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英国NHSデジタルがデータ利用登録制度を導入
【第138号】ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース
2021年7月23日、英国民保健サービス(NHS)傘下のNHSデジタルは、どの組織が保健医療データにアクセスしたか、どんな目的でデータ利用を許可されたか、どのような便益が見込まれるのかなどを簡単に把握し、透明性を高めることを目的として、データ利用登録制度を導入したことを発表しました。
第138号 2021.8.23公開
NHSの場合、データの利用組織には、公的セクター主体や慈善組織、商業組織がありますが、いずれも、データを利用するための法的根拠と正当なニーズがある必要があり、データ利用は、保健医療ケア計画や研究目的に限定されています。
新たな登録情報には、COVID-19パンデミックへの対応の一環として提供された場合およびその他の保健医療ケアを支援する患者データの利用の場合など、NHSデジタルが提供したデータであることが示されています。
これには、患者向けの新たなNHSサービスを設計するためにインサイトを構築したり、既存サービスのパフォーマンスや、有効性、効率性を向上させたり、ケア向上のために新しいツールやサービスを構築することによってNHS組織を支援したり、新たな治療法を開発したり、サービス計画時にNHSおよび地域の当局を支援したりするケースが含まれるとしています。
NHSデジタルは、データ利用の具体例として以下のようなものを挙げています。
- コロナウイルス治療法の開発
- がんサービスの向上
- 医療における格差の是正
また、NHSデジタルは、データ利用の透明性を高めるために、データアクセス・リクエストサービス(DARS)経由で提供されたデータの影響度評価に関する臨床レビューを公開しています。
当該記事が関係機関に及ぼすと考えられる影響
医療機関
・保健医療データを2次利用向けに提供する医療機関は、2次利用に必要な説明および同意取得が適正に行われていることを確認した上で、データを利用する第三者組織や目的、アウトカムなどに関する情報やそれに対するフィードバックなどを、患者と相互にやりとりできるソーシャルコミュニケーションの仕組を構築する必要がある。
医療機器メーカー/医療品メーカー
・医療機関の1次利用データをリアルワールドデータ(RWD)/リアルワールドエビデンス(RWE)などに2次利用するメーカーは、自社の保健医療データ利用が適正であることを患者や医療機関に説明できるような仕組を構築し、インシデント発生時を想定しながら、個々のデータライフサイクルにおける役割・責任分担や情報共有機能などについて、再点検しておく必要がある。
サプライヤー
・保健医療データの2次利用向けにIT関連製品・サービスを提供するサプライヤーは、2次利用側のメーカーや第三者組織だけでなく、1次利用側の医療機関との間で、データライフサイクルに係る問題が発生するケースが多くあることを認識した上で、データ処理プロセスの手順やリスク管理上の責任分担、さらには予防的対策について再点検し、リスク低減に努めておく必要がある。
ライフサイエンス・ヘルスケアに関する海外サイバーセキュリティニュース
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