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DACH地域の産業機械製造業における成長の原動力
2030年に向けた4つの未来シナリオ
誰も未来を予測することはできない。しかし、シナリオプランニングは、未来に起こりうる展開を理解し、計画し、比較することを可能にし、最終的には私たちが(潜在的に)直面するすべての課題を包含する「未来領域」を作り出す。本稿では、デロイトドイツによって2021年に実施された研究結果に基づいてDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)の産業機械製造業に対する2030年に向けた4つの未来シナリオを示す。
日本語版発行に寄せて
不確実性の時代と言われている。気候変動に代表される社会課題への対応、人財確保、地政学的緊張の高まり、デジタル技術の急速な拡大の一方でサイバー攻撃の割合が増すなど、企業を取り巻く環境や課題は、複雑性を増していることは間違いない。しかし、これらは、いつどのように起こるかの 「予測」は難しいが、世界を取り巻く大きな潮流(メガトレンド) の中で、可能性が「予想」できることでもある。
ドイツ、オーストリア、スイスで構成されるDACH地域 (Deutschland<ドイツのドイツ語表記>、Austria、 Confoederatio Helvetica<スイス連邦のラテン語表記>)では、日本と同じく、長い歴史を持ち高品質を強みとする産業機械製造業が多数存在している。欧州連合(EU)統合、インダストリー4.0、気候変動対応など、欧州地域が発信源となる社会変革の波の中で、欧米のデジタル系メガプレイヤー、中国等の新興国勢との連携なども活用して、それらの社会的要求にしなやかに対応して独自の存在感を発揮し、収益性・成長性を維持するポジションを築いている。
その要因の1つが、本稿でご紹介している、いわゆるシナリオプランニングにあると考えている。長期的な潮流と足元の事業環境の両方から描かれる複数の成長シナリオを想定してそれに対する構えを持ち、様々起こりうるイベントに対して、変えるべきところ、守るべきポイントを見定めながら対応していくマネジメントである。
現在、多くの日本製造業の皆様が、2030年、更にその先を見据えた経営・事業ビジョンや計画策定に取り組まれている。それを確実に成就させ、継続的な成長軌道に乗せていくための1つの視点として、同じような特性を持つDACH地域の機械製造業の考え方が、皆様への一助となれば幸いである。
芳賀 圭吾/Keigo Haga
デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター
20年以上にわたって、重工業、産業機械、建機/農機製造業向けコンサルティングに従事。事業戦略、ビジネスモデル策定から、設計開発・営業・サプライチェーン・サービスに至るまでのオペレーション変革まで幅広く支援。近年はデジタルを活用した事業構造変革に注力。The Smart Factory @ Tokyo推進のリードも務める。
※本ページの情報は2023年1月10日時点のものです。
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