ

テーマ 内 容
5 未実現損益の消去 ●未実現損益の消去の意義及び会計処理

 

以下は、本号「未実現損益の消去」の解説にあたって参照している基準等の一覧であるが、上記の通り、本シリーズでは連結会計の主要論点に関する基本的な内容を解説しており、「未実現損益の消去」のテーマに関する論点を網羅していないため、本号に記載されなかった論点は基準等の原文を参照されたい。

●企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)

●企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)

●会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」(以下「持分法実務指針」という。)

2.未実現損益の消去

(1) 未実現損益消去の意義

連結損益及び包括利益計算書又は連結損益計算書及び連結包括利益計算書の基本原則は、親会社及び子会社の個別損益計算書等における収益、費用等の金額を基礎とし、連結会社相互間の取引高の相殺消去及び未実現損益の消去等の処理を行って作成することとされている(連結会計基準34項)。未実現損益とは、連結グループ内の取引で付加された損益であり、連結決算上はこれを消去する必要があるため、連結損益計算書作成にあたって、「未実現損益の消去」が重要な手続となる。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(568KB, PDF)
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