調査レポート

特別養護老人ホームの在り方に関する調査研究事業 調査研究報告

令和6年度  老人保健事業推進費等補助金  老人保健健康増進等事業

本調査研究では、全国の特別養護老人ホーム(地域密着型を含む。)の入所申込者の状況、施設の空床状況、施設の転用等事例を把握するため、都道府県・市区町村・施設を対象にアンケート調査を実施し、実態把握を行った。また、ヒアリング調査では、特別養護老人ホームの多様な空床対策への取組の中で、特に施設の機能転換や規模縮小により地域の実情に応じた適切な運用を実現する事例についてその詳細を把握した。

調査からの示唆

本調査の結果、空床発生状況は地域や施設タイプにより異なり、平均稼働率は90.9%であることが確認された。今後の人口減少や介護職員不足がさらに深刻化することが予測される中、更なる地域の実情に応じた対策が求められる。

調査目的

全国の特別養護老人ホーム(地域密着型を含む。)の入所申込者の状況、施設の空床状況、施設の転用等について、実態を明らかにするとともに、特別養護老人ホームの多様な空床対策への取組の中で、特に施設の機能転換や規模縮小により地域の実情に応じた適切な運用を実現する事例について調査を実施した。

調査研究の概要

本調査は下記3つの事項を経て、全国の特別養護老人ホームの入所申込者の状況、空床状況、施設の転用等の実態を明らかにした。

■アンケート調査

都道府県・市区町村・施設に対してアンケート調査を実施し、介護保険サービスの基盤整備状況や特別養護老人ホームの入所申込登録者の状況、空床発生状況等を整理した。具体的には、都道府県・市区町村では基盤整備や入所申込者、空床の実態を、施設では入所申込者や運営状況、空床発生の実態を調査した。

■ヒアリング調査

 ヒアリング調査では、特別養護老人ホームの多様な空床対策への取組の中で、特に施設の機能転換や規模縮小により地域の実情に応じた適切な運用を実現する事例についてその詳細を把握した。

ヒアリングは、アンケート調査の結果や研究会での検討を踏まえ、自治体(広域連合)5件、及び施設5件に実施した。

■有識者会議

有識者会を開催し、アンケート調査及びヒアリング調査の調査設計・分析の考え方、調査結果から得られた示唆、今後調査が必要な内容について検討した。

調査結果・まとめ

特別養護老人ホームは、常時介護を必要とする高齢者に介護サービスを提供する重要な施設であるが、人口減少や介護職員の不足により空床発生が課題となっている。アンケート調査の結果、空床発生状況は地域や施設タイプにより異なり、平均稼働率は90.9%であることが確認された。今後、人口減少と介護職員不足がさらに深刻化することが予想される中、地域の実情に応じた対策が求められる。具体的には、自治体と施設が連携して外部・内部環境の調査を行い、地域での役割を再検討することが重要である。

また、介護人材の確保に向けた待遇改善や研修の充実、外国人人材の活用も必要である。さらに、供給量調整や施設の機能転換、規模縮小を検討し、地域ニーズに応じた介護サービスの提供を目指すことが求められる。特別養護老人ホームの在り方は、地域の特性と課題に応じて柔軟に対応することが重要であり、自治体と施設が連携して効率的な運営とサービス提供を実現することが期待される。

お問い合わせ先

有限責任監査法人トーマツ

リスクアドバイザリー事業本部  ヘルスケア

※上記の部署・内容は、掲載日時点のものとなります。2025/04

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