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MBO (マネジメントバイアウト)

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「MBO (マネジメントバイアウト)」について概説します。

1. MBOとは

MBO(Management Buyout、以下MBO)とは、経営陣自ら会社の株式・事業などをその所有者から買収することである。なお、経営陣ではなく従業員が株式を譲り受けるような場合をEBO(Employee Buyout)、経営陣と従業員が共同で株式を譲り受ける場合をMEBO(Management and Employee Buyout)という。

経営陣が所有する資金は限られている場合が多いため、とりわけ小規模な会社が対象となる場合を除いては、外部の投資ファンドや金融機関等からの資金調達によりMBO資金を調達するケースが多い。
MBOを行う主な目的は、(1)ノンコア事業を独立させ新たな資本のもとで、経営陣に自由裁量を拡大させた経営を行うこと、(2)オーナー企業において経営陣に事業承継し、後継者問題を解決するとともに経営能力を有する人物による経営を確保すること、(3)上場企業を非公開化することなどが挙げられる。

近年では前述の(3)上場企業の非公開化を目的としたMBOの件数が増加しており、上場企業のMBO件数は、直近の2011年度の2ヵ月間で6件と過去最高のペースとなっている(図表1、2を参照のこと)。

図表1:上場企業のMBO案件数

図表2:主なMBO案件(*1)

上場企業がMBOにより非公開化するメリット

上場企業がMBOにより非公開化するメリットとして、まず経営陣自身が大株主となることにより、株式市場の短期的評価にとらわれず、経営陣の自由な意思に基づき長期的な視点からの企業経営が可能になることが挙げられる。また、2008年3月期から開始された内部統制報告制度及び四半期報告制度をはじめとした企業が上場していることにより生じるコストの増大を回避することや2000年代中盤以降に散見された敵対的買収によるリスクを予め回避する目的がその背景にあるといわれている。

2. 上場会社がMBOを行う際の留意点

MBOでは、その取引において自社の経営陣が株式の買い手となることから、取引価格に関して必然的に利益相反が生じることとなり、また、株主と経営陣の情報の非対称性が存在することから、株主の適切な判断機会、意思決定における恣意性の排除、価格の適正性を担保する客観的情報などを確保するための手続が必要となる。この点については、金融商品取引法及び上場規制の公開買付に関連した規制や経産省による「企業価値の向上および公正な手続き確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」など、利益相反を防止するための手続が公表されているものの、現実には株式の買取価格をめぐる少数株主等との訴訟が生じている事案も散見される。

次に、MBO成立後の企業経営に関する留意点であるが、MBOにより非公開化した場合には、従来上場していたことにより享受していた利益が得られなくなる可能性がある点にも留意する必要がある。これには、株式市場による不特定多数の株主からの資金調達ができなくなることはもちろんのことであるが、場合によっては、「上場企業」であることを取引条件・入札条件としている場合があり、これらに影響を与える可能性がある点にも留意する必要がある。また、MBOの実施に際して、MBO資金を外部の投資ファンドや金融機関から資金調達を行った場合には、将来的に当該資金の返済負担が生じることにより、企業経営に与える影響についても考慮する必要がある。
 

図表3:MBOの一般的なスキーム

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