出版物
Sustainability4.0
日本企業が挑戦すべき「気候変動対応」
カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーを中心とした、昨今の気候変動対応は、高度経済成長期に顕在化した公害問題から数えて、これで4度目の「ブーム」になる。
これをわれわれは「サステナビリティ4.0」と呼ぶことにした。
サステナビリティ4.0は社会を新しく創る時代であり、その社会に向けて多くの新しい事業モデル・技術が求められている。
気候変動対応に対して「やらなければならない」後ろ向きな思考でなく、新規事業開発・事業発展を実現する前向きな事業機会の宝庫であると捉えると、新しい事業モデル・技術の実現に伴う成長のチャンスを掴むことが出来ると考えている。
真の環境価値を追求する日本企業の強みを活かし、気候変動対応で世界をリードするための道筋を照らす1冊。
目次
第1章 50年早まった気候変動対応
常態化する異常気象
重要視される気候変動対応
急速に進められた時計
カーボンニュートラルへの歩み
日本の独自性への危機感
サーキュラーエコノミーの勃興
身近になるサーキュラーエコノミー
日本はサーキュラーエコノミーをリードできる
カーボンニュートラルとの両立を目指す
苦悩する素材・エネルギー産業
石油・ガス産業に立ちはだかる3つの壁
化学産業に立ちはだかる5つの壁
鉄鋼産業に立ちはだかる2つの壁
既存のエコシステムからの脱却
第2章 サステナビリティ4.0で日本の競争力を創るヒント
4度目の気候変動対応
サステナビリティ1.0:環境問題対策の基盤構築
サステナビリティ2.0:省エネ対策を起点とした環境政策・技術の普及
サステナビリティ3.0:地球温暖化に対する政策面での出遅れと技術面での健闘
サステナビリティ4.0に対して持つべき心構え
第3章 気候変動解決への挑戦
技術は事業機会の宝庫
ステップ1 二酸化炭素の排出量把握
ステップ2 二酸化炭素の排出量削減
ステップ2-① 低炭素原料の利用
ステップ2-③ 製造プロセスの変更
ステップ2-④ エネルギー源の低炭素化
ステップ2-⑥ 事業・製品ポートフォリオ変更
ステップ3 二酸化炭素の回収・再利用
ステップ4 オフセット
世界から期待される日本の技術
第4章 サプライチェーンの変革に伴って訪れる大きな事業機会
気候変動により生じる変化は事業機会である
自動車産業における3つの気候変動対応
自動車の電動化+電力の脱炭素化
自動車製造サプライチェーンの脱炭素化
建築産業における5つの気候変動対応
設備・建築材料のリサイクルと木材化
二酸化炭素を吸収する建築資材の開発
太陽光パネルに対する技術開発
今から長期目線での対策を
容器・包装産業における3つの対応
サーキュラーエコノミーで深化するリサイクル
プラスチックと上手につき合う方法の模索
容器・包装産業における機会の捉え方
事業機会の探索に向けた考え方
第5章 素材・エネルギー産業の変革が気候変動対応の鍵を握る
気候変動対応は新しい社会を創る
環境価値が認められる時代へ
無価値だったものの有付加価値化
地域環境・地産地消による地域最適化・分散化
【COLUMN】地産地消を加速させる国境炭素税
産業や政府との新しいエコシステム
ルールメイキング
【COLUMN】マスバランスアプローチ認証手法の妙
環境に向き合うことが環境価値を最大化する
第6章 サステナビリティ4.0の先を見据えて
環境価値が多様化する時代
グリーンネイティブ世代へのシフト
二酸化炭素以外の温室効果ガスへの対応
カーボンニュートラルに賛成できない国との協力
新しい考え方による気候変動対応の台頭
生物多様性の織り込み
真に地球環境によいものを追求する
おわりに
注釈
プロフェッショナル
桒原 隆志/Takashi Kuwabara
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員/パートナー
欧州系戦略ファームにてプロジェクトマネージャーを務めたのち、デロイト トーマツ コンサルティングに参画。2015 年よりタイを拠点にAPAC(アジア太平洋)の幅広い業種に対して企業戦略立案・新規参入などのテーマを手がける。2021 年より石油・化学/鉱業・金属ユニットに参画し、気候変動対応をリード。シナリオ検討、新規事業創出、業界再編などの案件に数多く従事している。