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米国FDAがAIベース医療ソフトウェア行動計画を公表

【第124号】ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース

2021年1月12日、米国食品医薬品局(FDA)傘下のデジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスは、「人工知能(AI)/機械学習(ML)ベースのソフトウェア・アズ・ア・メディカル・デバイス(SaMD)行動計画を公表しました。

第124号 2021.1.25公開

デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスは、2020年9月22日、FDAの医療機器・放射線保健センター(CDRH)傘下に新設された部署であり、責任ある高品質のデジタルヘルス・ソリューションの促進によって、医療を進化させるようステークホルダーに権限を付与することを目標としています。

 FDAは、2019年4月2日、「人工知能(AI)/機械学習(ML)ベースのソフトウェア・アズ・ア・メディカル・デバイス(SaMD)に対する修正のための規制フレームワーク提案」と題するホワイトペーパーを公表し、パブリックコメントの募集を開始しました。その中では、「人工知能(AI)」について、インテリジェントマシン、特にインテリジェントコンピュータープログラムを構築する科学および工学と定義し、「機械学習(ML)」について、データから学習して行動するソフトウェアアルゴリズムを設計・訓練するために使用可能な人工知能技術と定義しています。

 今回公表した行動計画では、以下の5つの活動項目を掲げています。

1.テーラーメイドのAI/MLベースSaMD向け規制フレームワーク

  • あらかじめ決定された変更制御計画(時間を越えたソフトウェアの学習)に関するガイダンス草案の発行など、規制フレームワーク提案の構築

2..グッド・マシンラーニング・プラクティス(GMLP)

  • 機械学習アルゴリズムの評価および改善のためのグッド・マシンラーニング・プラクティス(GMLP)の開発支援

3.ユーザーに対する機器の透明性など、患者中心のアプローチの促進

  • 機器表示がユーザーに対する透明性を支援し、AI/MLベース機器における信頼を強化する方法に関する公開ワークショップの開催

4.アルゴリズムのバイアスと堅牢性に関するレギュラトリーサイエンス手法

  • 機械学習アルゴリズムの評価・改善手法を開発するためのレギュラトリーサイエンスの取組の支援

5.リアルワールド・パフォーマンス(RWP)

  • AI/MLベースSaMD向けリアルワールド・パフォーマンス(RWP)プロセスを検証するステークホルダーとの協業

なお、サイバーセキュリティに関しては、「2.グッド・マシンラーニング・プラクティス(GMLP)」の取組の一環として、FDAの医療機器サイバーセキュリティプログラムと密接に連携しながら追求するとしています。

当該記事が関係機関に及ぼすと考えられる影響

医療機関

・医療機関が、AI/MLベースの医療ソフトウェアを導入する場合、分析/学習用データセットの信頼性確保や、利用する臨床現場の情報セキュリティ対策が前提条件となるので、今後、デジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンスが発信するAI/ML関連情報と並行して、データ品質保証や医療機器サイバーセキュリティに関する規制動向についても、継続的に捕捉しておく必要がある。
 

医療機器メーカー/医療品メーカー

・AI/MLベースの医療ソフトウェアは、デジタルヘルス製品・サービスの枠を越えたリアルワールドデータ(RWD)/リアルワールドエビデンス(RWE)の起点となる可能性が高いので、医療ソフトウェアを開発するメーカーは、グッド・マシンラーニング・プラクティス(GMLP)導入に向けた準備を進めるとともに、社内の関連領域の臨床開発部門、メディカルアフェアーズ部門、マーケティング・販売部門などが連携して、データリスクやサイバーセキュリティに係る規制対応を効率化する仕組みづくりをしておく必要がある。

サプライヤー

・AI/MLベースの医療ソフトウェア向けに製品・サービスを提供するサプライヤーは、グッド・マシンラーニング・プラクティス(GMLP)で新たに要求されるサプライチェーン・セキュリティ項目を整理し、直接取引する医療ソフトウェア関連企業に加えて、患者/家族や医療機関、規制当局などに対するセキュリティインパクトを評価しておく必要がある。

ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース

デロイト トーマツ グループのサイバーセキュリティチームでは、ライフサイエンス・ヘルスケア業界に向け、海外の規制情報やそれに伴う関係業界への影響について情報提供しています。(不定期刊行)

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