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米国FDAがデジタルヘルス専門部署を創設
【第117号】ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース
2020年9月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、医療機器・放射線保健センター(CDRH)傘下に、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスを創設したことを発表しました。
第117号 2020.10.14公開
CDRHは、前オバマ政権時代、デジタルヘルス開発者、患者、供給者との新たな関係を構築し、協働を促進することによって、デジタルヘルス技術の進歩を支援する「デジタルヘルスプログラム」を開始し、その後2016年12月に制定された「21世紀医療法」に基づき、医学研究の拡大と新たな医薬品・医療機器の認可の迅速化を目的とする重点領域の1つとして位置づけていました。このような政策は、現在のトランプ政権にも引き継がれています。
今回創設されたデジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスは、責任ある高品質のデジタルヘルス・ソリューションを促進することによって、医療を進化させるようステークホルダーに権限を付与することを目標とした上で、以下のような目的を掲げています。
- デジタルヘルスの進化を加速させるために、パートナーシップを結びつけ、構築する
- 認識や理解を高め、シナジーを牽引し、ベストプラクティスを進化させるために知識を共有する
- 安全で効果的な製品向けのFDA標準規格を充足する一方、効率的で負担が少ない監視を提供するために規制アプローチを革新する
FDAは、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスが提供するサービス機能について、以下のような項目を挙げています。
- デジタルヘルス政策・技術の支援とトレーニング
- 医療機器サイバーセキュリティ
- 人工知能(AI)/機械学習
- レギュラトリーサイエンスの進化
- 規制レビューの支援と調整
- 先進的製造
- リアルワールドエビデンスと先進的な臨床研究
- 規制イノベーション
- 戦略的パートナーシップ
また、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスの具体的な活動事例として、サイバーセキュリティ、デジタルヘルスソフトウェア事前認証(Pre-Cert)パイロットプログラム、人工知能(AI)や機械学習機能を有するソフトウェア・アズ・ア・メディカル・デバイス(SaMD)、モバイルヘルス機器、医療機器として使用されるウェアラブルなどを挙げています。
当該記事が関係機関に及ぼすと考えられる影響
医療機関
・米国の場合、医療機器サイバーセキュリティについては、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスの所管することになるので、医療機器を使用する医療機関は、脆弱性対策、インシデント対応など、市販後安全対策のプロセスや医療機関に対する要求事項について、確認しておく必要がある。
医療機器メーカー/医療品メーカー
・メーカーが新規開発・提供するデジタルヘルス・ソリューションに加え、追加的なAI/機械学習機能や自社製品をソースとするリアルワールドデータ(RWD)/リアルワールドエビデンス(RWE)などについても、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスが所管することになるので、社内の臨床開発部門、メディカルアフェアーズ部門、マーケティング・販売部門などが連携して規制対応できる仕組みづくりをしておく必要がある。
サプライヤー
・デジタルヘルス・ソリューション・プロバイダー向けに製品・サービスを提供するサプライヤーは、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスの所管領域で要求されるサプライチェーン・セキュリティ項目を再整理し、HIPAAセキュリティ/プライバシー規則を所管する保健福祉省(HHS)公民権室(OCR)、重要インフラストラクチャを所管する国土安全保障省(HHS)などのサプライヤーに対する要求事項と比較して、セキュリティ対応業務の効率化を検討しておく必要がある。
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