洞察

コントロールプレミアム

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「コントロールプレミアム」について概説します。

コントロールプレミアムとは

企業(株式)価値は一物多価

 近年はM&Aの実務においてDCF法(ディスカウンテッドキャッシュフロー法)や倍率法といった手法を用いた企業価値評価は定着してきていますが、その一方で、企業価値評価の基本的な概念はいまだによく理解されていないのが現状です。

企業価値評価の最も重要な原則の1つに「一物多価」があります。すなわち、評価の主体(買収者)が買収後にどのように運営するかにより利潤獲得の方法(転売による差益獲得、長期保有による事業投資、等)が異なるため、企業価値は評価主体によって異なります。従って、評価者によって企業価値は様々なのですが、未だに企業価値は専門家に依頼すれば算出できる、といった誤解も多く残っています。

コントロールプレミアムとは

少数株主は、配当を受取るか市場での株式売却によって利益の獲得が可能です。これに加えて、支配権を持つ株主は、取締役の選解任等を通じて会社をコントロールすることが可能であり、事業運営方針の決定や配当政策等を通じて全社ベースのキャッシュフローのコントロールすることにより投資の目的を達成することが可能です。従って、少数株主よりも高く会社を評価することが可能であり、この評価差額は会社に対するコントロール(支配権)の有無から生じていることから、コントロールプレミアムと呼ばれています。

コントロールプレミアムの測定方法

コントロールプレミアムは、市場株価をベースにした少数株主にとっての価値を表す倍率法での評価と支配株主にとっての価値を表す会社全体から得られる将来のキャッシュフローの現在価値との差額がコントロールプレミアムとなります。

図表1:コントロールプレミアムの測定方法

M&Aと買収プレミアム/コントロールプレミアム

企業(株式)価値と取引価格

上述したように企業(株式)価値は一物多価ですが、実際の取引価格そのものは「需要と供給」の関係から定まります。例えば、買収したい会社の企業価値を10億円と評価した場合において、12億円の提示をしている会社があれば、12億円以上の取引価格を提示しなければ買収することができません。単純ですが、取引価格は各社の主観的な企業価値をベースに需要と供給で定まるため、競争入札により本来の価値よりも大幅に高い価格で取引がなされることもめずらしくありません。

買収プレミアムとは

 買収の結果、買収価格が市場株価を上回る部分を買収プレミアムと呼びます。「買収プレミアム」=「コントロールプレミアム」という誤解も多いのですが、買収プレミアムは交渉の結果定まる買収価格と市場価格の差額であり、そこには様々な要素が含まれています。

 例えば、買収によるシナジー創出が期待できるストラテジックバイヤーであれば、支配権獲得に加えてシナジーが期待できるため、コントロールプレミアムより大きな買収プレミアムとなるケースもあります。また、競争相手がいなければ想定されるコントロールプレミアムよりも小さな買収プレミアムとなることもありえます。

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