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不動産キャップレート
ビジネスキーワード:ファイナンシャル アドバイザリー
ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「不動産キャップレート」について概説します。
1.キャップレートとは
不動産業界においてよく使われるキャップレートとは、Capitalization Rateを略したものであり、還元利回りとも呼ばれている。
不動産鑑定評価基準によれば、「還元利回りは、直接還元法の収益価格およびDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から対象不動産の価格を求める際に使用される率であり、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである」とされている。
キャップレート(還元利回り)は不動産から生み出される純収益から不動産価格を求める際に用いられる利回りであり、「純収益÷キャップレート=不動産価格」として表される。
例)年間1億円の純利益が見込まれる不動産でキャップレートが5パーセントとすると、その不動産の評価額は、1億円÷0.05=20億円となる。
キャップレートは主にエリア別、アセットタイプ別にその水準が異なるものであり、一般的にはエリアでいえば東京が最も低く、アセットタイプでいえば比較的キャッシュフローが安定的なオフィス、商業施設、住宅等が低くなっている。
2.キャップレートの推移
一般財団法人日本不動産研究所が半年に一度実施している「不動産投資家調査」によれば、J-REITが創設された2001年以降いわゆる不動産ファンドバブルのピークとなった2007年まで全てのアセットタイプにおいて一貫して下落傾向にあった。その原因としてはさまざまな理由が考えれられるが、キャップレートを「リスクフリーレート+不動産のリスクプレミアム」と捕らえると、当時は賃料の上昇期待が高まった、または収益還元法の定着・不動産関連情報の整備によりマーケットの透明性が高まった等により、不動産マーケットに多額の資金が流入してリスクプレミアムの低下に繋がり、キャップレートが低下したものと思われる。
しかしながら、2007年の不動産ファンドバブルの崩壊、2008年のリーマンショック以降は急速に不動産マーケットへの資金流入は冷え込みキャップレートの上昇に繋がった。
2011年以降は不動産マーケットの底打ち感からキャップレートは横ばいから微減傾向にあるが、今後は日銀のJ-REITの買入れが発表される等、不動産マーケットに資金が流入する傾向にあり、再びキャップレートが低下する可能性はあると思われる。