最新動向/市場予測

業界展望2024年 航空宇宙・防衛業界

航空宇宙・防衛企業は、来るべき課題を乗り超え、成長機会を活かすために、新技術やイノベーションを取り入れる必要がある

本稿は、デロイト ネットワークが毎年発刊している航空宇宙・防衛業界のトレンドに関する考察を翻訳したものであり、各章では業界アジェンダに対応していくためのヒントが散りばめられている。

日本語版発行に寄せて

足下の航空宇宙・防衛業界を概観すると、民間航空業界は新型コロナウイルス感染症の影響からの回復期に入る中で需要増加の追い風が吹くと共に、厳しさを増す安全保障環境に対応するための防衛関係費の増額に伴って防衛セクターの受注も大幅に増大しつつあり、需要拡大の追い風が吹いている成長市場と捉えることができる。

他方で、需要の急拡大に対応するための生産工程の効率化や労働力の確保、そして地政学リスクの高まりに伴うサプライチェーンの強靭化やサイバーセキュリティリスクへの対処など、従前からも存在した課題が更に先鋭化した形で各企業のアジェンダとなっている点も無視はできない。

更には、持続可能性を目標とした次世代航空技術の開発、空飛ぶクルマをはじめとした次世代モビリティの社会実装に向けた取り組みが進む中でいかに将来に向けた投資を実現するか、また、生成AIをはじめとする新興技術をどのように製品開発・製造・アフターサービスといったプロセスに適用していくかといったイノベーションの領域に挑戦している企業も多いのではないだろうか。

本稿は、デロイト ネットワークが毎年発刊している航空宇宙・防衛業界のトレンドに関する考察を翻訳したものであり、各章では上に挙げたような業界アジェンダに対応していくためのヒントが散りばめられている。これが、日本の航空宇宙・防衛関連企業が変化の激しい本業界の競争を勝ち抜き、成長市場から得られる果実を手にするための取り組みの一助になれば幸いである。

谷本 浩隆
ディレクター
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

 

2023年、航空宇宙・防衛業界では、製品サービスに対する需要の回復が見られた。航空宇宙セクターでは、ほとんどの国で国内民間航空の有償旅客キロ数が新型コロナウイルス感染症の流行前の水準を上回った1。この航空旅行の急増は、新しい航空機やアフターマーケット製品、アフターマーケットサービスの需要増加につながった。米国の防衛セクターでは、新たな地政学的課題に加え、軍備の近代化が優先されたことで、2023年には特に兵器や次世代能力に対する需要が強固になった2

航空宇宙・防衛製品と航空宇宙・防衛サービスの需要は、2024年も続くと予想されている。商業面では、旅行が引き続き右肩上がりの傾向を示す可能性が高い。防衛セグメントでは、地政学的不安の高まりに伴い、引き続き製品需要の増加が見込まれている。さらに、次世代モビリティシステムとしての空飛ぶクルマのような新興市場の企業は、商業化に向けた準備として試験と認証を進めると予想されている。

こうした傾向は国内外での支出を促進する可能性が高いが、需要の増加は、サプライチェーンの問題、リードタイムの長期化、人材不足といった継続的な課題に取り組む航空宇宙・防衛企業に新たな課題を突きつけるかもしれない。

こうした課題に対処するために、航空宇宙・防衛企業がデジタル化をさらに進め、新たな先進技術をより多く取り入れるようにすれば、コスト面での課題に対処しつつ新たな収益源の開発に着手することが可能となり、収益性を高めることができるだろう。こういった先進技術は、航空宇宙・防衛企業がより強靭なサプライチェーンを構築し、物流の問題を軽減し、新たな人材を惹きつけ、新製品を迅速に開発するための基盤となりうる。

航空宇宙・防衛企業が翌年に向けて準備を進めるにあたって、様々な課題に取り組み、また新たな機会を生かすうえで注目すべき主要トレンドには以下のようなものがあるが、デジタル化はこうしたトレンド全体の統一テーマとなる。

  • 人材:需要が高まり、従業員の期待が変化する中、航空宇宙・防衛企業は労働力の課題に取り組んでいる
  • サプライチェーン:複雑化するグローバルサプライチェーンには多層的なソリューションが求められている
  • デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術により、航空宇宙・防衛業界は成長と効率化を実現できる
  • 新製品の導入:顧客の嗜好の進化と持続可能性重視の高まりにより、製品イノベーションに拍車がかかっている
  • 防衛支出と商業支出:航空宇宙・防衛業界への資金支出によって成長とイノベーションが促されている

 

1. 人材:需要の増加と、従業員の期待の変化の中で、航空宇宙・防衛企業は労働力に関する課題に取り組んでいる

航空宇宙・防衛業界は、主に給与水準の上昇、従業員の流動性の高まり、従業員と職場の関係の再評価、そして求人市場での激しい競争によってもたらされる新たな人材事情に直面している。新型コロナウイルス感染症の流行以降、従業員の期待はますます高まるばかりであり、航空宇宙・防衛企業にとって、熟練した労働力を惹きつけ、定着させ、育成することが困難になる場合が多くなってきた。

こうした労働力の問題は、業界全体の需要増加に対応するために航空宇宙・防衛企業が生産事業の規模を拡大し始める際に、大きな痛手となる可能性がある。

人材を惹きつける

米国の航空宇宙・防衛業界は、雇用の面で新型コロナウイルス感染症の流行前の水準を上回った。2022年、米国に拠点を置く航空宇宙・防衛企業の従業員数は101,700人増の220万人となって、2021年から4.87%増加し、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年の水準である218万人を超えた3

労働人口の増加にもかかわらず、航空宇宙・防衛企業が人材不足に直面する可能性は高い。こうした人材不足は、国内旅行の増加や各国の軍備増強に伴う生産需要の妨げになる可能性がある。現在、航空宇宙・防衛企業は、技術者や製造作業員からエンジニアに至るまで、人材の獲得に苦戦している。アジアに拠点を置く、ある大手エンジニアリング会社は、技術者不足がメンテナンスコストの増加につながり、大口顧客への販売拡大見込みに影響を及ぼす可能性があると指摘していた4。さらに、全米製造業者協会(National Association of Manufacturers:以下「NAM」)の2023年第3四半期の製造業の業界展望に関する調査では、調査対象の米国製造事業者の4社の内3社が、質の高い労働力を惹きつけ、維持することが主要な経営課題であると述べているとしている5

航空宇宙・防衛分野を含む製造業界では、熟練した人材をめぐる他産業との競争が激化している6。デジタルスキルを持つ一流の人材は、自動車業界(例えば、電気自動車や自動運転車セグメント)やライフサイエンス業界(例えば、医療テクノロジーやバイオテクノロジーセグメント)等、多様な分野のデジタル関連の仕事に引き抜かれる可能性があり、航空宇宙・防衛企業はこの競争激化を認識しているのである。

航空宇宙・防衛企業は、労働者のニーズの変化に対応するために、報酬以外にも戦略を拡大する必要があるかもしれない。米国の航空宇宙・防衛業界における平均年収は108,900米ドルとなっており、これは全米平均を約55%上回っている7。とはいえ、Z世代の従業員の多くは、幅広い影響力と目的を持ったキャリアを熱望している8。人材を求める航空宇宙・防衛企業は、より目的を明確にしたマーケティングキャンペーンで人材を惹きつけ、従業員と企業の価値観が一致するよう、より戦略的な採用活動を行うだろう。

人材を定着させる

大量の新規雇用にもかかわらず、2023年8月の製造業界の求人数は依然として604,000人であった9。また、自己都合離職者は離職者全体の約68%を占めた。逼迫する労働市場での競争に打ち勝つために、人材誘致と、(潜在的にはより重要な)人材定着の両方に航空宇宙・防衛企業は取り組むことになるだろう。航空宇宙・防衛業界では、特定の教育水準やセキュリティクリアランス等、自社の従業員に対して高い要求と期待を課しており、特に定年退職者の増加に伴い、人材の定着に注力する必要が出てくる可能性がある。

歴史的に見て、航空宇宙・防衛業界の企業は、深い経験に加え企業文化との強い結びつきを有する労働力によって成功を収めてきた。従って、求人市場の競争状態を考えると、航空宇宙・防衛業界にとっては、高技能労働者を定着させることが重要である。

航空宇宙・防衛企業は、人材定着率を高め、従業員の自然減の流れを変えるために、報酬と柔軟な勤務形態を活用している。こういったアプローチは航空宇宙・防衛業界の製造セグメントで採用されており、Deloitteの2024年製造業界展望では、2022年度第1四半期から2023年度第1四半期の間に同セグメントの従業員の平均時給は4%も上昇した。さらに、過去2年の間にリモートワークへの大きな移行を経験してきており、その期間に自己都合離職者数は平均19%減少している10

柔軟性のメリットだけを提供し続けるのであれば、航空宇宙・防衛企業の人材定着水準はある時点で頭打ちになる可能性がある。NAMによる2023年第2四半期における製造業界展望に関する調査によると、製造業者が労働者にその種の柔軟性を提供する際に直面する主な課題は、柔軟性の欠ける生産、シフトニーズ、及び労働人口間の差異の発生であるとしている11。航空宇宙・防衛業界では、人材を惹きつけ、定着させるための新たな手段が模索されることになるだろう。

新たな技術を追求し、導入することは、利益率向上のみならず、労働力の活性化にもつながることになる。従業員の職務内容に関係なく、航空宇宙・防衛企業では、従業員の先進技術の習熟を助ける新しいプログラムへの着手が検討され始めるだろう。これには、技術に基づくローテーションプログラムや、社内でパッションプロジェクト(本業以外に取り組むプロジェクト)を遂行するための指定された時間が含まれるかもしれない。

人材を育成する

定年退職者数の増加と労働力の高齢化 (航空宇宙・防衛業界の労働者の約26%を55歳超が占める) に伴い、航空宇宙・防衛業界は、長期的に持続可能な事業運営と安定のために、若い世代の専門家を養成する必要がある12。航空宇宙・防衛企業は、業界内のテクノロジーの進化に合わせてより多くの学習手段を開発することで、自社の労働力のスキルアップを図ることができる。こういった学習手段には、以下のような方法がある。

  • 大学と緊密に協力した今までにない研修と労働力開発プログラムの作成
  • インターンシップや実習等のキャリア開発に係る取り組みの拡大
  • トップクラスの研究機関や大学との共同研究契約の推進

航空宇宙・防衛セクターの従業員は、全てのキャリアレベルにおいて、サイバーセキュリティの重要性について教育を受け、安全な環境を維持するうえでの具体的な責任を明確に理解する必要がある13。それに伴い、航空宇宙・防衛企業の労働力開発戦略は、人材を惹きつけて定着させるだけでなく、人材にとって安全な環境を整える一助となるだろう。

新たな技術を追求し、導入することは、利益率向上への対処だけでなく、労働力の活性化にもつながることになる。従業員の職務内容に関係なく、A&D航空宇宙・防衛企業では、従業員の先進技術の習熟を助ける新しいプログラムへの着手が検討され始めるだろう。

 

2. サプライチェーン:複雑化するグローバルサプライチェーンには多層的なソリューションが求められている

グローバルに展開するサプライチェーンに脆弱性や混乱が発生・継続することにより、生産の遅れや、納期の遅れ、また原材料と部品の価格上昇を招く可能性があることを航空宇宙・防衛企業は想定しておく必要がある。原材料や三次サプライヤーから、プライムとなる製造業者(Original Equipment Manufacturer:以下「OEM」)、MROベンダー等に至るまで、サプライチェーン全体の問題として、熟練工の不足、労働者の自然減、材料や部品の入手困難、無視できない水準のインフレなどの問題が山積しており、新型コロナウイルス感染症の流行以降、これらの要因により、資材調達のリードタイム長期化やサプライヤーのデコミットが増加しており、その結果、事業運営、プログラム、財務状況などのボラティリティが高まっている14

製造業界ではリードタイムがわずかながら改善され、生産資材についてはピーク時の2022年7月に100日だった納入リードタイムが2023年8月には87日となった。それでも平均リードタイムは、まだ新型コロナウイルス感染症の流行前の水準に達していない15。2023年はこれら一定の改善が見られつつも、生産需要が軒並み増加する中で、原材料、半導体、マイクロエレクトロニクス、及びその他主要コンポーネントや部品(エンジン鋳造品・鍛造品など)の不足が続いており、航空宇宙・防衛企業にとっては2024年においても重大な問題となる可能性が高いと見込まれる。

原材料の調達、特に防衛を支えるために使用される 「重要」 鉱物の調達は、航空宇宙・防衛サプライチェーン独自の課題となっている。米国では、そういった重要鉱物の現在の生産量と備蓄量はごくわずかである。例えば、米国は重要鉱物であるガリウムを中国、英国、ドイツなどの国々からの純輸入に100%依存していた16。現在、13種類の主要な重要鉱物の大半において中国が輸出でトップとなっており17、それぞれの市場シェアの50%から70%を占めている一方、米国が輸出でトップに立っている重要鉱物は1種類だけである18。こういった重要鉱物の輸入への依存に関しては、短期的に代替鉱物に切り替えることが非現実的である可能性が非常に高いため、航空宇宙・防衛企業にとって複雑な要因となりうる19。 地政学的緊張が貿易障壁の増大につながることは多く、原材料と先進技術の両方に影響を及ぼすため、航空宇宙・防衛企業では、重要輸入品の入手可能性と機密品目の輸出能力に対する制限が強化される可能性が高い。宇宙開発技術、エレクトロニクス、半導体などの最先端の材料技術に依存している航空宇宙・防衛企業は、2024年の地政学的な出来事を注意深く監視し、ガリウムやゲルマニウムなど重要鉱物の戦略的備蓄量の維持を検討することになるだろう20

航空宇宙・防衛業界内では、部品の調達先が限られているか、一つしかないという課題が引き続き存在している。航空宇宙・防衛業界では、生産ラインの認定や認証を通じて業界の基準と要件を満たすことは根気の要るプロセスであるため、代替調達先の開拓が遅れている。そのため、企業では、新品部品とアフターマーケット部品の両方の供給を現在の生産に頼らざるを得ないことが多くなっている。こういった企業では、生産における新たな選択肢を開発し続けながら、重要品目の追加在庫を構築し、柔軟なサプライチェーンを維持するために、戦略的在庫を増強する可能性が高い。

米国では、国境を越えた製造やフレンドショアリングの継続的な模索など、生産における選択肢がある。米国政府は、国際的なパートナーと協力することで防衛生産能力の開発を続けている。さらに、航空宇宙・防衛企業では、最終的な代替供給源を創出し、単一供給源による製造、リードタイムの長期化、陳腐化の問題を回避するために、今までにない製造技術への投資を一層進める可能性がある。

最後に、航空宇宙・防衛企業では、2024年もサプライチェーンのデジタル化と自動化の選択肢に目が向けられると予想される。最近のDeloitteのサプライチェーン調査では、回答者の78%が、デジタルソリューションによってサプライネットワーク全体の可視性と透明性が向上するだろうと回答している21。航空宇宙・防衛企業では、調達・生産・納入プロセスを完全に把握するために、サプライチェーンのデジタルツイン化が進められるだろう。

航空宇宙・防衛のサプライチェーンは、顧客とOEM、複数階層のサプライヤー、MROベンダー等からなる、複雑でグローバル化したエコシステムである。この複雑さゆえに、バリューチェーン全体の多様化と透明性の実現は非常に困難ではあるが、避けては通れない。原材料の戦略的備蓄量を維持し、リードタイムの長い品目の大量購入に努め、代替供給源を模索し、業務をデジタル化することで、航空宇宙・防衛企業はサプライチェーン全体のいかなる問題や脆弱性にも対処可能な態勢を整えることができるのではないだろうか。

最近のDeloitteによるサプライチェーンの調査では、回答者の78%が、デジタルソリューションによってサプライネットワーク全体の可視性と透明性が向上するだろうと回答している。航空宇宙・防衛企業では、調達、生産、配送のプロセスを完全に把握するために、サプライチェーンのデジタルツイン化が進められるだろう。

 

3. デジタルトランスフォーメーション:航空宇宙・防衛企業は、デジタル技術を取り入れることで、成長と効率化を実現できる

航空宇宙・防衛企業は、デジタルトランスフォーメーションの道を歩み続けており、2024年にはその歩みをさらに加速させるだろう。航空宇宙・防衛業界のフロントランナー企業は、モデルベースエンタープライズやデジタルツインなどのデジタル技術に関して先陣を切っている。デジタル化は、製品開発を強化し、運用効率を向上させ、成長機会を活かすことに役立つ。しかし、先進技術を採用する前に、航空宇宙・防衛メーカーは自社のプロセスや技術、ツールの近代化を検討した方がよいかもしれない。そうすることで、既存のインフラを用いてスループットを向上させ、労働力やサプライチェーンに根強い課題があっても需要の変動とコストを効果的に管理できるようになるだろう。

生産プロセスのデジタルトランスフォーメーション

航空宇宙・防衛企業では、規制要件や特定の顧客、契約、製品仕様によって定義される、非常に複雑な環境の中で事業が展開されている。プロセスや技術の近代化と統合は、航空宇宙・防衛業界が生産スループットとコスト効率を向上させるための重要なステップである。

デジタルトランスフォーメーションを取り入れることで、航空宇宙・防衛の全段階の生産プロセスを再構築でき、サイクルタイムの大幅な短縮、効率性の向上、歩留まりの向上、品質基準の引き上げを実現できる。

設計段階では、モデルベースのシステム工学22アプローチにより、システムの仮想設計、分析、検証、妥当性確認が可能になり、新しい製造ラインの認定と認証にかかる時間が短縮される可能性がある。同様に、産業分野におけるIoT(Industrial Internet of Things)技術を採用し、運用技術(Operational Technology23)と情報技術(Information Technology24)の両システムを統合することによって、製造環境でより優れた知見が生み出されるようになる。 この種のエンドツーエンドの可視化ソリューションは、歩留まりを向上させ、製品の品質を高めるのに役立つ。

デジタルトランスフォーメーションやデジタルツインなどの新たなデジタル技術がもたらす影響は、最終製品の生産だけにとどまらない。航空宇宙・防衛企業では、デジタルツイン技術を導入することにより、ライフサイクルを通して部品を追跡して保守プロトコルを改善することが可能になる。また、この技術の導入により、アフターマーケットサービスプロバイダーに即応体制を整える機会をもたらすこともできる。航空宇宙・防衛システムによって生成された膨大なデータを活用することで、アフターマーケットサービスプロバイダーはAI技術を導入し、航空機やシステムの整備がいつ、どのように必要になるかを予測することができるようになるだろう。必要な部品や工数に関する情報を含むこのような生成データは、修理時間を短縮し、納品までに要する時間を改善し、競争優位性を生み出す可能性がある。

航空宇宙・防衛企業におけるデジタルトランスフォーメーションのペースは様々であり、企業独自の要件、優先事項、利用可能なリソースに左右されることが多い。それでもなお、航空宇宙・防衛企業が競争を続ける中で2024年もデジタル化は避けて通れないとみられる。

デジタル化の拡大

持続可能性、製品革新、戦時防衛に対する需要に応えるため、技術は急速に進化していくと予想される。航空宇宙・防衛企業では、デジタル技術、特に人工知能(Artificial Intelligence:以下「AI」)と生成AI(AIのサブセット)が様々なシナリオで探求され、応用されつつある。

AIによって、業務の合理化、生産性の向上、リアルタイムでのデータ同期、カスタマイズプロセスの簡素化が可能になる。AIソリューションにより、周囲の監視や意思決定のためのアビオニクス技術の向上から、製造業者における保守や欠陥監視の最適化まで、様々な用途において航空宇宙・防衛業界に恩恵がもたらされている。生成AIの活用による製品設計の効率化は、エネルギー効率の高いデザインや低炭素製品を生み出す機会を増やすうえで不可欠なものになるだろう。

生成AIを活用したバーチャルフィールドアシスタントは、製品開発にとどまらず、問題解決能力と生産性を向上させることでエンジニアをサポートすることができる25。こういったAI技術のユースケースによって、労働力にさらなる影響が及ぶ可能性がある。労働者の生産性を向上させることが、航空宇宙・防衛企業が人材不足の影響を緩和するための1つのアプローチとなるかもしれないからだ。

航空宇宙・防衛企業はデジタル機能を強化し続ける中で、自社技術に対する信頼を促進し、データセキュリティに関連するリスクを管理し、連邦または州の潜在的な規制活動を監視する動きを見せるようになるだろう。さらにこれらの企業は、AIなどのデジタル技術に対する信頼性を高めるために、適切なデータを使用し、実装されているアルゴリズムを完全に理解するよう努めるだろう26。そして増大するサイバーリスクから機密データを保護するために、航空宇宙・防衛企業は、強固なサイバーセキュリティリスク管理対策とデジタルインフラストラクチャシステムの強化に多額の投資を行うことになるだろう。最後に、合法的な慣行を確保するために、航空宇宙・防衛企業は、国家安全保障への影響を含め、こうしたデジタル技術の責任ある使用に対する規制の強化をより注意深く監視していくことが考えられる。

航空宇宙・防衛企業は、デジタルトランスフォーメーションに影響を与える主要な課題を引き続き探求し、デジタルトランスフォーメーションをオプションとして捉えるのではなく、競争優位性と長期的な成功を達成するための必須要件として扱うようになるべきである。

生成AIの活用による製品設計の効率化は、エネルギー効率の高いデザインや低炭素製品を生み出す機会を増やす上で不可欠なものになりうる。生成AIを活用したバーチャルフィールドアシスタントは、製品開発にとどまらず、問題解決能力と生産性を向上させることでエンジニアをサポートすることができる。

 

4. 新製品の導入:顧客の嗜好の進化と持続可能性重視の高まりにより、製品イノベーションに拍車がかかっている

航空宇宙・防衛業界において新製品を開発することは、それだけでも困難な作業である。その上さらに、複雑な運用環境、様々な規制要件、製品認証に関連する広範な試験要求が加わると、開発作業はより困難なものに思えるだろう。このようなハードルにもかかわらず、技術の強化、持続可能性の向上、排出量の削減、システムの高性能化、コストの削減に対する消費者の要望の進化を受けて、航空宇宙・防衛業界は2024年における新製品の革新と導入に向けた動きを進めている。

2024年、航空宇宙・防衛企業は、排出量を削減し、さらに将来の排出量規制に備えるために、環境に優しい代替推進技術の開発を継続すると思われる。同時にまた、民間企業と政府機関は、それぞれ超音速航空機と極超音速航空機の開発を引き続き推し進めるだろう。これらは製品革新における主要な分野であるが、材料の開発や先進的な製造方法の取り込みなど、航空宇宙・防衛業界の様々な分野で研究開発が継続されると思われる。

持続可能性と排出量削減

(米国はパリ協定の加盟国であるため)2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するという目標に向けて27、航空宇宙業界では革新的な設計と持続可能な推進技術を積極的に開発している。航空宇宙・防衛企業では、2030年における持続可能性の中間目標の達成に向けて、温室効果ガス排出量、水の浪費、エネルギー使用量を削減する目標を設定している。カリフォルニア州の気候データ説明責任パッケージのより広範な影響を認識し、また米国証券取引委員会の気候情報開示規則の最終版リリースを待っているため、航空宇宙・防衛企業が持続可能性と排出量削減の推進を継続する可能性がさらに高くなっている。

排出量を低減した航空機やゼロエミッション航空機に対する需要によって、電気、ハイブリッド、水素、さらには太陽電池を動力源とする推進技術の成長の勢いは2024年も牽引されると思われる。例えば、米国の大手防衛事業者は、電気推進ソリューションを掲げる事業者に対する戦略的な投資を行い、電気航空ソリューションの開発を推進している28。海上・航空用途に加えて、防衛セクターにおいてもこういった技術を応用していけるようなさらなる機会が航空宇宙・防衛業界に訪れるはずである。

従来の航空機にとどまらず、次世代モビリティシステムとしての空飛ぶクルマの業界も上昇傾向にある。空飛ぶクルマ業界では、2025年の商業化に備えつつ、2024年には開発、試験、認証の段階に進んでいくと予想される。空飛ぶクルマ業界では、2024年以降に空飛ぶクルマを運航する航空会社からの大量の受注を目の当たりにすることになった29

短期的には、空飛ぶクルマメーカーは、強固な製造能力の確立に重点を置いており、概念実証段階から本格的な生産へと移行している。大規模な航空機生産に向けて製造工場建設計画を既に明らかにしている空飛ぶクルマ業界のリーダー企業も存在する30

現在、空飛ぶクルマ業界では、5~6人乗りの航空機向けの電気推進を検討しているようだ。今後、航空宇宙・防衛業界で20~100席の持続可能な航空機の開発へと移行が進むにつれ、各企業がハイブリッド電気システムや水素燃料システムの実験を開始し、さらなる開発を行う可能性がある。

用途にかかわらず、こうした推進技術の開発には時間がかかり、航空機の設計に大幅な変更を要することもある。航空宇宙・防衛業界では、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel:以下「SAF」)を、過去の推進システムと将来の推進システムとの間のギャップを埋めるための暫定的な選択肢と見なし続けるだろう。国際航空運送協会(The International Air Transport Association)では、2050年の排出量削減目標達成に必要な炭素削減量の62%がSAFの貢献によるものになると予測している31

最後に、航空宇宙・防衛企業が持続可能性における優位性を追求するにつれ、航空機とエンジンの両方において大幅な再設計を迫られることが予想される。これら航空宇宙・防衛企業は、先端材料を使用した軽量航空機部品の生産に積極的に取り組んでいる。この取り組みは、燃料消費の削減だけでなく、航空機の全体的な構造強度を高めるのにも役立つだろう。民間航空では、各エンジンメーカーによって、最先端技術を取り入れたエンジンの開発に力が注がれている。このような技術統合の目的は、燃料効率を向上させ、騒音排出を減らし、環境への影響を最小限に抑えることである。防衛面では、米空軍が、次世代航空支配(Next Generation Air Dominance)プログラムの一環として、次世代戦闘機の開発に邁進している。このプログラムでは、次世代適応推進(Next Generation Adaptive Propulsion:以下「NGAP」)プログラムの一環として開発が進められてきた適応型エンジン技術を活用する態勢が整えられている。米空軍の2024年度予算案では、NGAPに対して5億9,500万米ドルの潤沢な予算が計上されている32

超音速・極超音速技術

NASAのX-59 QueSSTプログラムの目的は、ソニックブームの強度を低減することにより、静かな超音速飛行を実証することである33。技術的な進化にもかかわらず、大きなハードルが残されている。各メーカーは、持続可能で経済的に実行可能な超音速航空機の開発は可能であると主張しているが、製品開発としてはまだ初期段階である。とはいえ、ある大手の超音速航空機メーカーが投資を確保し、米国の大手航空会社の1社と協力関係を固めていることから、超音速技術全般の将来性に対しては楽観的な見方が強まっている34

超音速航空機にとどまらず、2024年には攻撃と防御の両面で極超音速技術の需要が高まることになる。2024年度には、米国防総省(Department of Defense)とNASAは、極超音速能力の開発と試験のために予算を割り当てている35。極超音速分野への米国防総省からの資金流入に伴い、航空宇宙・防衛企業は、これまで滑空機や巡航ミサイルを含む極超音速兵器の実用化に向けて取り組みを進めてきたが、今後もこれを継続すると考えられる。

航空宇宙・防衛業界では、新製品を生み出し、既存製品を改良し、技術的進歩を推進するために、研究開発に多額の投資を行っている。こういったプログラムはいずれも、認定・認証を受けたシステムを市場に投入するまでのスピードに頼ることになると思われる。最先端技術の恩恵を真に享受するために、航空宇宙・防衛企業では、サプライチェーン全体と生産プロセス全体におけるデジタルトランスフォーメーションを優先させるとみられる。デジタルスレッドは、エンジニアリング、サプライチェーン、製造、アフターマーケットのそれぞれの活動やサービスを結びつけ、モデルベースエンタープライズの実現を叶えるデジタルツールかつデジタル表現であり、業界全体の新製品導入において重要な役割を果たすと思われる。

航空宇宙・防衛業界では、新製品を生み出し、既存製品を改良し、技術的進歩を推進するために、研究開発に多額の投資を行っている。こういったプログラムはいずれも、認定・認証を受けたシステムを市場に投入するまでのスピードに頼ることになると思われる。デジタルスレッドは業界全体の新製品導入において重要な役割を果たす可能性が高い。

 

5. 防衛セグメントと民間セグメント:航空宇宙・防衛業界への資金投下によって、成長とイノベーションが促されている

航空宇宙・防衛業界では、今後1年間、防衛セグメントと民間セグメントの両方で資金投下が見込まれている。地政学的な緊張の高まりや将来必要となるケイパビリティの整備のために、防衛予算は増加すると考えられる。 また、民間セグメントにおける投資増加、旅客便の需要増加と新興市場の発展に起因していると考えられる。

防衛セグメント

世界の防衛セグメントの見通しは引き続き堅調であり、2022年の防衛費は2兆2,400億米ドルを超えた(本記事執筆時点の最新データ)36。世界各地の地政学的事象によって、防衛予算の増加が後押しされてきたが、今後もこの状況は続くと思われる。米国防総省は、2024年度に8,420億米ドルの予算を要求しており、2023年度(執行額ベース)と比較すると、3.2%の増加に相当する。この2024年度の予算では、イノベーションを促進し、他国の潜在的敵対勢力に対抗することを優先している37

2024年は、防衛予算増額に伴って、防衛装備品・システムへの民間技術導入及び防衛関連の新技術・産業への民間資本投下が促進され、イノベーション及びデジタルインフラが拡大していくだろう。米国防総省は、2024年度に、AIアプリケーションに約18億米ドル(2023年度比で63.6%増)、先端技術に約93億米ドル、統合防衛のための先端技術の実験と評価に約6億9,000万米ドルを要求している38

技術関連予算の大部分は、能力向上と即応性改善に集中すると予想されている。そのため、米国は、次世代の航空機・地上車両・艦艇の調達と、要求を満たすための既存装備の近代化に投資を集中させている39。さらに、米国防総省は、産業基盤を安定性させ、将来の需要に対応するため、防衛サプライチェーンの抗たん性にも投資する。これに加えて、将来戦において米国が戦略的優位を維持するために有用な技術として、AIの導入と重点活用を進めている40。米国防総省はまた、マイクロエレクトロニクス、次世代推進システム、量子技術、先端情報処理技術など、複数の重点技術にも投資している41

世界的な技術進歩に対応するため、米国防総省は様々な組織による開発に資金援助を行っている。米国防総省では、民間企業(特に中小企業や新興企業)や学界を巻き込んでイノベーションを促進し、新技術の獲得を促進するための様々な仕組みを確立してきた。このような仕組みの例として、Defense Innovation Unit(DIU)、Accelerating the Procurement and Fielding of Innovative Technologies(APFIT)、National Security Innovation Network(NSIN)、AFWERXが挙げられる42

米国の宇宙領域への投資は、宇宙関連のケイパビリティへの需要に合わせて増加してきている。米国のSpace Foundationによると、2022年における世界の宇宙計画に係る政府支出総額は8%増加し、約60%を米国が占めていた43。米国宇宙軍(United States Space Force:以下「USSF」)は、2024年度に301億米ドルの予算を要求しており44、これは、2023年度(執行額ベース)比15%増となる。USSFは、最新の人材管理プロセスを活用し、サイバーセキュリティを重視しながら、抗たん性と即応性、戦闘における信頼性を兼ね備えた宇宙軍の構築に重点を置いている。この目的のために、USSFは、総予算の約60%を、開発・試験・評価(Research, Development, Test, and Evaluation、RDT&E)に割り当てている45。さらに、NASAは、国際宇宙ステーション(International Space Station)の継続的な研究と、科学的・経済的機会を創出するための宇宙探査に重点を置き、2023年度から7%増となる271億米ドルの予算を2024年度に要求した46

防衛予算の増額にも関わらず、インフレ率上昇による懸念が各国国防機関で生じている可能性がある。実質的な防衛予算の増加はそれほど大きくはなく、前年比で3.18%増と、現在のインフレ率6%を大幅に下回っている47。また、GDPに占める米国の防衛予算割合は年々低下しており、現在は3.1%に留まっている。この割合はさらに減少し、2033年には2.8%になると予想されている48。インフレの進行によって、新たな任務を開始する際の柔軟性が損なわれる、または必要不可欠な活動を優先するために予算の再分配が必要となる可能性があるため、このような状況は、計画された活動を米国防総省が実行する上での将来的な課題に繋がる可能性がある。とはいえ、2024年においても、航空宇宙・防衛企業は、最先端の防衛装備や先端技術の研究開発に対する国防総省の関心の高まりに乗じることが可能である。

民間セグメント

国際線及び国内線の旅客キロ(Revenue Passenger Kilometers、各有償旅客が搭乗し、飛行した距離の合計。有償旅客数×輸送距離(キロ))は、2024年には新型コロナウイルス感染症流行前の水準に回復すると予想されており、それに伴って航空機の新規発注需要も増加する可能性がある。加えて、新興市場からの空飛ぶクルマや宇宙分野参入も予想されるため、商業的投資はさらに増加すると見込まれる。これにより、航空宇宙・防衛企業は持続可能な成長を実現するとともに新たなビジネスチャンスを形成する戦略・能力を得られる可能性がある。なお、このような商業的投資は、企業のデジタル化、新製品開発、さらに広く見れば空飛ぶクルマや宇宙といった将来を見据えたセクターに対して、重点的に実施されるだろう。

空飛ぶクルマ領域では、本格的な製造・運用能力を確立するために、2024年も継続的に投資を実施する態勢が整えられている。空飛ぶクルマメーカーは型式証明の取得に向けて取り組んでおり、2025年には商業化が始まると予想されている。 将来の空飛ぶクルマ需要を満たすためには、より多くの設備投資が必要になると思われる。具体的には、運航支援に向けたバーティポート(空飛ぶクルマ専用の離着陸場)の新設、利用率の低い空港の近代化、MRO用施設の設置、充電・バッテリー関連インフラの拡大、パイロット訓練施設の設置、及び一般市民に対する認知度向上と社会需要性向上への投資が実施されるものと見込まれる。空飛ぶクルマメーカーには、商業化に向けた事業拡大を推し進める一方で、慎重な業績管理も求められていくという、興味深い道のりが待ち構えている。

 

民間宇宙業界は、2023年に資金調達における力学の変化を目の当たりにした。2022年よりもペースが落ちたとはいえ、2023年の政府投資は宇宙業界の成長に寄与したが、民間投資は顕著に減少した49。2024年には、宇宙業界内の再編が進むと予想される。民間の投資家は、宇宙関連企業における特別目的買収会社(Special Purpose Acquisition Companies、SPACs)の収益目標が達成されていないことに対して懸念を抱いていると思われる50。そのため、宇宙産業は成長すると期待されているものの、これまでのような投資と成長には届かないものと予想されており、より保守的な成長曲線を描くと思われる。

 

将来:テクノロジーとイノベーションが航空宇宙・防衛業界の成長を牽引する

2024年の航空宇宙・防衛業界は、地政学的な課題をはじめ、イノベーションによる新たな需要、技術革新に至るまで、様々な要因によって形成されていくと考えられる。航空宇宙・防衛業界がこの不透明な情勢を乗り切るには、変化に素早く対応する力を持って、技術進歩を享受していく必要がある。航空宇宙・防衛業界の特徴としてよく挙げられる長い製品開発サイクルと複雑なサプライチェーンには、絶え間ないイノベーション、技術の結集、及び継続的な改善が求められる。このような活動を上手く活用できる航空宇宙・防衛企業が、進化し続けるグローバル環境で成功を収めることができるだろう。

新製品の開発において、市場投入までのスピードは依然として大きな課題である。素早い試作品製作、認証取得、商業化までの流れを迅速に行うことが非常に重要になってくる。従って、航空宇宙・防衛企業は、デジタルスレッドのような技術を駆使してバリューチェーンの各フェーズを繋ぎ、より短い時間で成果を出せるような製品開発態勢を構築することを検討すべきである。

最後に、防衛・民間セグメント双方の需要増加によって、2024年には航空宇宙・防衛企業の収益源が強化される可能性がある。業界の潜在的な成長機会を活かすために、航空宇宙・防衛企業は以下のような領域で戦略的に立ち位置を検討すべきと考えられる。

  • 顧客の要求:航空宇宙・防衛企業は、高品質の製品とサービスを提供するという基準を維持しつつ、進化する顧客ニーズに応えるために、より幅広い領域で機敏かつ革新的であり続ける必要がある。
  • 技術の進歩:航空宇宙・防衛のトップ企業は、競争力の維持、業務プロセスと運用プロセスの強化、及び優秀な人材の確保のために、技術進歩の最前線に留まろうと努める。
  • サイバーレジリエンス: デジタル化が進むにつれて航空宇宙・防衛業界内での相互接続がより緊密になるため、サイバー攻撃のリスクは増大していくだろう。従って、安全なデジタルの未来を築くためには、強固なセキュリティ文化の確立とサイバーレジリエンス対策への投資が不可欠であることは明白である。

 

発行人

鈴木 淳
執行役員
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

谷本 浩隆
ディレクター
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

鹿渡 俊介
シニアマネジャー
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

高橋 祐児
シニアマネジャー
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

氷室 尚紀
マネジャー
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

土屋 健太郎
シニアコンサルタント
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

酒井 宏希
シニアコンサルタント
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

本稿は、デロイト ネットワークが発行した原著をデロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆し、2024年5月に発行したものである。和訳版と原著「2024 aerospace and defense industry outlook」の原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先する。

 

執筆者

Lindsey Berckman
Deloitte Global, United States

Kate Hardin
Deloitte Global, United States

Matt Sloane
Deloitte Global, United States

Tarun Dronamraju
Deloitte Global, India

 

巻末脚注

  1. International Air Travel Association, Air Passenger Market Analysis - August 2023, October 4, 2023.
  2. US Department of Defense, Defense budget overview: Fiscal year 2024 budget request, March 2023.
  3. Aerospace Industries Association (AIA), “AIA releases 2023 facts & figures data highlighting A&D industry’s return to prepandemic levels,” press release, September 13, 2023.
  4. ST Engineering, Annual report 2022, March 2023, p. 33.
  5. National Association of Manufacturers, 2023 third quarter manufacturers’ outlook survey, September 13, 2023.
  6. Deloitte, “Deloitte and the Manufacturing Institute: Big gains in perceptions of US manufacturing as innovative, critical and high tech,” press release, March 30, 2022.
  7. AIA, “AIA releases 2023 facts & figures data highlighting A&D industry’s return to prepandemic levels.”
  8. Tiffany Mawhinney and Kimberly Betts, “Understanding Generation Z in the workplace: New employee engagement tactics for changing demographics,” Deloitte, accessed November 9, 2023.
  9. U.S. Bureau of Labor Statistics, “Job openings and labor turnover survey,” news release, November 1, 2023.
  10. 労働統計局(Bureau of Labor Statistics)のデータをDeloitteが分析。
  11. National Association of Manufacturers, NAM manufacturers’ outlook survey: Second quarter 2023, June 7, 2023.
  12. Eric Fanning, “Moving upwards and onwards: The workforce and innovation needs of the aviation and aerospace industry,” AIA written testimony, May 12, 2022.
  13. Elise Villeneuve and Leslie Guerin, “Where could Aerospace & Defense companies focus to better mitigate cybersecurity threats?” Deloitte, 2023.
  14. Mercury Systems, 2022 Annual report: The processing power behind the most critical A&D missions, 2023.
  15. PMIレポートをDeloitteが分析。
  16. U.S. Geological Survey, “Gallium Deposits in the United States,” February 23, 2021.
  17. AIA, “Securing the U.S. aerospace and defense critical minerals supply chain,” June 14, 2023.
  18. U.S. Department of the Interior and U.S. Geological Survey, Mineral commodity summaries 2022, January 31, 2022.
  19. Economist, “China controls the supply of crucial war minerals,” July 13, 2023.
  20. Cambrie Eckert, “U.S. can’t dig itself out of critical minerals hole,” National Defense, July 26, 2023.
  21. Paul Wellener, Kate Hardin, Stephen Gold, and Stephen Laaper, Meeting the challenge of supply chain disruption, Deloitte Insights, September 21, 2022.
  22. システム要件、設計、分析、検証、及び妥当性確認活動を支援するために、概念設計の段階から始まり、開発、及びそれ以降のライフサイクルの段階に至るまで継続する、モデリングを形式化したアプリケーション。参照: National Institute of Standards and Technology, Risk management frameworks for information systems and organizations, December 2018.
  23. 物理的環境と相互作用する(または物理的環境と相互作用するデバイスを管理する)プログラム可能なシステムまたはデバイス。参照:National Institute of Standards and Technology, Risk management frameworks for information systems and organizations.
  24. データ処理及びデータ配布のためのコンピュータシステム、ソフトウェア、ネットワークの開発、保守、及び利用を含む技術。参照:Merriam Webster, “Information technology,” accessed November 9, 2023.
  25. Deloitte AI Institute, The generative AI dossier, Deloitte, 2023.
  26. Deloitte AI Institute, The AI dossier—expanded, Deloitte, 2022.
  27. United Nations, “For a livable climate: Net-zero commitments must be backed by credible action,” accessed October 31, 2023.
  28. Aviation Week, “RTX among investors in electric propulsion startup H55,” September 21, 2023.
  29. 次世代モビリティシステムとしての空飛ぶクルマ企業及び民間航空会社の公開プレスリリースをDeloitteが分析。
  30. Archer Aviation, “Archer closes incentive transaction; begins construction on first of its kind high-volume , EVTOL manufacturing facility In Covington, GA,” press release, March 7, 2023.
  31. International Air Transport Association, “SAF production set for growth but needs policy support to diversify sources,” press release, June 6, 2023.
  32. Defense News, “Adaptive engine work feeds sixth-gen fighter design, says US Air Force,” press release, August 1, 2023.
  33. NASA, “QUESST,” accessed November 7, 2023.
  34. Boom Supersonic, “United becomes first U.S. airline to sign aircraft purchase agreement with Boom Supersonic,” press release, accessed November 7, 2023.
  35. NASA, FY24 budget estimates, March 2023.
  36. Stockholm International Peace Research Institute (SIPRI), “World military expenditure reaches new record high as European spending surges,” press release, April 24, 2023.
  37. US Department of Defense, FY24 budget request, March 2023.
  38. US Department of Defense, FY24 budget request, March 2023.
  39. US Department of Defense, “Department of Defense releases the President’s fiscal year 2024 defense budget,” news release, March 13, 2023.
  40. US Department of Defense, FY24 budget request, March 2023.
  41. Office of the Secretary of Defense, Department of Defense fiscal year (FY) 2024 budget estimates,” March 2023.
  42. 公開されている米国防総省のプレスリリースや記事をDeloitteが分析。
  43. Loren Grush, Tyler Kendall, and Bloomberg, “The commercial space industry, led by Elon Musk’s SpaceX, is expected to blast off with 41% growth over the next 5 years, Fortune, July 25, 2023.
  44. Office of the Secretary of Defense, Department of Defense fiscal year (FY) 2024 budget estimates.
  45. C. Todd Lopez, “Space Force focuses on partnerships, spirit, combat readiness,” US Department of Defense, news release, March 15, 2023.
  46. NASA, FY24 Budget estimates.
  47. Peter Felstead, “US DoD’s FY24 defense budget request marks 3.2% increase over FY23,” European Security & Defence, March 17, 2023.
  48. Congressional Budget Office, “The Budget and Economic Outlook: 2023 to 2033,” February 2023.
  49. 公開されている各種情報源をDeloitteが分析。
  50. Jason Rainbow, “How wrong were space SPAC projections?,” SpaceNews, October 6, 2023.

 

謝辞

John Coykendall、Doug Paley、Alan Faver、Alan Brady、Ajay Chavali、Marisa Winter、 Steven Shepley、Adam Routh、Heather Ashton Manolian、Patricia Henderson、Lisa Iliff、Samuel Freeman、Julia Tavlas、Danny Bachmanの各氏から専門的な意見とレビューを頂けたことに感謝を申し上げる。

また、本レポートに関連するリソースを取りまとめたClayton Wilkerson、マーケティング戦略と関連資産を活用してストーリーに命を吹き込んだKimberly PraudaとNeelu Rajput、広報活動を指揮したAlyssa Weir、 そして本レポートの出版をサポートしたDeloitte Insights チームのPubali DeyとRithu Thomasの各氏にも、その支援に感謝したい。

表紙画像:Rahul B

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