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調査レポート
COVID-19関連研究動向の国際比較
データサイエンスアプローチによる現状課題の把握とアフターコロナにおける重要領域の探索
全世界でCOVID-19の感染抑制のための研究が進められ、多岐にわたる論文が発表されている。膨大な研究内容を横断的に俯瞰して動向を把握するには、データサイエンスの手法を用いたマクロ分析が有効である。デロイト トーマツ グループでは、データサイエンスの手法を用いてこれらの論文を分析し、国・地域ごとの違いをわかりやすく可視化することで、それぞれの注力領域や重要な研究領域の概観を把握し、加えて諸外国と比較した際の日本の課題の考察を試みた。
目次
- 大量の論文情報をデータサイエンス手法で解析することでCOVID-19関連研究の概観を可視化し、日本の現状や課題を考察する
- ワクチン接種の増加とともに、世界のCOVID-19症例数、死者数の増加は抑えられているが、国・地域ごとに状況は大きく異なる
- プロフェッショナル
大量の論文情報をデータサイエンス手法で解析することでCOVID-19関連研究の概観を可視化し、日本の現状や課題を考察する
2019年後半から始まったCOVID-19の感染拡大は、2021年5月26日の分析時点において、全世界で、1億人を超える感染者と3百万人以上の死者を出し、なおその数は増えている。感染封じ込めのためのロックダウンや検疫、コンタクトトレーシング(接触確認)による感染者把握、新規のワクチン開発などの取り組みは、国や地域に応じて異なり、全世界で発表される研究論文は、各国の取り組みの違いを強く反映しているものと思料される。しかしながら膨大なデータや数万本の研究論文を1つ1つ把握、理解することは人間の能力では限界がある。国や組織による意思決定をエビデンスに基づいて行うには、全体を俯瞰し自国の特徴や他国との差異を理解する必要がある。そこで、本稿では、全世界的な出来事であるCOVID-19への対応をデータサイエンスの手法を用いて分析を行い、国・地域ごとの違いをわかりやすく可視化することで、それぞれの注力領域や重要な研究領域の概観を把握し、加えて諸外国と比較した時の日本の課題の考察を試みた。
ワクチン接種の増加とともに、世界のCOVID-19症例数、死者数の増加は抑えられているが、国・地域ごとに状況は大きく異なる
5月26日現在、COVID-19の症例数は全世界で累計1億6千万件、死者数は300万人を超え、なお増加を続けている。一方で、米国や英国の企業を中心に開発されたワクチンが承認され、2021年からワクチン接種数は急激に増加し、8億近くまで及んでいる。ワクチン接種数の増加ペースは症例数の増加ペースを大幅に上回り、このままワクチン接種が順調に進めば、COVID-19の感染拡大は収束の方向に向かうと思われる。しかしながら、国や地域ごとに症例数の推移やワクチンの接種状況は大きく異なり、陽性率0%を達成しているオーストラリアのような国もあれば、変異株による感染爆発が起きているインドのような国もある。
日本では、人口当たりの症例数、死者数ともに先進国31か国の中でそれぞれ4位、5位であり、諸外国と比較して少ない。一方で、ワクチン接種数も少なく、人口当たりの累計ワクチン接種数は、先進国31か国中最下位である。また、陽性率はデータが取得可能な26か国中3番目に高く、検査対象者の違いはあるものの、終息までの道のりはまだ長い。膠着状態を長く続けるのではなく、経済活動再開に向けて積極的なアクションをとっていく必要がある。
詳細は「COVID-19関連研究動向の国際比較(PDF)」を参照ください。