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SEA地域統括機能に関する考察(ニューノーマル下において求められる地域統括機能とは)
APリスクアドバイザリー ニュースレター(2021年7月5日)
新型コロナウィルスの発生に伴い、日常生活含めて多大な影響が発生し、ワクチン接種が各国において開始されつつありますが、国によりその状況は異なります。特に東南アジア地域においては、マレーシアでは感染者急増に伴いロックダウンを余儀なくされ、ベトナムにおいても規制強化が図られています。また、比較的ウィルス対策を適切に行えてきたと捉えられていたシンガポールであっても、足元の感染者増加に伴い、新規入国規制、外食禁止といった規制強化をせざるを得ない状況にあります。
一般的に、東南アジア地域として一括りで語られることが多い地域ではありますが、各国事情に差異があることに加え、依然として域内の移動制限が厳しく今後もそのような状況が継続する可能性が高いこともあり、必然的にリモート環境下において「どのようにガバナンスを利かせていくのか」、ひいては、「地域統括機能の在り方はどうあるべきなのか」、という議論が改めて再燃しつつあると言えます。
東南アジア地域では、日系企業が地域統括を設置/保有するケースも少なくありません。その役割には、域内に対し経営支援機能を提供すると共に、グループ全体の効率化・コスト削減、営業面での連携強化などが挙げられており、特にシンガポールに地域統括を配置する企業においては、周辺国へのアクセスの容易さや各種情報収集の容易さがあると考えられています。しかし、昨今のCOVID-19発生に伴い、統括会社のメリットが曖昧化もしくは従来から曖昧だった実態が表面化し、その存在意義を再検討する日系企業は増加傾向にあると言えます。
地域統括機能の在り方を検討していく上で、目的を明確化すると共に、ガバナンス方針を策定し、当該方針に基づいた役割分担・権限設定を行い、インフラ整備を図っていくことは、以前「中国地域統括機能に関する考察」にて紹介した通り、非常に重要な検討要素と考えられます。
もう一段レベルを落として言えば、どのような機能を統括会社で保有集約する意義があるのか検討する必要があります。大半の日系企業において、ケーパビリティやリソースが限定的な状況の中で、改めて市場獲得及び地域固有リスクの最適な管理を求められる地域統括機能にとり、戦略機能/事業管理・ガバナンス機能/専門機能をどのように具備していくべきかという議論が必要です。更に言えば、欧米企業においては、地域統括への権限集約や低付加価値機能の移転/アウトソーシングを積極的に推進している状況にあり、内製化を中心的な対応策として選択してきた日系企業において、外部リソースの活用も通じたオペレーションの効率化/コスト削減を検討することは必須と考えられます。
前述してきたような地域統括の在り方の議論を進めていく過程、もしくは議論を進めた先には、将来の地域統括の在り方に耐え得る事業基盤整備が必須になります。特に、多数の国から形成されている東南アジア地域においては、業務改善を通じた財務データ・非財務データの活用に向けた基盤整備、リアルタイムモニタリングに向けたデジタルツールの活用、現地人材の育成・リソース配分の見直しが、地域統括を効率的/効果的に機能させられるかどうかのポイントになるものと考えられます。
まとめ
- 複数国から形成される東南アジア地域は、他地域に比してもガバナンスレベルを維持/向上させる難度が高い。そのような中で、移動制限も加わり改めて地域統括機能の在り方の議論が再燃しています。
- 地域統括機能の在り方を検討していく上では、ケーパビリティやリソースが限定的な状況の中で、改めて市場獲得及び地域固有リスクの最適な管理を求められる地域統括機能にとり、戦略機能/事業管理・ガバナンス機能/専門機能/オペレーション機能をどのように具備していくべきか議論が必要です。
- 上記機能を効率的/効果的に機能させるためには、それら機能を支えるデータ整備、デジタルツール活用、現地人材の育成・リソース配分の見直しを図っていくことが求められます。
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著者:大橋 正朋
※本ニュースレターは、2021年7月5日に投稿された内容です。
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