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新型コロナウイルスによる一時退避者の給与計算の実務FAQ

グローバルモビリティ~国内税務~ 2020年12月

新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)により、多くの海外赴任者が日本に一時帰国している中、日本での一時退避期間が183日を超えるなどで日本で納税が必要なケースが発生しており、その具体的な実務処理についての問い合わせが年末に向けて増えています。今年の年末調整は改正事項も多く、更にCOVID-19による実務対応も余儀なくされ、人事担当者の方の作業が増加していると思われます。一時退避者の実務処理は非居住者か居住者か、給与の支払いは国内か国外か、また現物給与の取り扱いはどうなるかなどの論点も多く、煩雑な対応を余儀なくされています。給与計算についてはその処理を間違えると過去に遡って対象月の修正が必要になるため、最初に適切な処理を把握し、対応することが肝要です。本稿では一時退避者の給与計算の実務処理を中心にQ&A形式でまとめてみましたので、是非ご一読ください。

<各Q&Aの前提>
COVID-19が全世界的に拡大していることから、弊社日本法人からの指示で弊社の海外赴任者を日本に一時退避させています。一時滞在期間が長期化している赴任者については、帰国発令を出すケースも出てきました。なお、退避者の出向先国は日本との租税条約が締結されている国となります。また、出向者の給与については全額出向先法人の負担となっています。

 

Q1. 海外赴任者の一時退避が長期化し、日本に一時帰国してから183日を超えてしまいました。この場合、租税条約による短期滞在者免税の日数要件(いわゆる183日ルール)を満たさなくなり、日本で課税が発生すると思いますが、具体的な手続きについて教えてください。

A1. 国内で支給された給与については源泉徴収により納税が必要になります。海外の出向先から支払を受ける給与については非居住者の準確定申告書の提出が必要になります。

Q2. 一時退避期間が長期化し、再渡航の目途が立たないため、帰任発令により日本への本帰国が確定しました。この場合の給与計算について何か気を付けることがあれば教えてください。なお、日本に一時退避として滞在していた期間は183日未満です。

A2. 日本への本帰国が確定した日から日本の居住者となり、居住者となった日以後に支給期が到来する給与については所得税の源泉徴収が必要になります。また、年末調整については、帰国日以後に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されていれば、帰国日以後年末までに支払がされた給与について行うこととなります。

Q3. 日本での一時退避期間が183日を超えてしまった後で、帰任発令が出て日本の居住者になりました。183日を超えてしまったので、非居住者期間の国内払い給与にかかる納税処理をこれから行う予定ですが、会社が税金を負担する場合のグロスアップの税率は居住者の税率で行う必要がありますか?

A3. 非居住者期間にかかる税金についての手取保証の計算を行うため、非居住者の税率でグロスアップを行う必要があります。

Q4. 2018年より海外赴任していた日本人従業員が今年4月1日に一時退避により帰国し、11月に赴任先に戻りました。日本での滞在が183日を超えてしまっているため、一時退避期間の国内源泉所得について納付が必要と認識していますが、今年6月に支給した賞与と12月に支給予定の賞与の課税について教えてください。なお、賞与の支給対象期間は6月については前年の10月から3月末まで、12月については4月から9月までになります。

A4. 6月の賞与については、支給対象期間のうち国内勤務に起因する国内源泉所得がないため課税する必要はありませんが、12月賞与については、課税対象となります。

Q5.  日本に4月から一時退避していた赴任者が、11月に日本にいながら帰任発令が出て日本の居住者になりました。この場合の住民税の課税所得について教えてください。

A5. 住民税については1月1日に住所がある場合に納税義務が発生し、4月以降の給与所得に対して賦課徴収されることになります。


上記の各質問に関するより詳しい解説はPDFよりご確認ください。

 

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

(1.50MB,PDF)

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