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RevPAR(Revenue Per Available Room)

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「RevPAR(Revenue Per Available Room)」について概説します。

1. RevPARとは

RevPARとは、一日あたり販売可能客室数あたり客室売上をいう。販売可能客室1室あたりの売上を表す値であり、客室売上を販売可能客室数で除した値で、OCC(客室稼働率)をADR(平均客室単価)で乗じた値と等しくなる。

OCC(客室稼働率)とは、客室の使用状態を表す指標であり、実際に販売した客室数を販売可能客室数で除して算出する。例えば、100室あるホテルで75室の利用があれば、OCC(客室稼働率)は75%となる。

ADR(平均客室単価)とは、客室1室あたりの販売単価であり、客室売上を販売客室数で除した値である。例えば、全客室の売上が150万円で利用された客室数が75室であれば、ADR(平均客室単価)は2万円となる。

OCC(客室稼働率)が75%でADR(平均客室単価)が2万円であれば、RevPARは1万5千円となる。

1RevPARは、利用がなかった客室の損失分も含めたホテルが所有する全客室1室あたりの売上高が分かる値であり、宿泊部門の収益性を示す指標として他のホテルとの比較も容易となる指標である。
 

2. RevPARの最大化

従来ホテル業界では、OCC(客室稼働率)とADR(平均客室単価)が判断指標として用いられてきた。
一般的に、OCC(客室稼働率)を重視すると、ADR(平均客室単価)が下がり、利用客室数が増加しても売上が伸びないということが起きる。また、ADR(平均客室単価)を重視すると、OCC(客室稼働率)の伸びが鈍化するということが起きる。

OCC(客室稼働率)とADR(平均客室単価)がどちらも高いレベルにあることが理想ではあるが、両者はトレードオフの関係にある。

そこで、OCC(客室稼働率)を見ながらADR(平均客室単価)を見ることができる指標として、RevPARが用いられるようになった。

通常、不景気等になると単価の高い客室の宿泊数は減り、売上が減少する。そこで、客室の単価を引き下げてOCC(客室稼働率)を上昇させ売上の増加を図ることになるが、単価の低い客室の宿泊数が増加するため、ADR(平均客室単価)は下落することになる。OCC(客室稼働率)が改善された場合には、客室の単価を引き上げることにより、RevPARを最大化していく。

また、OCC(客室稼働率)が高い場合であっても、単価の高い客室の宿泊数の比重が低い場合には、利用客室数が増加しても売上が伸びないため、ADR(平均客室単価)は改善されない。この場合には、客室の単価を引き上げることにより、RevPARを最大化していく。

このように、景気の状況などに応じて、OCC(客室稼働率)とADR(平均客室単価)を調整しRevPARを最大化させることにより、効率的なホテル経営が可能となる。 

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