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ギャンブル等依存症対策基本法の概要と関係者の負うべき責務

IR誘致を検討する地方自治体やIR事業への参入を検討している事業者が留意すべき事項

ギャンブル等依存症対策基本法が2018年7月に成立・公布されました。本法は、国、地方自治体等の責務を明らかにするとともに、ギャンブル等依存症対策の基本事項等を定めることにより、安心・健全な社会の実現を目指して2018年10月5日から施行されています。本稿では、ギャンブル等依存症対策基本法の概要とIRの誘致を検討している地方自治体やIR事業への参入を検討している事業者が留意すべき事項について解説します。

ギャンブル等依存対策基本法は広範なギャンブル等への依存防止を対象としている

ギャンブル等依存対策基本法において、ギャンブル等依存症とは、「ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」と定義されています。

競馬や競輪などの公営競技に加え、これまでいわゆる「遊技」であり、ギャンブルでないと扱われてきたパチンコ・パチスロもギャンブル等の「等」の中に含まれる位置づけ、依存防止対策の対象であることが明確になりました。また、将来において、IRが開業した場合にはカジノ行為も依存防止の対象となると想定されます。

政府にはギャンブル等依存症対策推進基本計画の策定が、地方自治体には基本的施策の実行が義務づけられている

ギャンブル等依存症対策基本法は、①ギャンブル等依存症の各段階に応じた防止・回復のための対策を適切に講ずるとともに、本人・家族が日常生活・社会生活を円滑に営むことができるように支援すること ②多重債務・貧困・虐待・自殺・犯罪等の問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮を施すことを基本理念とし、国と地方自治体にギャンブル等依存症対策を推進するための基本的施策の実施を義務づけています。

ギャンブル等依存症対策基本法における主な内容は以下の表のとおりです。
 

<ギャンブル等依存症対策基本法の概要>

項目

内容

目的

国、地方自治体等の責務を明らかにするとともに、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の健全な生活の確保を図るとともに、国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与


ギャンブル等依存症対策を総合的に策定、実施

地方自治体

国との連携を図り、その地域の状況に応じた施策を策定、実施

事業関係者

国及び地方自治体が実施する対策に協力し、事業活動を行うに当たり、ギャンブル等依存症の予防等に配慮

ギャンブル等依存症
問題啓発週間

5月14日~5月20日

基本計画等

政府にギャンブル等依存症対策推進基本計画の策定義務があり、少なくとも3年ごとに見直しを検討

基本的施策例

教育の振興等、ギャンブル等依存症の予防等に資する事業の実施、医療提供体制の整備、相談支援、社会復帰の支援など

政府の推進体制

内閣官房長官を本部長とするギャンブル等依存症対策推進本部を設置、推進本部に「ギャンブル等依存症対策推進関係者会議」を設置し、検討を推進

(出所)ギャンブル等依存症対策基本法に基づきデロイトトーマツにて作成

IRに関係する地方自治体や事業者は、ギャンブル等依存症防止のための責務を果たすことが求められる

  • 地方自治体
    ギャンブル等依存対策基本法に基づき、ギャンブル等依存症問題に関する教育機関の設置、依存症問題に関する知識普及のための啓蒙活動、依存症専門の医療機関の整備、ギャンブル等依存症者本人及び家族に対する相談窓口の設置や社会復帰の支援、依存症問題に十分な知見を有する人材の確保等を国や事業者と連携して推進することが必要になります。
    また、IR誘致を目指す地方自治体は、既存のギャンブル等に対する依存防止対策を推進するとともに、IR導入を機にカジノ行為への依存防止対策も対象となることを念頭に検討している施策の準備・実行を推進することが必要となります。
  • 事業者
    ギャンブル等依存対策基本法では、「ギャンブル等の実施に係る事業のうちギャンブル等依存症の発症、進行及び再発に影響を及ぼす事業を行う者は、国及び地方公共団体が実施するギャンブル等依存症対策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たって、ギャンブル等依存症の予防等に配慮するよう努めなければならない」と関係事業者に対する努力義務を課しています。
    IR導入を機に、IR事業者は関係事業者の範囲に含まれることになるため、ギャンブル等依存対策基本法にて求められる依存症対策とも調整を図りながら、IR整備法に基づくカジノ行為への依存防止の対策を着実に実行することが必要となります。

デロイトトーマツグループでは、以下のアドバイザリーサービスを提供します

IR誘致を検討する地方自治体、IR事業への参入を検討する企業は、ギャンブル等依存対策基本法およびIR整備法を念頭において、ギャンブル等依存症等の負の影響への対策の検討の準備が求められます。

カジノ行為への依存防止は、IR整備法に基づき民間事業者が行い地方自治体はIR事業者が適切にリスク対策を講じているか審査・評価することになります。IR事業者の公募・選定(通称、「RFP」)に向けて、IR事業者はRFPで地方自治体が求める事項に的確に回答するとともに、対策内容と整合した事業計画の策定が成功の鍵となります。デロイト トーマツ グループでは、RFC/RFP対応、事業計画策定にあたり以下のアドバイザリーサービスを提供します。

  • RFC/RFP対応支援
  • ギャンブル等依存症関連の規制対応策の検討支援
  • 対応策を踏まえた事業計画の精緻化・モデリング実施

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IR(統合型リゾート)ビジネスグループでは、Deloitteのグローバルネットワークを活用し、海外事例等を踏まえたIRビジネスに関連する幅広い調査・分析を行っています。


IR(統合型リゾート)ビジネスグループ

info-irbg@tohmatsu.co.jp

 

 

IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは

IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法案の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

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